北原さんに表現手法は好きではないが、その通りなのである👏
時代を変えるのは、「この国で女やっている」側の声なのだと思う。つくづく、そう思う。だからこそ、キモい、と感じる感性を封じてはいけない。そして「キモい」と言われることに、男たちは開き直ってはいけない。そして男たちの“シモ”の連帯の歴史を断ち切ってほしい。
松本人志さんの件。
本人のSNS、後輩芸人の発言など、今回の報道を巡る当事者らのさまざまな反応からは、松本さんを頂点とする男性芸人のあいだでは先輩を「接待」する習慣があり、そういう「合コン」のために後輩が女性を集めていたことは事実のようだ。
「接待」は「合コン」という体を取ってはいるが、自分の人脈でどれだけの女性(この場合、女性の価値は若さと容姿)を集められるかが問われるもので、純粋な遊びというよりはやはり、芸能界で生き抜いていくための一種の仕事のように見える。
吉本芸人の博多大吉さんは10年ほど前、バラエティー番組の公開収録イベントでこう語っていた(下積み時代の笑い話として)。
「福岡吉本で僕ら、先輩の接待ばかりやってたんですよ。東京、大阪から先輩芸人が来る度に、おいしいご飯屋さんとか、おいしい飲み屋さん、一席飲みたいという方には女の子もちょっとセッティングして、というのを僕ら15年ほどやってました」
博多大吉さんは、松本さんらが来るときには仲間内から「まぁ、わかってるな、女の子をちゃんと用意するように」と暗黙の了解のように言われたそうだ。
「女の子」は、酒や食べ物と同じように、厳選し、準備し、用意するものなのかもしれない。こうやって後輩芸人が先輩芸人に女性をセッティングしてきた長い歴史の結果が、今回の性被害報道につながっていったのだろう。当事者の男性たちからすれば、「今まで問題にならなかったし、女性たちだって楽しんでいたはずなのに、今になってなんで?」と青天の霹靂かもしれない。
でも、“私たち”は知っている、のだと思う。この国を生きる女ならば、その「合コン」の空気を知っている。男性が“シモ”で連帯するときの羽目の外し方のようなもの、そのなんとも言えないはしゃぎ方が醸し出す威圧的な空気というのを、この国を生きている女であれば。
それをカジュアルに言えば、“キモくて怖い空気”である。
松本さんの60歳の誕生日を祝うスペシャル番組を見た。昨年の9月に放送されたもので、親しい後輩芸人たちが松本さんとのエピソードを語るというものだ。
松本さんはヘルペスを最近発症したことや、週に3回朝に勃起するという話をしていた。
びっくりした。居酒屋で男性サラリーマン集団が大声で話し顰蹙(ひんしゅく)を買う話題と同レベルである。まだまだ勃起するとか、セックスしているとか、何回しているとか、風俗に行った話とか……。見せられているのは「お笑い」というより、男どうしの密着した”シモ”による連帯である。それを面白いと思える人たちが番組を作って、それを笑える人たちがテレビを見ている。
上沼恵美子さんは、今回の週刊誌報道を受け、松本さんの芸能活動休止を惜しみながらも「(報道が事実だとしたら)私も、一応女やっているんで、吐きそうになった」と話した。元カレが松本さんを性接待していたと報道された鈴木紗理奈さんは、テレビで「キモい」と表現していた。まさに「女やっているんで」わかるキモさである。
男たちが“シモ”で連帯するキモさ。そういうキモさが権力を持っているふうのキモさ。
松本さんの番組では「森三中」も出演していたが、全く存在感がなかった。男性の“シモ”の連帯には女芸人がどんなに媚びても入れないのだ。
ただ、そういう女芸人の惨めさを見せられることも含めて、この現象は「お笑い業界」に限ったことではない。はっきり言って、日本中、隅々どこにでもこの空気はある。ビジネスの世界でも、政治の世界であっても。
特に政治やビジネスの世界など、「いつ暴かれるのではないか」とひやひやしている人は少なくないのではないか。大手銀行が大蔵省の役人を「ノーパンしゃぶしゃぶ」で接待していたことが問題になったのは26年前の話だが、昼間の会議ではなく夜の男たちの性接待込みの密談で決まる風習は、決して今だって廃れているとは言えない。
学生時代の女友だちが、取引先の男性をソープランドに連れていき、終わるのを待合室で待っていたことがあると話してくれたのは、2000年代に入ってからだ。女性議員がゼロの町議会議員の新年会で浴衣姿のコンパニオンがお酌をするのが当たり前だったというのを聞いたのは、平成後期の話。これは1990年代の話だが、地方議員の海外視察の際、空港に現地の女性が一人一人につき、夜の部屋も一緒だったことがあると証言してくれた女性議員がいた。有名ジャーナリストが、「○○議員(←超大物)にソープランドをおごってもらったことがある」と自慢気に話していたのを耳にしたという国会議員もいる。
ちなみに、海外視察時に買春を拒否した議員は、その後、派閥の役職から外されたという。男性の中にも、性接待を好ましく思わない人もいるが、男性の“シモ”連帯に入らない男は男性でも男性社会から排除されるのである。男の“シモ”の連帯はかくも強い。
それでも今回の世間の反応を見ていると、#MeToo以前とは隔世の感がある。女性を叩く声があればすぐに「それはセカンドレイプだ」と慎重な態度を求める声が目立つ。
伊藤詩織さんが性被害を訴えたのは2015年だ。週刊誌が昨年末に報じた松本さんの性加害疑惑の年と同年である。詩織さんが2017年に記者会見を開いたときには、ブラウスのボタンが首まで閉じていなかったことを責める声が湧いたものだが、その年にハリウッドでの#MeTooがはじまり、日本では性被害当事者団体「スプリング」が発足し、2019年には性被害に抗議するフラワーデモがうまれ、2023年には「性的同意」という言葉が入った性犯罪刑法改正がなされた。この数年で、性を巡る言説は大きく変化したのだ。
時代を変えるのは、「この国で女やっている」側の声なのだと思う。つくづく、そう思う。だからこそ、キモい、と感じる感性を封じてはいけない。そして「キモい」と言われることに、男たちは開き直ってはいけない。そして男たちの“シモ”の連帯の歴史を断ち切ってほしい。
北原みのり
関西の大御所芸人が松本人志問題をぶった切り 吉本興業の「初動ミス」指摘「事実無根じゃないわね」
漫才コンビ、西川のりお・上方よしおの西川のりおが18日、ABCラジオ『ますだおかだ増田のラジオハンター』(木曜正午)に出演。週刊文春の性的行為強要疑惑報道を受け、裁判に注力するとして活動を休止した吉本興業の後輩、ダウンタウン・松本人志について言及した。
お笑い界の最近のニュースで気になるものについて、松本の騒動と即答したのりおは「会社(吉本興業)の初動ミスでしょう」と指摘。「報道があったとき事実無根って言うたでしょう。無根ということはゼロということ。根がないということ。根があるから、(名前の出た)たむらけんじも女の子をいっぱい集めてそういう会をしましたと。『目的がそういうことじゃないです』っていうことが、それは無根じゃないわね」とした上で、「『そういう(飲み会みたいな)のはあった』って言えばいいのに、どういう風に言えば良かったかいうのはね、『とりあえず調べてみます。本人にも事情を聞いてみます』と言うた上で発表したらいいのに、何を思うたんか『事実無根です』と言い放ったのが、大きく波紋を投げて、文春サイドも『無根か? ウチもちゃんと材料調べとるぞ』と」と見解を示した。そして、文春報道について、ジャニー喜多川氏の性加害報道などを挙げ「過去の例を見てほぼ空振りないんですよ」と語った。
今後行われる見通しの裁判については「彼は裁判までやるいうてたけど、裁判になったら司法に任すだけのことなんで、ほんでいろいろ出てくるはずです」とコメント。松本の現状について「そういうこと(性加害)になったという女性もいらっしゃいます。本当に自分が(何も)なかったら休業することはないと思うんですよ。出たらええと思うんですよ。迷惑かかるいうこと自体おかしいと思うんですよ。僕は何もやましくないんだ。収録しましょうよと。『ナイトスクープ』やりましょうよと。やったらええわけでね。それで自分が『周りにも迷惑かかるかもわからんし、裁判に打ち込みたいから』って芸に打ち込めばええと思うよ。なんでか言うたら、やましくなかったら裁判なんか打ち込む必要ないねんから」と持論を展開。
やはり報道で名前の出たスピードワゴン・小沢一敬が活動継続から一転、活動自粛したことについても疑問を呈した。のりおは「ちょっと引っかかんのよ。(事務所が)『何らうしろめたいことはない』言うたよね。ほな何で休業すんのかなってなるわけよ。彼は精神的にも、体の調子も悪くなったって。何で悪くなんのかな思うて。自分がシロやったら調子も悪くならないし。休業する必要ないと思いません?」とまくしたてた。
元アイドリング遠藤舞さん、性被害の過去公表も「勇気出し発言しても経歴や容姿まで侮辱される」
遠藤さんは「週刊文春」が報じたダウンタウン松本人志の一般女性への性的行為強要疑惑をめぐる一部SNS上の声を受け、「性的な被害に遭った経験があるならなぜその時に声を上げなかった?との声があるので私の体験を書きます」と、仕事関係者との打ち上げに参加した際の出来事を打ち明けていた。
その投稿に対し「売れてもなくずば抜けて可愛くもないあなたと飲むメリットは有名人の人からしたらないですよ。そこらへん分からなかったでは済まないですよ。有名な方と飲むならそういう覚悟でしか飲んだらダメだと思います」と返信が来たことを告白した。
遠藤さんは17日の投稿で、仕事関係者との打ち上げの詳細を明かしていた。酒宴の後、泥酔した権力者の乗ったタクシーに押し込まれ、「車中で身体をまさぐられ『どれだけオレがお前を好きか』など言われました」。家まで送ると言われるも、拒否して降車し、ショックで泣きながら当時の交際相手に電話をしたが、「逆に隙を見せたお前が悪いなどと私が叱られてしまい『あぁ、声って届かないんだ』と絶望しました」といい、「私は強制性交されたりはしておりませんが、性的に嫌な目に遭った後は身体を洗いたくなり長い時間熱いシャワーを浴びて血が出そうなほど身体を洗いました」と振り返った。
こうした経験から「レイプ被害にあったら証拠を残すためにすぐに警察にかけこめとはよく言われることですが、ショック状態で冷静な判断をし気持ちが悪い身体をそのままにしておける強い女性ってどれくらいいるのでしょうか」と疑問を投げかけていた。
プラス・マイナス岩橋良昌「先輩に綺麗な女の子連れてった まぁ上納か」 松本人志報道受けSNS投稿、波紋広がる
「全ての真実を知ってんのか?おまえは」
岩橋さんは「俺も昔松本さんじゃないけど先輩に綺麗な女の子連れてったなぁ まぁ上納か笑 ほんでその人があっさりホテル持って帰って俺なんて空気みたいな扱いやったから後で腹たってきて笑 ほんでその人TVで結婚できひんとか松本さんはそんな人じゃないですって言ってて いやお前やん!ってつっこんでもた笑」と投稿して拡散。一般ユーザーから多くの意見が寄せられた。
疑問の声に岩橋さんは「頼まれたら一回ぐらい何とかしてみようってなるでしょ そら後輩は」と応酬。「加害者側」と批判する声には「何が加害者やねん、全ての真実を知ってんのか?おまえは」とした他、「上納」「持って帰って」といった表現に「モノ扱いしている」とする批判には「してねぇよ、あげあしとんな」と返している。
こうした一連のやりとりを見た一般ユーザーから、「プラマイの岩橋さんどうしちゃったの」「岩橋さん心配すぎる」「岩橋マジで大丈夫かよ」などの声が寄せられている。
「全裸で楽屋に…」松本人志の疑惑だけじゃない、芸人の性加害“免罪符”失効で大炎上の可能性
《当該事実は一切なく、本件記事は本件タレントの社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損するものです。当社としては、本件記事について、新幹線内で執拗に質問・撮影を継続するといった取材態様を含め厳重に抗議し、今後、法的措置を検討していく予定です》
と、完全否定。その後、松本本人もXで《いつ辞めても良いと思ってたんやけど… やる気が出てきたなぁ~。》とポストし、1月5日には『週刊女性PRIME』が報じた、飲み会の参加女性が送ったお礼のLINEの画像を引用し、《とうとう出たね。。。》と投稿。ネット上では、《松本がああ言うってことは、事実じゃないってことかも》という声がにわかに上がり始めている。
被害エピソードが続々
松本や飲み会に参加していたスピードワゴン・小沢一敬が芸能活動の休止を発表するなど、事態は混迷を極めているが、メディアの記者たちは、こう口を揃える。
「一つ間違えたら名誉棄損で訴えられ、相当な額の損害賠償が請求される案件ですから、文春サイドはしっかりウラを取っているはずです。記者たちも自信があると言ってますし、小沢の飲み会の話は業界ではよく知られたエピソードですからね」
松本サイドによる否定に呼応するが如く、複数の女性の証言を取り上げて第2、第3弾を撃ち込んでいる『文春』。さらにここから、同様の被害にあった女性たちが次々と名乗り出る可能性も大だ。実際、SNS上ではグラビアアイドルやセクシー女優が次々と被害エピソードを投稿している。
「挨拶をするように胸をもまれる」
加えて、松本以外の芸人に飛び火してお笑い界が大炎上する可能性も。というのも、口にするのも憚れるようなえげつない遊び方をしている芸人は少なくないからだ。過去には、今回の松本のように週刊誌で告発された例もある。
「高級カラオケ店で女性の局部に野菜スティックを入れたと報じられた芸人がいました。それほど大騒ぎにならなかったのは、昔は“芸人なんてそんなもの”“芸人は破天荒じゃないと”“どんな遊びも芸の肥やし”など、芸人の遊びに対する“免罪符”みたいな認識があって、気にかける人が少なかったから。しかし、時代は変わりました。お互い了承の上でのことなら構わないでしょうが、そうでなければ許される時世じゃなくなったということを、芸人たち、いや彼らだけでなく芸能界の人間たちは肝に銘じなければなりません」(老舗芸能プロ幹部)
以前、大手事務所に所属する若手女性芸人からこんな話を聞いたことがある。
「もう慣れましたけど、芸人たちの間にパワハラとかセクハラという言葉は存在しないんです。まるで挨拶をするように胸をもまれることは日常茶飯事ですし、胸じゃない時はパンツの中に手を突っ込まれる時もあります。油断しているとパンツごとズボンを下ろされることも。最初は嫌がっても、慣れるのか麻痺しちゃうのか、あまり気にしなくなり日常の風景になってしまいました。楽屋に全裸で入ってくる人もいて、それで笑いを取ろうとするのはどうかと思いますけどね」
芸は秀逸だが酒癖が悪いことで知られる芸人の目に余る狼藉ぶりを目の当たりにしたこともある。芸人仲間ではないが、業界の人間たちとの食事会があったときだ。酒に酔ったその芸人は、出席者の女性の服の中にいきなり手を突っ込み、胸を触り出したのである。もちろん女性は拒否し、周りも止めようとしたのだが、彼は意に介さないのか顔色一つ変えず平然と胸をもみ続ける姿に、何か気味悪さを感じたものだ。
いま、雑誌各誌に、情報提供が増えているのは言うまでもない。松本の件だけで終わるとは思えず、芸能界に限ったことではないが、2024年は波乱の幕開けとなった。
佐々木博之