「しんぶん赤旗」日曜版が特報した自民党主要派閥のパーティー収入不記載を巡り、ついに現職衆院議員で自民党安倍派(清和政策研究会)の池田佳隆容疑者が政治資金規正法違反容疑(虚偽記載)で逮捕されました。

 不記載の発覚後、池田容疑者は自身の資金管理団体「池田黎明(れいめい)会」の政治資金収支報告書を訂正しました。19~22年の4年間で安倍派からの献金や同団体のパーティー収入など計5921万円を新たに計上。これほど多額の資金が表にでない“闇ガネ”となっていた形です。

 不記載は池田容疑者や安倍派にとどまらず、特捜部から任意の事情聴取を受けた二階俊博元幹事長の二階派(志帥会)、岸田文雄首相が会長だった岸田派(宏池政策研究会)、麻生太郎元首相の麻生派(志公会)、茂木敏充幹事長の茂木派(平成研究会)と、自民党の中枢そのものに広がっています。

 しかし、岸田首相は自民党の仕事始め(5日)で、「国民の信頼を回復」というだけで、企業・団体献金と政治資金パーティーの禁止に背を向けたままです。

 池田容疑者についても自民党は逮捕された7日に除名しただけで、不記載にしていた資金の使途や安倍派の指示などについていっさい説明していません。

 「信頼回復」をいうのなら、特捜部の捜査まかせにするのではなく、国会が独自に証人喚問などで真相究明をすべきです。(三浦誠)

 

池田佳隆衆院議員の関係先捜索前に記録媒体が破壊 証拠隠滅か

 
 
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐり、安倍派に所属する池田佳隆衆議院議員が政治資金規正法違反の疑いで逮捕された事件で、東京地検特捜部が先月、池田議員の関係先を捜索する前に、関係先にあった記録媒体が壊されていたことが関係者への取材で新たにわかりました。
東京地検特捜部は証拠隠滅を図った疑いがあるとみて、池田議員の関与の有無を含め詳しい経緯を調べるものとみられます。

自民党の安倍派「清和政策研究会」に所属する衆議院議員の池田佳隆容疑者(57)は、政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)と共謀し、おととしまでの5年間に安倍派から4800万円余りのキックバックを受けたにもかかわらず、みずからが代表を務める資金管理団体の収入として記載せず、政治資金収支報告書にうその記載をしたとして7日、政治資金規正法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。

特捜部は先月、池田議員の事務所など複数の関係先を捜索し、捜査を進めていましたが、捜索の前に、関係先にあったデータを保存する記録媒体が壊されていたことが関係者への取材で新たにわかりました。

特捜部は7日、池田議員を逮捕した理由について「具体的な罪証隠滅のおそれが認められた。金額も考慮したが、罪証隠滅のおそれが大きいと判断したため逮捕した」と説明していました。

特捜部は、証拠隠滅を図った疑いがあるとみて、池田議員の関与の有無を含め詳しい経緯を調べるものとみられます。

 

自民党裏金事件ついに逮捕者で大詰め 二階俊博氏と世耕弘成氏「和歌山の大物2人」に“明暗くっきり”の声が出るワケ

 
二階はこのと重大性が理解で来ていないのでは????
 
 
 ついに逮捕者が出た。東京地検特捜部は1月7日、自民党・安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーをめぐる問題で、派閥から約4800万円のキックバックを受けながら、政治資金収支報告書に虚偽の記載をした疑いで、池田佳隆衆院議員と会計責任者を逮捕した。事件がどこまでの広がりを見せるのか、捜査は大詰めを迎えつつある。
 
 そうしたなか、裏金事件の捜査でターゲットとなっている面々にも明暗がわかれているようだ。特捜部は昨年末、安倍派の指導部メンバーで前自民党参院幹事長の世耕弘成氏らを事情聴取したが、年明け早々には、世耕氏が地元・和歌山を二分するかたちで主導権争いを繰り広げてきた二階俊博・前幹事長に対しても事情聴取を行った。

 そんな2人の大物がしのぎを削る地元・和歌山では、“2人の明暗がわかれそうだ”と囁かれているという。

 二階氏の地元、和歌山県御坊市で二階氏の側近との間で議席を争ってきた元県議の楠本文郎氏(日本共産党)が、裏金事件で走った激震の大きさを語る。

「裏金疑惑がさかんに報道されるようになった昨年の暮れから、“あの2人は和歌山を疲弊させるばかりで何をしてくれたんや”という有権者の声を聞くことが増えました。これまでこの2人を批判しなかったような立場の人からもそうした声を聞いています」

 保守王国・和歌山の政界で長年、大きな影響力を保ってきた二階氏との暗闘が取り沙汰されていたのが、世耕氏だ。二階氏の地盤である和歌山2区(旧3区)を念頭に衆議院鞍替えに意欲を示してきた世耕氏は、強制捜査前に行われた月刊誌『Hanada』のインタビューで「いずれは国のかじ取りをしてみたい」と首相への意欲を語っていた(同誌の発売は安倍派各議員への任意聴取開始4日後の12月20日)。

近畿大の職員組合からも辞任要求
 地元関係者の間では、今月1日発行の元公明党県議の渡辺勲氏が主宰する県域の情報誌「和歌山〈21政経フォーラム〉」に掲載された「ほんま、世耕弘成は運のない男やな?」と題した座談会形式の記事が話題になっている。「運がない」とは、衆議院への鞍替えに向けて具体的な動きを見せた2021年10月以来、6度も躓いたという指摘だ。

 AとBという2人の「事情通」はこんなやりとりを交わしている。

〈B「第1の躓きは、2021年10月の衆院選での立候補断念。世耕は二階俊博が出馬せず(筆者注・息子に)後継指名したら二階の選挙区和歌山3区から立候補する構えだった。選挙カーまで秘密裡に用意して出馬の機会をうかがっていたが、二階本人が出ることになって出馬を断念した」
 A「世耕は二階と正面から殴り合いをする覚悟ができていなかった。次の機会が巡ってくるのを待とうとしたことが失敗だった。腰砕けだな。そして一昨年の7月8日、青天の霹靂の如く世耕の後ろ盾だった安倍晋三が狙撃死〔原文ママ〕するという事態が出来。これが世耕の第2の躓き。第3の躓きは、一昨年の県知事選における自民党推薦候補者選び『二階VS世耕代理戦争』での敗北」〉

 代理戦争とは、現在の知事である元国民民主党の衆議院議員、岸本周平氏を推した二階氏に対抗するかたちで世耕氏が総務官僚を擁立しようとした県連内バトルを指すが、ここでも世耕氏は撤退している。

 第4の躓きは2022年10月、安倍派の後継争いで派閥内の参院グループを動かすかたちでトップを目指すもこれまた衆議院側の反発で頓挫。さらに第5の躓きは2023年12月に任意とはいえ特捜部の聴取を受けることになった裏金疑惑と参議院幹事長の辞任だ。

 しかもその影響は深刻で、世耕氏が理事長を務める近畿大学の組合の一つ「近畿大学教職員組合」が12月11日、「本学の社会的評価の低下を招く」などとして理事長辞任を求める要望書を学校法人近畿大学に提出する事態に発展した。これが6番目の躓きだ。

 近畿大学といえば世耕氏の祖父で元自治大臣の弘一氏が創立して以来、一族がトップに君臨してきた家業だ。その足元から吹き出した辞任要求のダメージは計り知れず、情報誌の記事は、〈1998年の初当選以来5期25年、世耕は一度たりとも金にまつわるスキャンダルに見舞われたことがない“キレイな体”だったが、今回の裏金疑惑で世耕が営々と築いてきた信用までも失墜した〉〈衆議院鞍替えは(略)儚く消滅した〉と結んでいる。つまり、首相の目も潰えた、というのだ。
 
欠席の世耕、出席の二階
 実際、昨年12月16日の安倍派各議員への任意聴取開始以降、世耕氏は地元の恒例行事にも姿を見せていない。

 例えば、12月17日に御坊市で行われた毎年恒例の全国イベント「ロボットフェスティバル」の会場には姿を見せず、新年1月4日の御坊市を中心とした地域の政財界人が集結することもあって昨年は出ていた「2024年新春賀礼会」も欠席。ラジオ和歌山放送が毎年この時期に衆参の国会議員を招いて行う新年1月6日午後の生放送「和歌山県選出国会議員座談会」も欠席した。

 ちなみに、ロボットフェスについては二階氏も欠席したが、御坊の賀礼会はもちろん出席し能登半島地震を念頭に「オールニッポンで対応していこう」とあいさつ。新春のラジオにいたっては任意聴取が報道される数時間前にもかかわらず、二階氏は元気に出席している。一方、世耕氏は二階氏の影響力をそいで主導権を奪うには退けない場面だったのに、雲隠れを続けた格好になった。

 過去には西松建設から偽装献金を受け取った問題など大騒動の渦中で何度も名前が挙がるなど“古傷”も多い二階氏の場合、この程度の疑惑は“屁の河童”ということなのか。あるいは、万が一責任を問われても、後継者とみられる三男・伸康氏に立ちはだかる世耕氏の衆議院転出の可能性がしぼみ、後顧の憂いが減ったということなのか。和歌山の2人に着目すると、今回の裏金事件で世耕氏が受けた打撃は、二階氏が受けたそれに比べてはるかに大きかったということは言えそうだ。

■取材・文/広野真嗣(ノンフィクション作家)
 
 

自民 池田佳隆議員逮捕で除名処分に 党内では動揺広がる

 
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、安倍派に所属する池田佳隆衆議院議員が逮捕され、これを受けて党は除名処分にしました。
自民党内では現職の国会議員が逮捕される事態に動揺が広がっている一方、野党側は説明責任を果たすよう迫るなど攻勢を強める方針です。
 
 
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、検察は7日、政治資金収支報告書にうその記載をしていたとして、安倍派に所属する池田佳隆衆議院議員と政策秘書の2人を政治資金規正法違反の疑いで逮捕しました。

これを受けて自民党は党紀委員会で池田議員を除名処分にしました。

岸田総理大臣は「大変遺憾で重く受け止めている。党として強い危機感をもって政治の信頼回復に努めなければならないと改めて強く感じている」と述べました。

党内では現職国会議員が逮捕される事態に、「ついに逮捕者が出たか」とか「今後事件が広がれば政権運営にさらなる打撃となる」などと動揺が広がっています。

党としては今週新たに設ける「政治刷新本部」で再発防止策や派閥のあり方などの検討を行い信頼回復を図りたい考えです。

これに対し立憲民主党の泉代表は「地震の対応については全面的に協力しているが、政治の悪を正すことについては手を抜いてはいけない。国会でも全力で追及する」と述べました。

野党側は、今月下旬に召集される見通しの通常国会で、岸田総理大臣に対し説明責任を果たすよう迫るとともに、池田議員の辞職を求めるなど攻勢を強める方針です。

 

フジ報道局編集長 自民・池田議員の逮捕に「金額だけじゃない。証拠隠滅の度合いが悪質だったんだと」

 
 フジテレビ報道局の平松秀敏編集長が8日、同局の情報番組「めざまし8(エイト)」(月~金曜前8・00)に出演。自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る事件で東京地検特捜部が7日、政治資金規正法違反の疑いで衆院議員池田佳隆容疑者(57)=比例東海=と政策秘書の柿沼和宏容疑者(45)を逮捕したことに言及した。

 岸田政権を揺るがす一連の事件で逮捕者が出るのは初めて。現職議員の逮捕に発展したことで、捜査は新たな局面を迎えた。特捜部は還流させた派閥側も調べ、裏金づくりの実態解明を本格化させる。

 両容疑者の逮捕容疑は、共謀して2018~22年、派閥から計4826万円の還流を受けたのに、その額を除いた虚偽の収入を資金管理団体「池田黎明会」の政治資金収支報告書に記入した疑い。安倍派の裏金は5年間で6億円近くに上る可能性があり、所属議員99人の中で池田容疑者側は高額だった。

 岸田文雄首相は「大変遺憾なことであり、重く受け止めている」と官邸で記者団に述べた。自民党は7日付で池田容疑者を除名処分にした。

 MCの谷原章介が「現職の国会議員が逮捕されました。1番最初にこの池田容疑者を逮捕した特捜部の狙い、動き、どう見ていますか?」と聞くと、平松氏は「私、逮捕という一報を受けてちょっと驚いたんですね。なぜかというと、この収支報告書の不記載、虚偽記入というのは基本的に対象は会計責任者なんですよね。過去のケースを見ても現役の国会議員が逮捕されることはほとんどない。非常にまれだった」とコメント。

 続けて「にもかかわらず池田議員は今回、逮捕された。よっぽど悪いことやっていた、悪質なことをやってたからこそ逮捕に踏み切らざるを得なかった。それくらいのことをしていたんだと思います。金額だけじゃないと思います。証拠隠滅の度合いが本当に悪質だったということだと思います」と自身の見解を述べた。