「避難所なんだと思ってる」賞味期限切れ食品にシェフ怒り 一方的に置いていかれた支援物資…“民間物資”の受け入れ一時中止に

 
容赦のない北陸の寒さに心身共疲労しきった被災地の方々を逆撫でするこんな卑劣な行為は許されない。どうしてこんなに日本という国は温かみを失ってしまったのだろうか。愕然とする。我が身を被災地の方々と重ね合わせる事ができないのか…。
 
 
地震発生から1週間が過ぎ、ギリギリの避難生活が続く中、届き始めた支援物資の扱いに困っている人がいるのも事実だ。

七尾市の避難所で500食以上を炊き出し
石川・七尾市の避難所にできた段ボールの山。小学校の玄関を埋め尽くしている。

これらはすべて支援物資。中には古着とみられる大量の洋服や、賞味期限が2019年8月で切れたドリンクもあった。
この現状に怒りの声を上げる人物がいる。

「この大半が使えないゴミ、避難所なんだと思ってる 昨日の事、長野ナンバーのトラックが来てトラック1杯分 半分以上のゴミを置いて帰った ドリンクは全て賞味期限切れ なんて野郎だ」

こうSNSに投稿したのは、石川・金沢市でレストランを経営し、避難所で炊き出しにあたっているシェフの川本紀男さん。

ボランティアで訪れている 川本紀男シェフ:

毎日すごい量で、結局どんなものかがわからない。

今回の地震では、川本さんの店も被災した。

調理場には食器などが散乱。無数のワインが床を埋め尽くし、店の壁も大きくはがれ落ちた。

川本さん自身、被災した身でありながら、炊き出しのために金沢市から約3時間かけて、避難所になっている七尾市の小学校へ。

ホールに山と積まれた支援物資は、いずれも個人や民間企業から送られてきたものだという。教室にも物資がずらりと並んでいたが…。

ボランティアで訪れている 川本紀男シェフ:

食べられるものが1個もないもん。バナナしかない。晩ごはん作る材料はほとんどない。

この小学校への避難者は約250人。朝と夜、あわせて500食以上の炊き出しが必要だ。

支援物資のチェックを終えた川本さんは、さっそく夜の炊き出しの準備に取りかかった。ところが…。

川本紀男シェフ:

200人分作るっていうのは不可能に近い、毎回毎回。

頼みの綱となるはずの支援物資に炊き出しに使えないものも多いという現状に、複雑な心境を明かした。

川本紀男シェフ:

電子レンジに入れなくちゃいけないものは、基本使えないですよね。電子レンジの数が少なすぎるので。

中には、廃棄せざるを得ない食料もある。マツタケの茶碗蒸しや卵豆腐には「要冷蔵商品のため廃棄」と書かれていた。

川本紀男シェフ:

冷蔵庫がないから、ここは。小学校ですから。ノロとか食中毒が一番気にしているから、出したくても出せない。支援してくれた人には悪いんですけど。支援してくれた人は、冷蔵庫がないなんて思っていないでしょうしね。

「ボツ」と書かれた段ボールに入っていたカンパンを手に取った川本さん。

川本紀男シェフ:

賞味期限いつなの?切れてるじゃないの。これはおそらく氷山の一角みたいなものですよ。これ(レトルト食品)も23年ですよ。これ誤ってね、もし被災者の人に手渡しで渡ったら、僕らが言われますよね。

ふりかけの賞味期限も、2023年12月4日。一方的に置いていかれた支援物資の中には、品質がわからないものもあることから、扱いに頭を痛めていた。

川本紀男シェフ:

どこからどこまで手をつけていいかわからない。現状では仕分けが追いつかないですよね。もう毎日、たまっていく一方です。だから、今ここは完全止めました。民間の物資は。

善意で行われる支援が、真に被災者の支えとなることが求められる。

(「イット!」1月10日放送)
 
 

裏金問題に震災対応の出遅れ…重要政治日程を確認すればおぼろげながら見えてきた「岸田首相はいつまでもつのか」

 
 
いつまで持つのか
自民党派閥によるパーティー券の売上金のキックバック(還流)など、政治資金の「裏金」疑惑によって、昨年末から岸田政権に激震が走り続けている。

東京地検は最大のターゲットとされる清和会(安倍派)の歴代事務総長らを相次いで聴取し、複数の国会議員事務所などを家宅捜索。注目点は国会議員の中でも安倍派の幹部級ら「大物議員」が立件されるかどうかになっている。
 
に自民党総裁としての任期が来る。はたして岸田内閣はそれまで持つのだろうか。これこそ2024年の国政における最大の焦点である。展望と、いくつかのシナリオを提示してみた。(文中敬称略)
 
甘すぎる認識
一連の捜査で、自民党が大逆風を受けるのは間違いない。ただ、国会議員本人の立件が見込まれるのは「いまのところ安倍派に限られる」(政府関係者)との見方が大勢だ。つまり、有権者は自民党全体に対して「腐敗している」という目を向けるが、党内では「どの派閥でも国会議員や地方議員に多少の裏金といったものはある。その中で安倍派が犠牲になり、世の中の批判を全面的に引き受けてくれている。他派閥の国会議員はおかげで助かっている」(与党議員)との本音も聞かれる。政治の玄人による目線は冷めているわけだ。

そしてそれは、岸田を首相として擁する総裁派閥・岸田派も直撃を免れるということを意味する。

共産党の機関紙・赤旗によると、岸田派でもパーティー券を利用した裏金づくりが行われていたとされる。真偽はともかく、1月下旬に召集が見込まれる通常国会では、予算委員会で岸田本人が矢面に立たされ、激しい質疑が行われるのは想像に難くない。

それでも「安倍派スケープゴート論」が出るのは、明確な根拠はないものの、捜査の着地点について「とりあえず立件されるのは、国会議員では安倍派所属の少数で、あとは一部事務方らにとどまる」という認識が広がりつつあるからだろう。

3月まではもつ
ニュースで連日のように踊る「裏金」という文字と、絶望的な内閣支持率。その中で岸田が「まるで他人事」と評される奇妙な落ち着きを見せるのは、以上のような背景がある。元旦に発生した能登における大震災で、救助や復旧が国政上の優先テーマとなり、裏金疑惑は相対的に目立たなくなった。一時的であれ、野党もやみくもにパー券問題を持ち出しにくいムードが醸成された。

こうした状況を踏まえると、3月末ごろを見込む24年度当初予算成立までに、岸田が退陣に追い込まれる公算は小さいと言える。実際に岸田は3月までの間に、国賓待遇での訪米によるバイデン米大統領との首脳会談など、複数の外交日程を調整中だ。得意とする外交で挽回の糸口を模索する岸田らしい仕込みである。

もっとも震災対応について初動の遅れといった不手際があったとしたら話は別で、政権が批判される可能性をはらむ。

3月末という時期が注目されるのは、予算成立だけが理由ではない。4月下旬には春の補欠選挙がある。政治資金事件などで辞職する議員が出る可能性を勘案すれば、昨年死去した細田博之前衆院議長を含め、補選は数選挙区で行われそうだ。もし「岸田を選挙の顔にして戦えば補選は大敗する」との声が支配的となれば、予算成立後すぐに退陣に追い込まれるケースはあり得る。

その場合、自民党は新総裁を選ぶことになり、両院議員総会を開いて国会議員だけで選ぶのか、それとも党員を含めた「フルスペック」の総裁選をするのかどうかが焦点となる。

逆に言えば、岸田が訪米など重要な外交日程を3月までに詰め込もうとするのは、引導を渡そうとする動きを阻止するためでもある。
 
それにとどまらず、岸田が模索するのは、予算成立直後の衆院解散・総選挙である。投開票日は4月下旬の補選と合わせ、これで「勝利」すれば形勢は一気に逆転し、秋の総裁選は岸田の再選もあり得る。

次の衆院選は4年間の衆院議員の任期内で行えばよく、時間的に余裕があり、岸田を交代させようとする動きは弱まるためだ。

野党が頼りなさすぎる
ただ、25年夏には参院選があり、改選を迎える参院議員は「選挙の顔」をすげ替えたいかもしれない。仮に岸田が衆院選を乗り切っても、参院議員の動向などが総裁選の結果に影響を与えることになる。

岸田が衆院を解散するタイミングは、春を逃せば、6月の通常国会会期末から9月の総裁選直前までとなる。自らの手で解散し、衆院選に勝利することが総裁再選への近道であることに変わりはない。

内閣支持率と自民党支持率を足して50%を切ると政権維持が危ういという、故青木幹雄元官房長官が遺した「青木の法則」の状況は既に生まれている。それでも衆院解散が岸田のカードとして取りざたされるのは、野党第一党の立憲民主党が「弱すぎる」ことも一因だ。日本維新の会も一定の勢いを維持し、それが野党の分裂状態に拍車を掛け、自民党には有利である。

  
岸田が衆院選を行った場合は「勝敗ライン」が大きな意味を持つ。自民党単独の議席で現有約260という高いハードルのクリアを求める声は、党内には少ない。政治資金疑惑による逆風を踏まえ、自民党単独で例えば「240議席」なら許容できるとか、あるいは単独過半数の「233議席」で勝利と認めるとの意見もある。ただ自民党が単独過半数を割って「自民党と公明党を足して過半数」なら、事実上の敗北として退陣論が拡大しそうだ。すぐ退陣しなくとも、秋の総裁選での再選は険しくなる。

もちろん、岸田が秋の総裁選までに衆院を解散できない公算も大きい。現有議席を大きく割る恐れをはらみつつ衆院解散に踏み切ろうとすれば、落選を危惧する自民党議員らによる「岸田降ろし」が起きかねない。つまり「岸田が解散できるか、さもなければ降ろされるか」の二者択一の緊迫状況が続く可能性は大きい。

展開を占うには、捜査の状況や結果に加え、予算委での攻防の行方がポイントだ。野党が攻め切れなければ岸田は徐々に政権基盤の安定を取り戻し、逆に岸田が窮すれば退陣色は強まる。

ただ「昔に比べて最近はおとなしくなった」(ベテラン議員)とされる若手議員から刷新の声が上がらないような状況が続けば、衆院選も岸田退陣もないままに秋の総裁選を迎え、その総裁選に岸田も立候補するという事態もあり得る。中堅議員の一人は「岸田の代わりとして衆目の一致する総裁候補がいない。誰もどうすることもできないまま総裁選を迎え、岸田がそのまま立候補して再選してもおかしくはない」と語った。

「安倍派一掃」は計算なのか
さて、これまで権勢を誇ってきた最大派閥・安倍派の崩壊それ自体は、実は岸田の党内掌握の強化につながる。安倍派の閣僚や党の重要幹部を一掃した岸田の対応について、有力議員の一人は、故安倍晋三首相が岸田に与えた影響力の強さなどを踏まえ「岸田にとって安倍派自体が政権のキングメーカー的立場にあり、安倍派が瓦解すれば自身を束縛するものが減って権力は強まる。岸田はそれを分かっている」と読み解く。

これに対し、ある自民党関係者は「岸田派も裏金疑惑が指摘されている。安倍派という理由だけで要職を辞任させたのだから、予算委などで『岸田も首相を辞めろ』と迫られかねないはずだ」と首をかしげる。

「安倍派一掃」は捜査状況を把握した上での、岸田による総裁再選戦略の一環としてのしたたかな計算なのか。それとも単なる根拠のない自信に過ぎないのか。今後の政局や捜査が答え合わせをしてくれるだろう。

筋書きの読めない「岸田進退劇場」は、年明けとともに幕を開けた。
 
 
主張
安倍派議員の逮捕
裏金の全容 徹底的に解明せよ

 
 自民党最大派閥・安倍派の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件で、池田佳隆衆院議員と会計責任者の政策秘書が7日、東京地検特捜部に逮捕されました。政治資金規正法違反(虚偽記載)の容疑です。裏金事件での逮捕者は初めてです。自民党は池田議員を除名処分にしましたが、議員辞職は求めていません。安倍派中枢幹部もすでに事情聴取されています。二階派に対しても捜査が進んでおり、事件は拡大の一途です。岸田文雄首相は「信頼回復に努める」と強調するものの、全容を解明する姿勢を示しません。国民の岸田政権への批判は高まる一方です。

約4800万円を不記載
 安倍派は毎年開く政治資金パーティーの際、ノルマを超えてパーティー券を売った議員にその代金をキックバック(還流)していました。還流分は政治資金収支報告書に記載されず、裏金となっており、総額は直近の5年間だけで約5億円に上るとされます。

 池田議員には安倍派から5年間に約4800万円が還流され、その金額を政治資金収支報告書に記載していなかった疑いが持たれています。裏金づくりは誰からの指示だったのか。何に使われたのかなどの解明はこれからです。池田議員には証拠データなどの隠滅を図った疑いも浮上しました。

 池田議員は問題発覚後、政治資金収支報告書を訂正したものの、国民に説明せず、「雲隠れ」しました。国会議員としての資格自体が問われています。

 安倍派では所属議員の大半が還流分を裏金にしていたとされます。松野博一前官房長官ら事務総長経験者など「5人衆」と呼ばれる幹部や複数議員も事情聴取されています。不記載額は大野泰正参院議員が5000万円を超え、谷川弥一衆院議員も4000万円超とされます。他の所属議員の不記載額は1000万~数百万円規模とされ、安倍派ではシステムとして常態化していたとみられます。

 二階派会長の二階俊博元幹事長や同派事務総長を経験した平沢勝栄元復興相も事情聴取されました。同派でもノルマを超えて販売したパーティー券の収入を議員側に還流し、超過分を派閥の収支報告書に記載していなかった疑いなどが持たれています。パーティー収入を巡る不記載は安倍派、二階派だけでなく、岸田派、麻生派、茂木派でも明らかになっており、自民党全体の体質の問題です。

 岸田首相は4日の年頭記者会見で、自身が本部長になる「政治刷新本部」を党内につくると表明し、今週にも初会合を開くとしています。最高顧問には安倍政治を支えてきた麻生太郎元首相、菅義偉元首相が就任するとされます。JNNが6、7日に実施した世論調査では「政治刷新本部」に「期待しない」は59%にのぼり、国民の不信は払拭されません。

企業・団体献金の禁止を
 岸田首相は、政治資金パーティーに国民の疑念を持たれていると言う一方、本格的にメスを入れる対策を示しません。パーティー収入を監査するとか、銀行振り込みを原則にするなど小手先の話ばかりです。そもそも政治資金規正法を踏みにじったことへの反省がありません。金権政治を一掃するには、パーティー収入を含め企業・団体献金を全面禁止し、癒着の根を断つ以外にありません。