夢洲を強引に決定したのが松井一郎。1970年に大阪万博があった万博記念公園吹田市)など計6カ所が上がっていたが無理矢理に松井一郎が「夢洲」だと言いだし、あのヤクザにも負けない姿勢で夢洲が決定してしまった。藤永のぶよさんはこのインチキを始め資料公開をしぶとく求めてきた方。そして以下記事の要因がとんでもない税金だけが異常に使われる万博工事が始まったのである。極悪人は「松井一郎」といえるだろう。だから60歳という年齢で「万博の危うさ」を感じて市長職から降りたのだ。

 

「そのような(「夢洲」は最も危険、「建築物をつくるのは論外」)場所の上に、建築物をつくるのは論外。高層建造物など念頭になく、いくら地盤を改良して固めたからといって、危険です。そもそも夢洲は『負の遺産』などではありません。大阪市内から出る焼却灰や浚渫土砂などの最終処分場で市民の貴重な財産。わずか半年の万博のために多額の公金をつぎ込むのではなく、市民のための税金ですから、子どもや若者、シングルマザー対策など、市民のために使ってほしい」

 

 

 大阪湾を埋め立ててつくられた、人工島の「夢洲」。この島で今、2025年4月開幕の「大阪・関西万博」に向け、急ピッチで工事が進む。だが、地震が起きた時の液状化や避難、土壌汚染など問題は山積みだ。AERA 2024年1月22日号より。

 

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 大阪湾に浮かぶ人工島「夢洲(ゆめしま)」。昨年12月中旬、この島で建設中の大屋根(木造リング)に、視察のため上った大阪府の吉村洋文知事は「圧倒された」と何度も口にし、こう絶賛した。

「唯一無二の木造建築物になる」

 2025年4月13日からの半年間、夢洲を会場に開かれる「大阪・関西万博」。開幕まで1年半を切り、工事は急ピッチで進む。だが、吉村知事の強い言葉とは裏腹に、前途は多難だ。海外パビリオンの建設が間に合わず、延期論が取り沙汰され、万博のPRを行う「アンバサダー」を務めているダウンタウンの松本人志氏の活動が休止の見通しとなるなど、異常事態に陥っている。それだけではない。大阪湾を埋め立てて造られた夢洲は、数々の問題が指摘されている。

 まずは、地震だ。

 災害リスクマネジメントが専門の立命館大学の高橋学特任教授は、「夢洲は『近畿トライアングル』と呼ばれる日本で最も活断層が多いエリア内にある」と指摘する。福井県の敦賀を頂点とし大阪湾、伊勢湾を結ぶ三角形のエリアを「近畿トライアングル」という。

「1995年の阪神・淡路大震災も2018年の大阪北部地震も、近畿トライアングル内の活断層が原因で起きています」(高橋特任教授)

 夢洲で想定されている震度は、最大で6弱。耐震と、揺れに伴う液状化対策について、万博を主催する「日本国際博覧会協会(万博協会)」は、本誌の取材に「耐震対策は、建築基準法などの法令や基準に準じて設計している」(同協会整備局)と回答。液状化対策は、「土質調査の結果、『液状化をしない、または液状化しない可能性が大きい』となった事を踏まえ液状化対策は実施していません」(同)とした。これに、高橋特任教授は懸念を示す。

「夢洲はごみの焼却灰や浚渫土砂などで埋め立てた人工島なので、地盤が弱く、地震の際の液状化の危険性が極めて高いと言えます」

 

■災害時の対策や避難経路に問題

 地震による津波の心配もある。30年以内に70~80%の確率で発生するといわれる南海トラフ巨大地震は、震源が沖のため津波の危険性が指摘される。大阪府は、この巨大地震により大阪市内に押し寄せる津波は最大約5メートルと想定。夢洲の津波対策について万博協会は、「O.P.(大阪湾最低潮位)+4.5~5.7メートルであり、夢洲は想定津波高さ以上の地盤高さが確保されている」(同協会整備局)と説明する。だがこれにも、高橋特任教授は警鐘を鳴らす。

「津波の高さは、実際に地震が起きるまでわかりません。東日本大震災では、津波は最大38メートルの高さになりました。さらに、津波は一度ではなく繰り返し来ます。最初の津波で防波堤が壊れると、その後は直接海水が夢洲に流れ込むことも考えられます」

 18年9月に近畿地方に上陸した台風21号では、関西空港が一部水没し、埋立地の弱さが露呈した。

 高橋特任教授は、「一番の問題は災害時の避難経路だ」と強調する。

「夢洲に行くには鉄道とバスが主な交通手段ですが、地震が万博の開館時間に起きて停電になれば、鉄道が不通になり、多くの来場者は夢洲から逃げられなくなります。逃げ場を求め来館者が1カ所に集中すれば、転倒事故が起きることも考えられます。災害リスクから考えると、夢洲は最も危険な場所だと言えます」

 災害時の避難対策や避難経路はどうなっているのか。万博協会は、こう説明するにとどまった。

「地震等の大きな災害が発生した場合、周辺交通の状況等について情報収集を行うとともに、帰宅困難な方がいらっしゃる場合には、会場内の一部施設を開放するとともに、水や食料等の配布を行うことなどを検討しております」(同協会危機管理局)

 そもそも夢洲は、大阪市内で発生する産業廃棄物や建設残土、大阪湾の浚渫土砂の処分場として1977年から埋め立てが始まった。面積は約390ヘクタールで、甲子園球場約100個分。その造成した土地に住宅や商業施設が計画されたが、バブル崩壊で失速。長く「負の遺産」と呼ばれてきた。

 

■土壌汚染や地盤沈下も様々な問題に募る懸念

「おおさか市民ネットワーク」代表の藤永延代さんは、情報公開請求で集めた資料などから「夢洲には様々な問題がある」と指摘する。

 



「まずは土壌汚染です。万博会場となる夢洲2区に隣接する夢洲1区には、30年間でダイオキシンやPCB(ポリ塩化ビフェニール)など人体に有害な化学物質を含む推定860万トンの焼却灰が埋められています。その汚染された土壌に含まれる有害物質が、雨水と一緒に2区に流れ出ています」

 藤永さんによれば、1区内にはさらに、中程度汚染のPCBが含有された汚泥が入った袋が1万袋積まれたエリアがあり、今後その上を50センチの土で覆い、コンクリートで固め駐車場にする計画だという。土壌汚染対策について万博協会は、こう回答した。

「会場整備により発生する土砂は、土壌汚染対策法はじめ関係法令に従い対策を行うものであり、人体への影響はなく、安心してご来場いただけると考えています」(同協会整備局)

 だが、藤永さんは強い懸念を示す。

「PCBは国際法による禁止物質。そのような危ない物質の上に駐車場をつくったりして、世界から観光客を呼んでいいのでしょうか」

 次に藤永さんが問題だと指摘するのが「地盤沈下」だ。

「夢洲全体は、海底30メートルまでは軟弱な粘土層になっています。硬めの砂場程度と見られています」

 地盤沈下の心配はないのか。

 夢洲を管理する大阪港湾局に問うと、軟弱な粘土層は地盤改良工事によって地盤を固めたという。ただ、それでも今後、軟弱な粘土層の下にある硬い粘土層は年に数センチ沈下する。沈下が完全に止まるのは、「50年後にはほぼゼロになると想定している」(同局開発調整課)。藤永さんは批判する。

「そのような場所の上に、建築物をつくるのは論外。高層建造物など念頭になく、いくら地盤を改良して固めたからといって、危険です。そもそも夢洲は『負の遺産』などではありません。大阪市内から出る焼却灰や浚渫土砂などの最終処分場で市民の貴重な財産。わずか半年の万博のために多額の公金をつぎ込むのではなく、市民のための税金ですから、子どもや若者、シングルマザー対策など、市民のために使ってほしい」

(編集部・野村昌二)

※AERA 2024年1月22日号より抜粋