能登地震発生で「いまこそ万博中止」「お金あったら被災地にまわして」求める声拡大 関西財界も「赤字穴埋め難しい」の衝撃発言

 
吉村府知事、能登半島地震で哀悼の意を表明もネット上では「夢洲から珠洲へ」など万博中止求める声相次ぐ
「万博中止の言い訳にしても誰も非難しないから、被災地に資材と業者を回す決断をして下さい」「予算が何倍にも膨れ上がるずさんな万博などより、被災者支援を最優先しましょう」「中抜きリングよりも被災者救済を!」「被災地に早く援助物資を届けて下さい。今こそ『空飛ぶ車』が必要です」「大阪府民として何度も言います。能登復興の妨げになる万博は即刻中止すべきです」「くれぐれも復興万博なんて言い出しませんように」などの声が飛びかった。
 
 
 1月1日16時10分ごろ、石川県能登地方を最大震度7の激しい揺れが襲った。震度7が観測されたのは、2018年9月の北海道胆振東部地震以来。気象庁は「令和6年能登半島地震」と命名した。

 同県輪島市の観光名所・朝市通り周辺では地震発生後に火災が起き、住宅など約200棟が全焼。珠洲(すず)市の泉谷満寿裕(ますひろ)市長は1月2日、「市内の6000世帯のうち9割が全壊、またはほぼ全壊だ」と語った。

 同日、お笑いタレントで「たけし軍団」にも属していたグレート義太夫は、自身の「X」にこう書きこんだ。

《本気で思う。万博やるお金があったら、被災地に回して欲しい。#円形の屋根より被災地に屋根を》

 Xでは連日、《万博中止》がトレンド入り。2025年大阪・関西万博の費用を震災復興にあてるべきという声が多く上がっている。

《半年で壊す万博のパビリオン建てるより、この地震で倒壊した建物を建て直す方が有益ですよね》

《これだけの災害があっても誰も望まない無駄でしかない万博なんか中止、100万歩譲って延期即建設中断して被災地の復旧に全力尽くすべき、ほんとに維新も自民党も人の心あるのか?》

 1月1日には、毎日新聞が配信した、関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)のインタビュー記事が注目を集めた。

 松本会長は、万博の運営が赤字となった場合、「経済界が(穴埋めのために)資金を出すことは難しい」と述べ、万博を主導する国に積極的な関与を求めている。

 SNSでは、運営費の赤字をどこが負担するかも決められないことに、批判的な声が上がっている。

《「国」「大阪府」「大阪市」に続いて、「関西経済界」も万博の赤字は穴埋めしないそうです。こんな無責任なイベント、即刻中止でしょう》

《それなら大阪万博の中止を進言するのが誠意では。黒字になる見込みがあっても最悪のケースに備えられないと》

 だが、万博を中止するにもリミットがある。現在、万博を中止した場合の補償上限額は2億3239万2000ドル。日本円にして約350億円で、奇しくも建設費増額の大きな原因になった、世界最大級の木造建築物「リング」の建築費用とほぼ同額だ。

 だが、2024年4月13日以降、補償上限額は5億5700万ドル(約844億円)と2倍以上に跳ね上がる。そのため、SNSでは、いまこそ万博中止を決めるべきという声が上がっている。

《4/12までに中止すれば補償金額はリング代程度で済む 万博の建築費用は石川県に使って! 万博の建築関係者は石川県の復興に尽力して!》

《大阪万博中止にして、その資金を「令和6年能登半島地震」の復興にまわせ。今なら失敗の言い訳が立つぞ》

《今、万博を止めたら世界から信用されなくなる... いやいや、今万博強引に進めたら世界から馬鹿にされますぜ》

 運営費の赤字をどこが負担するか決められないほど混乱している万博。国、大阪府・市、関西経済界が協議し、復興のための「万博中止」を決めるなら、誰もが納得しそうだが……。
 
 
吉村府知事、能登半島地震で哀悼の意を表明もネット上では「夢洲から珠洲へ」など万博中止求める声相次ぐ
 
 
 大阪府の吉村洋文知事が3日午後、自身のX(旧ツイッター)を更新し、1日に発生した能登半島地震と、その被災地支援のために物資を輸送する海上保安庁の航空機が羽田空港で日航機と衝突し5人が死亡したことについて哀悼の意を表明した。この投稿に対して「夢洲から珠洲へ ただちに大阪万博を中止して能登の復興へ!」など、建設費が膨らむ2025年開催予定の大阪・関西万博の中止を求める声が相次いだ。

 吉村知事は「能登半島地震でお亡くなりなられた方々のご冥福を、被災地支援の職務に従事する中、亡くなられた海上保安庁職員のご冥福を、心からお祈り申し上げます。現在も懸命の救助救命活動が行われています。余震が続く中、救助関係者の安全にも配慮しつつ、一人でも多くの命が救われるよう切に願います」のコメントを発信した。

 コメント欄は「被災された方は大変かと思いますが、大阪は大阪のできることを尽くせばいいと思います」との声もあったが、その一方で「万博中止の言い訳にしても誰も非難しないから、被災地に資材と業者を回す決断をして下さい」「予算が何倍にも膨れ上がるずさんな万博などより、被災者支援を最優先しましょう」「中抜きリングよりも被災者救済を!」「被災地に早く援助物資を届けて下さい。今こそ『空飛ぶ車』が必要です」「大阪府民として何度も言います。能登復興の妨げになる万博は即刻中止すべきです」「くれぐれも復興万博なんて言い出しませんように」などの声が飛びかった。
 
 

【能登半島地震】輪島で新たに7人死亡確認 石川県内73人に

 
 
 輪島市の坂口茂市長は3日、午後4時半時点で市内では39人の死亡が確認されたと発表した。珠洲市でも新たに1人増えて23人となり、石川県内の死者は少なくとも73人となった。

 午後6時から開かれた県の災害対策本部員会議にオンライン出席し、口頭報告した。輪島市内の死者は午後3時時点の32人から7人増えた。

 穴水町の吉村光輝町長は町内で行方不明者が6人いると報告した。
 
 

【能登半島地震】がれきの中に妹の顔 救助できず 地震3日目の穴水 本紙記者ルポ

 
 
 「体に傷が付かないよう早く暖かい所へ連れていきたい」。地震による土砂崩れで複数の住宅が倒壊した穴水町由比ケ丘で、家族4人が家に取り残された中島俊博さん(38)が悲痛な声を上げた。(穴水支局長・中川弘孝)

 中島さんは60代の両親と妹(34)、妹の長男(13)の5人暮らし。地震発生時、2階にいた中島さんは階段を下りられず、傾く家の2階の窓から外へ逃れた。大量の土砂が流れ込んだ1階でほかの4人を探そうとしたが、近所の住民に「無理や。早く逃げろ」と言われ、その場を離れるしかなかった。

 2日早朝から陸上自衛隊金沢駐屯地の隊員が捜索、見つかった父親とおいに意識はなかった。家屋の残骸や土砂に阻まれ、それ以上、人力での救出は断念せざるを得なかった。

 3日朝、現場を訪れるとがれきの中に妹の顔が見えた。「呼ばれた気がします」。そっと毛布を掛けた。小松市と能美市の消防隊が懸命に作業を進めたものの救出できなかった。

 2日には隣家の80代男性が救助された。「死んだらほったらかしでいいのか」。中島さんは目を真っ赤にして訴える。命が助かる見込みが大きい方が優先される。それは十分理解できるが、やるせなさだけが残った。