「略式起訴受け入れ議員辞職する」 谷川議員が政治資金めぐる問題で辞職へ 4000万円超“不記載”

 

辞職は賢明な判断。でも「バカじゃないの?」という暴言を吐いた爺さん。辞職するのは同意するが「バカな私達が分かるようにキックバックの説明をしてから辞めなさいよ!」

 

 

自民党派閥をめぐる裏金事件。安倍派の複数の幹部が東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、キックバックの処理は「会長案件」だったと説明していることが新たにわかりました。さらに、15日付で自民党長崎県連の会長を辞任した谷川弥一衆議院議員が私たちの取材に対し、「略式起訴を受け入れ、議員辞職する」との意向を示しました。

 

 

日本の政治は抜本的な改革を行う時 企業・団体によるパー券購入や政党への献金は禁止にするべきだ

 
 
<政治とカネ考> 元自治省選挙部長・片木淳さん

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件は、繰り返される「政治とカネ」の問題の根深さを浮き彫りにした。リクルート事件に端を発した平成の政治改革から約30年。当時の改革に足りなかったものは何か。問題の根絶には何が必要か。各界の識者らに聞いた。

◆投票権をもたない企業・団体の献金は適切と思えない
 ―政治資金規正法は一時しのぎの改正が繰り返されてきた。

 「近年、政治が民意を反映していないのではという疑いがあったところに今回の問題が起き、政治不信は極まった。日本の政治がこの危機を乗り切るためにも、この際、抜本的な改革を行うべきだ」

 ―具体的には。

 「企業・団体によるパーティー券購入や、政党への献金を禁止するべきだ。私が自治省選挙部長として携わった1999年の改正で、政治団体に対する企業献金は禁じたが、政党に対しては残すことになった。個人献金や政党財政の状況が残す理由とされたが、政党財政については94年の政治改革で政党交付金が創設されている」

 ―なぜ禁じるべきなのか。
 「96年の最高裁判決で、献金は投票の自由と表裏の関係にあり、(団体の)会員の自由な判断に基づくべきだとされている。そもそも個人と違って投票権をもたない企業・団体が献金で政治に影響を及ぼすこと自体、適切とも思えない。企業は献金の見返りを株主に説明する必要があるが、見返りを追求すれば買収に限りなく近づく」

 ―経団連は自民党への企業献金を「社会貢献」と主張している。

 「社会貢献なら、特定の政党に出すのではなく、全ての政党に寄付すべきだ。経団連も廃止の検討を提言し、94年から10年ほど企業献金のあっせんを中止した」

 ―政治家の収支報告書が、資金管理団体や政党支部などで複数の種類があることにも問題がある。

 「一人の政治家のカネの流れは、その関係団体を全部集めて見なければ、全貌が明らかにならない。透明性を高めるには、それが簡単にできる制度にした方がいいが、法を改正するのは規制される国会議員自身なので、なかなか進まない」

◆新人の当選を困難にする公職選挙法の見直しも必要
 ―他に改革すべき点は。

 「候補者の行動を細かく制限する公職選挙法の見直しも必要だ。政治活動と選挙活動の境があいまいな点など、制限が選挙運動を萎縮させ、新人の当選を困難にしている。有権者の関心もこれでは高まらない。選挙期間中の運動費は独立した収支報告をさせているが、選挙運動の規制を撤廃すれば、政治資金一本で規制できる」

 ―派閥の見直しは。

 「必要だ。カネとポストの配分に便利だからと集まっているのが派閥の現状で、今回の問題の根底にある。日本にはドイツのような『政党法』がなく、政党助成法などで政党を定義しているだけだ。派閥解消の延長として内部統制を規定した政党法をつくるのも改革の一案ではないか」(聞き手・大杉はるか)=随時掲載します
 
かたぎ・じゅん 1947年、大阪府生まれ。71年に自治省(現総務省)入省。大阪府総務部長、自治省選挙部長、総務省消防庁次長などを経て、2003~18年に早稲田大公共経営研究科教授。17年に弁護士登録。

 政治資金規正法 1948年施行。民主政治の発達を目的に、政治家や政党の政治資金の収支公開や寄付などについて定める。収支報告書は政党や政党支部、政治家の資金管理団体、派閥や後援会などの政治団体が作成し、毎年公表する。リクルート事件(88年発覚)を受けた94年の改正で政治家個人に対する企業・団体献金は禁じられたが、政党や、政治家が代表を務める支部は対象外とされ、抜け穴として残った。パーティー券購入は寄付には当たらず、1回150万円まで可能。20万円を超える購入者の名前は公表される。
 
 
主張
刷新本部と裏金
自民の無反省は際立つばかり

 
 自民党が派閥の政治資金規正法違反事件を受けて設置した政治刷新本部(本部長・岸田文雄首相)の少なくない議員に、パーティー収入の一部を裏金化している疑いが浮上しました。刷新本部は38議員で構成し、最多は安倍派の10人です。メンバーになった安倍派10人中9人に裏金疑惑があると報じられています。刷新本部については、派閥ぐるみで違法行為を繰り返していた安倍派から多くの議員を起用したことに「どこが刷新か」と批判が上がっていました。岸田首相はメンバーを入れ替えないと明言しており、反省のなさが一層際立ちます。

安倍派の10人中9人が
 政治刷新本部の初会合で岸田首相は「国民の厳しい目、疑念の目が注がれている」「自民党自ら変わらなければならない」(11日)などと述べました。しかし、国民が求める裏金事件の解明には全く触れず、各派閥のパーティー収入の不記載・虚偽記載についても経過の説明などもしませんでした。

 政治資金規正法に反する行為があったのは、最大派閥の安倍派だけではありません。主要5派閥に広がっており、自民党全体の体質と、自民党を成り立たせている「派閥」というシステムの是非そのものが問われています。ところが、刷新本部幹部には麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長など派閥の領袖(りょうしゅう)が就任しました。他のメンバーの構成も「党内バランスに配慮した『派閥政治』を象徴する」(「東京」12日付)人選となりました。

 無派閥の菅義偉前首相が麻生氏とともに最高顧問に就きました。菅氏は安倍晋三元首相時代の官房長官として安倍官邸の中枢に長年身を置いてきました。「政治とカネ」疑惑を深刻化させた安倍政治から脱却する方向を示すことは期待できません。

 今回裏金が指摘されている刷新本部の安倍派9人は、ノルマを超えて集めたパーティー券売上金のキックバック(還流)を受けたり、ノルマ超過分を派閥に納入せずに「中抜き」したりしていたとされます。それぞれの裏金の額は直近5年間で数百万円~数十万円とみられ、本部長代理となった岡田直樹・元地方創生相が最も多額だったと伝えられています(「朝日」13日付)。

 安倍派の裏金は5年間で総額6億円近くにのぼり、所属議員(98人)の大半が関わっている疑いが持たれています。安倍派の事務総長経験者の松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業相など派閥の中枢幹部は軒並み検察の事情聴取を受けています。所属議員から逮捕者も出ました。刑事事件の中心的な捜査対象となっている安倍派から10人も刷新本部に加えたこと自体、岸田首相が本気で政治資金問題を解決する姿勢がないことを浮き彫りにしています。

自浄能力ない政権に批判
 首相は、刷新本部メンバーを巡る裏金が明らかになったことについて記者から問われると、「党が一致結束して議論を行うにあたって排除の論理は適切ではない」と述べ、メンバーから外さないことを強調しました。国民の感覚からあまりにかけ離れています。

 共同通信が13、14日に実施した世論調査では刷新本部に「期待しない」が75・1%に上りました。自浄能力のない自民党政治を終わらせることが急務です。
 
 

実態は「集金マシン」? 収支報告書で見る自民党派閥のカネ

 
 
 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受けて党内に発足した政治刷新本部(本部長・岸田文雄首相)では、政治資金パーティーや派閥のあり方が議論の焦点となっている。自民党6派閥の政治資金収支報告書を見ると、収入の約8割をパーティーの売り上げに依存する一方、支出の大半は所属議員への寄付となっており、派閥が「集金マシン」の役割を果たしていることが分かる。

 安倍派▽麻生派▽茂木派▽岸田派▽二階派▽森山派――の政治資金収支報告書を調べた。裏金事件を受け、安倍派などは現在、収支報告書の訂正を検討中で、パーティー券収入のノルマ超過分の不記載分などは含まれていない。

 2022年分の6派閥の収入総額は計11億8370万円。収入の内訳で最も多かったのは政治資金パーティーの「事業収入」で計9億2143万円を集め、収入の77・8%を占めた。事業収入の割合が最も大きかったのは森山派の90・5%。安倍派は50・9%だった。
 総務省が所管する政党などを含めた全ての政治団体で見ると、全収入に占める事業収入の割合は31・9%だった。約3割を占める政党交付金は派閥には支給されておらず、パーティー収入への依存は顕著だ。

 支出を巡っては、全政治団体では全体の30・9%にとどまる「寄付・交付金」の割合が、派閥では66・1%と倍以上に跳ね上がっているのが特徴だ。各派閥は夏に「氷代」、冬に「餅代」と呼ばれる資金を所属議員に支出しており、議員側の活動を金銭面で支えている。多くの派閥がパーティーの売上額に近い額を各議員に寄付していた。

 派閥には、自派のリーダーを総理・総裁に押し上げる目的もある。収支報告書上で、その資金の動きが顕著だったのは岸田派で、自民党総裁選があった21年、組織活動費として約1億円を支出。この額は22年分の6派閥の支出の合計額を上回る突出したものだった。首相は総裁選で政策パンフレットを全党員に郵送するなどしており、岸田派の支出でも印刷代や郵送・発送費などが多くを占めた。首相は自身の資金管理団体から同派へ法律上の上限額である5000万円を寄付し、派閥の財政を支えた。【小田中大】
 
 

“宮澤の乱”第二幕 前防衛副大臣が安倍派のかん口令を暴露に続いて今度は自身の中抜き明らかに 静岡

 
 
今から約1カ月前、自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐり、いわゆるキックバックがあったこと、そして政治資金収支報告書への不記載が派閥の指示だったことなどを認めた宮澤博行 議員が今度は“中抜き”を認めた。
 
突如として安倍派の“闇”を暴露
「しゃべるな!しゃべるな!これですよ」

2023年12月13日。自民党の最大派閥・清和政策研究会(安倍派)に所属する前防衛副大臣の宮澤博行 議員は集まった報道陣を前に声を張り上げた。

そして、派閥の政治資金パーティーをめぐりキックバックを受領していたこと、派閥の指示により政治資金収支報告書に収入として記載していなかったこと、さらに一連の裏金疑惑について派閥内でかん口令が敷かれていたことを認めた。

収支報告書の正確な不記載額は…
あれから1カ月。宮澤議員は謝罪の日々に追われている。

こうした中、1月14日には自民党掛川市支部の求めに応じて説明の場が設けられた。

会合は冒頭のみの公開となったが、宮澤議員はまず収支報告書に記載していない収入額は当初明らかにしていた140万円ではなく正確には132万円であったことを報告し、「今後、派閥から私の政治団体『宮柱会』に寄付という形で修正する」と説明。

その上で「有権者、支援者、自民党員、パーティー券を購入してくれた皆さんに改めてお詫び申し上げる」と頭を下げた。

キックバックのほかに中抜きも…
会合の終了後、取材に応じた宮澤議員は“新たな事実”を明らかにする。

宮澤議員によれば、収入として不記載の132万円のうち18万円については、パーティー券を購入した会社や団体が直接、派閥の口座に代金として入金した後、ノルマ超過分としてキックバックされた分だという。

一方で残る114万円については、パーティー券の販売ノルマを達成したことから派閥に対して入金せず手元に金をプールする、いわゆる“中抜き”していた分とのことだ。

この点について、宮澤議員は「私が能動的に判断したという記憶はなく、『なぜこうなったのだろう?』と自問自答したが、慣習というか、流れの中でノルマ分は(派閥に)納めなければいけないという中で、ノルマオーバーした時にノルマ分だけ納めればいいという慣習の中でやってしまったと認識している」と述べた。

ただ、中抜きに関して派閥からの指示はなかったといい、「自分の記憶を整理したが派閥から言われた記憶は実はない。かといって、私の判断かというと正直、そこは『やれ』と決断した記憶はなく、慣習の中で『こういうものか』『これでいいか』という流れがあったとして、いま記憶がない」と曖昧な釈明に終始。

また、なぜこのような行為に至ったかは「当選した直後だったと思うが、“そういう方法”があると聞き、私も躊躇した記憶はあるがこのやり方を採用した。やってみたら、清和研に直接お金が行くよりも自分の口座に来ると認識が速く進むので、お礼や人間関係においてメリットがあった」と本音も…。

しかし、「『中抜き』『裏金』という言葉は私としては使っていないので、それに当たるかどうかは私から申し上げることではない。私は『不記載の資金があった』という表現で説明させてもらいたい」と持論を展開し、中抜き分については「端的に申し上げると政治活動に使っていた。交際費的なものと言える」と強調した。

正直者の告白?有権者へのアピール?
この日の会合で、キックバックや中抜きについても参加者につまびらかにするとともに、「次(の衆院選)も立候補するつもりでいるので、ぜひ支援・協力をお願いしたいと話した」という宮澤議員。

一連の発言は、安倍派に所属する議員の多くが口をつぐむ中で“正直者の告白”と受け取られるのか。

それとも、選挙を意識した“有権者へのアピール”と受け取られるのか。

その審判は次期衆院選で下される。