フランスの通信社『AFP』は昨年12月28日付けで、「日本で最も人気のあるコメディアンの一人」と松本さんを紹介。この件について、所属する吉本興業が「性的暴行容疑について否定した」として、名誉棄損での法的措置も検討していると発表したことをレポートしている。
 

 

『AFP』が旧ジャニーズ問題とも関連付けて…。
 

お笑いタレントの松本人志さんの女性への性加害疑惑のスキャンダルが週刊文春と文春オンラインで報じられた件で、海外メディアも反応。日本の最近の傾向を受けて、世界からも注目を集める関心事になりつつある。

フランスの通信社『AFP』は昨年12月28日付けで、「日本で最も人気のあるコメディアンの一人」と松本さんを紹介。この件について、所属する吉本興業が「性的暴行容疑について否定した」として、名誉棄損での法的措置も検討していると発表したことをレポートしている。

また、同メディアも吉本興業の広報担当者に取材を申し込んだ。そして「法定措置を検討している」というコメントを得たが、「それ以上のコメントは控えた」ということだ。そして松本さんと浜田雅功さんが組むダウンタウンについて、日本で最も知名度のある笑いコンビの一つと紹介している。
 

一方、日本での性加害問題として、旧ジャニーズ事務所の元社長であった故・ジャニー喜多川氏による未成年の男子への「性的虐待」について改めて言及。「組織再編につながっていった」と報じている。

そのうえで、同メディアは「世界的な #MeToo 運動は日本では盛り上がりに欠けて、多くの被害者が怖がってしまい名乗り出ないと言われてきた。とはいえ最近では、非常に注目を集めるいくつかの事件で、厳しい制裁を受けている」と、日本の傾向を客観的に伝えている。

 

 

松本人志の“文春砲”で考えるべきこと…アテンド経験のある女性が語る「違和感の正体」

 
決して面白おかしく取り上げる話ではなく、女性側の感情に寄り添う気遣いも必要だ。
以前ならメディアが一斉に無視するような大物芸人のゴシップを世間が取り沙汰するようになっており、旧統一教会、ジャニーズ、宝塚などと同様、タブーを作りにくくなっているのは悪いことではないと感じる。
 
年末に起きた特大芸能ゴシップ
年末に飛び出した週刊文春の芸能ゴシップが世間を騒がせたが、当然ながら大手メディアの多くが沈黙している。

ダウンタウンの松本人志が15年、都内の高級ホテル、グランドハイアット東京の1泊30万円のスイートルームで、スピードワゴンの小沢一敬、放送作家の男性、そして小沢の集めた女性たちと飲み会で集まったが、参加女性が「ゲーム」と称して性行為を強要されたという。全裸の松本には「俺の子ども産めや!」と言われたと証言している。

密室の出来事についての真実は当事者しか分からない。所属事務所も芸能人もファンもマスコミも、彼らの友人知人であっても、何が起こったかを正確に知る術はない。あるのは主に当事者の証言であり、文春はそれを「信用性に足る」と判断して報じたものだ。

その女性の告発に対し、松本所属の吉本興業は、「当該事実は一切なく、本件記事は本件タレントの社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損するもの」と全否定。「法的措置を検討していく予定」と発表した。
 
部外者に分からないことを事務所が否定を断言したのは、おそらく松本から聞いたことを信じたものだろう。
つまり、松本は否定姿勢にあるわけだが、本人はSNS上では否定はせず、「いつ辞めても良いと思ってたんやけど…やる気が出てきたなぁ~」(Xより)と、意味深な投稿にとどまった。

小沢の方は所属のホリプロコムが、「私どもからお話しすることはございません」と、肯定も否定もしないコメントをした。

この反応だけを見ての推察だと、まったくのデタラメな告発とも思いにくいところがある。

性行為の強要は別にして、吉本の「事実は一切なく」という主張が、「グランドハイアットのスイートルームに集まったこと自体もない」とまで言いきるものなら、早急に仕事上のイメージダウンを止めるため、その部分にも踏み込んで伝えるはずだ。

「スケジュールを確認したが、松本と小沢が女性と当ホテルに集まったことはない」とすれば、このゴシップを瞬時に一蹴できるし、もし飲み会自体が事実なら、「ホテルに集まったが、酒を飲んで会話した以上のことはなかった」とすれば、より具体的に否定を強調できる。

裁判しないのはなぜか
ネット上では「ウソなら裁判で訴えるべき」との声も多いが、裁判での決着は何年もかかるため、人気商売を管理する事務所としては早い回復手段にならない。

本来、できるだけイメージダウンを防ぐことをする事務所が、法廷措置の「検討」にとどまるのは、事務所側も実際には苦しい立場がありそうに思える。それを示すのが小沢サイドのノーコメントで、これは本人に事実確認中という可能性がある。

今回の件とは別にして、人気お笑い芸人を含め、芸能タレントたちの合コンみたいなものはよく耳にしてきた話。

参加メンバーを集める役割の人から直接、話を聞いたことが何度もあるからだ。

動画で芸能人らを脅迫した罪に問われている元参院議員のガーシーこと東谷義和が、「アテンド」と呼ばれ、人気俳優の合コンなどに女性を集めていたことを暴露していた。

このアテンドはガーシーのみならず多々存在していて、中にはAV女優から、ビジュアル系バンドのメンバーと合コンで後輩女優たちを集めたという話を聞いたこともある。

筆者の場合、アテンドから聞いた話は、ガーシーのように利益目的にしていたものではなく、大半は「ここだけの話」として記事にもしない関係性で出たものばかり。だから、証言にウソを吹き込む理由がなく、ときにそのアテンドから現場を教えてもらい、その様子を見に行った経験すらあるのだ。

ただ、アテンドによる遊びが横行するのは、芸能人が表立って遊びにくい立場にいるからで、ゴシップを避けたいタレントほど活用したがる傾向を見た。

ある人気お笑い芸人コンビのひとりに、女性ゴシップがあった際、もう一方が「なぜ素人と遊ぶのか」と怒った裏エピソードがある。怒った方は仕事への悪影響を考え、日頃はアテンドが用意した場以外で遊ばないようにしていたからだ。

だから、アテンドのセッティングした場で遊んだ話のある芸能人は、むしろプロ意識から異性問題に気をつけていたという人もいる。もし松本が小沢の集めた女性と飲んだなら、その女性たちが信用のおける人たちだという前提もあったはずだ。

そこは、まさにアテンドの質が問われる。ガーシーのように後に暴露するような人物は、信用していた芸能人にとっては裏切り行為。松本の件について、筆者の友人である女性アテンドはこう言った。

「もしスイートルームに集まったこと自体が事実なら、女性を集めた小沢さんのミステイクもあったという見方もできますね。たとえば、女性がただの飲み会と聞いていたのに、行ってみたら乱交セックスの場だったなら、絶対に揉めます。私は男性タレントに女性を集める場合、乱交みたいなことをするなら、そういうのが大丈夫だという女性を選ばなきゃいけないので、事前にちゃんと確認するんです」

いずれにしても、これが名誉棄損として訴える要素があるなら、ある程度の事実関係が法廷で争われるから、傍観者はそれで判断できる。

「実際にホテルでの集まりがあったか、なかったか」、「小沢は女性に何と言って誘ったのか、誘わなかったのか」、「松本発言を含む、集まりで何が起こったのか」など、気になるところはたくさんあるが、女性の証言が事実であれば性犯罪にもなりえる重大事案。

決して面白おかしく取り上げる話ではなく、女性側の感情に寄り添う気遣いも必要だ。

以前ならメディアが一斉に無視するような大物芸人のゴシップを世間が取り沙汰するようになっており、旧統一教会、ジャニーズ、宝塚などと同様、タブーを作りにくくなっているのは悪いことではないと感じる。