12月26日、自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部が萩生田光一前政調会長を任意で事情聴取していたことが判明した。
 
 これまで聴取が明らかになっている安倍派幹部は、松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長、世耕弘成前参院幹事長、座長を務める塩谷立元文部科学相、そして萩生田氏の5人。

 いずれも特捜部に対し、パーティー券の販売ノルマを超えた金額が議員側へキックバックされていることは知っていたが、派閥の政治資金収支報告書に記載されていなかったことについて「知らなかった」と説明しているという。

 特捜部は、西村康稔前経済産業相への聴取も検討しているとみられる。

 立憲民主党の小西洋之参院議員は12月26日、自身のX(旧Twitter)にこう書きこんだ。

《安倍派はすごいな。幹部の政治家が知らないところでサラリーマン出身の会計責任者が何億円ものお金を何十人もの国会議員らにキックバックできるのか。あり得ない、としか言いようがない。》

 キックバックに関しては、会長だった安倍晋三元首相が2022年5月の派閥パーティーの直前の4月に、キックバックの取りやめを指示していたと朝日新聞が12月23日に報じている。

 小西議員は12月27日、自身のXにさらにこう書きこんだ。

《安倍派幹部5人は派閥の収支報告書の虚偽記入を知らなかったと供述とのことだが、仮に、安倍元総理のキックバック取りやめ指示が真実ならその指示を受けた事務総長(当時は高木毅 議員)は虚偽記入を知っていたことになる。当然、会計責任者も関わっていたはずで、虚偽記入罪の共同正犯が成立する。》

 安倍派の会計責任者は収支報告書への不記載を認めており、特捜部は会計責任者を立件する方針だ。

 だが、事務総長などの安倍派幹部には派閥の収支報告書に関する義務はなく、不記載を指示するなど会計責任者との共謀を立証するハードルは高い。

 兵庫県明石市の前市長・泉房穂氏は12月26日、自身のXに共同通信の記事を貼り付けたうえで、こう書きこんだ。

《『安倍派幹部5人、関与を否定』との見出しだが、関与を正直に認める供述をするわけがない。知らないはずがないことが客観的に明らかになったとしても、最後まで知らなかったと言い続けるに決まっている。それを前提に立件するのが、特捜部の仕事だ。特捜部よ、使命を果たせ!》

 12月27日には、東京地検特捜部は、安倍派に所属する池田佳隆衆院議員の議員会館と議員宿舎、さらに地元・名古屋市の事務所に家宅捜索に入った。池田氏は4000万円超のキックバックを受けながら、政治資金収支報告書に記載していなかった疑いがある。

 キックバック不記載について「知らなかった」と口をそろえる安倍派幹部5人に対して、SNSでは東京地検特捜部に期待する声が高まっている。
 
《安倍派幹部5人が『知らなかった』?????会社員出身の会計責任者が独断でやるはずも、やれるはずも無い。死人に口なしとばかりふたりの故人に責任をなすりつけるつもりなのか?検察は何としても幹部を立件して欲しい》

《この状況で責任逃れの行動。政治家ってやっぱり汚い人間なんだと改めて思ってしまう。頑張れ!東京地検特捜部!》

《全員否認までは想定内。示し合わせたように会食してたしな。ここで終わったら検察には金輪際期待しない》

「令和のリクルート事件」ともいわれる自民党派閥の裏金疑惑。リクルート事件では当時の竹下登首相が退陣に追い込まれたが、今回はどこまで捜査が進むのだろうか。
 

このご時世に、安倍派・大塚拓衆院議員の政治資金パーティー開催 出席者も「世間は許さないでしょ」と戸惑い

 
この期に及んで、パー券収入による集金を恥とも思わないらしい。
1枚2万円、食事も飲み物もなく対価性などお構いなしか。
こうして裏金事件など「どこ吹く風」が自民党の態度か。
 
 
 自民党の大塚拓衆院議員(埼玉9区、安倍派)の政治団体が25日夜、東京・市谷のホテルで、政治資金パーティー「大塚拓君を励ます会」を開いた。安倍派(清和政策研究会)はパーティー収入を巡る裏金事件で、19日に東京地検特捜部の家宅捜索を受けたばかり。会では、政治資金制度を所管する松本剛明総務相も出席し、スピーチした。「世間は許さないでしょう」と戸惑う出席者も。識者も「国民の怒りが分かっていない」と批判する。(杉谷剛、戎野文菜)
 
◆200人出席 2万円支払って飲食なし

大塚拓氏

 午後5時前、主にスーツ姿の企業や団体の関係者らが次々と会場を訪れ、大塚議員が出入り口の奥で頭を下げて迎えた。
 
 受け付けは国会議員、企業団体、地元来賓、選挙区などに分かれ、数人の事務所スタッフらが1枚2万円の代金を受け取って領収書を手渡したり、事前に振り込んだとみられる人を会場に案内したりした。
 
 出席者は200人前後。この日はテーブルはなく間隔を空けて椅子が並べられ、食事や飲み物はなし。土産の箱詰のサブレとお茶のペットボトルの入った袋が用意された。
 
◆所管する松本剛明総務相も「友達だから」出席

松本剛明総務相

 記者が会場に入ることは許されなかった。出席者によると、大塚議員はスピーチで裏金事件について「お騒がせして申し訳ありません。政治倫理の問題をしっかりやらないといけないと思う」と語った。別の出席者は「議員は『自分は何も関係していないので、会をやりました』と言っていた」と話した。
 
 派閥から60万円のキックバックを受けて総務相を辞任した安倍派の鈴木淳司議員の後任、松本総務相も出席。スピーチを終えて会場から出てくると「(出席したのは)友だちですから」と話した以外は「一切何も申しません」。
 
 会は6時すぎに終了。大塚議員は会場内で、出席者を見送った。スタッフに議員への取材を申し込んだが断られ、会場内にいた議員の名前を呼んでも無言で、出入り口は閉じられた。会場の外で待ったが、議員は結局、姿を見せずにホテルを後にした。
 
◆「他もやっている。先週、1日3回も行った」
 出席した事業者の男性は「11月に出た自民党政治家のパーティーに比べて、今回は人が激減した。他にあいさつした国会議員が1人しかいなかったのは珍しい。この時期の開催は世間が許さないでしょ」。大企業の男性は「パーティーは他の政治家もやっている。先週なんて1日3回も行った。法律を守っていれば悪いことはないのに」と話した。
 
 2022年の政治資金収支報告書によると、大塚議員の資金管理団体「世界システム研究所」は同年2月と12月も「大塚拓君を励ます会」を開き、計2589万円の収入があった。大塚議員は当選5回。自民党選対副委員長を務める。
 
 本紙は26日、大塚議員と松本総務相の議員会館の各事務所に、文書と口頭で取材を申し込んだが、同日夜までに返事はなかった。
 
 政治資金パーティー 政治家や政治団体が活動資金を得るために開く。政治資金規正法は収入から経費を差し引いた残額を政治活動に充てることを認めている。1回のパーティーで20万円を超す支払いを同一の個人や法人などから受けた場合は、政治資金収支報告書に支払った側の名前や住所が記載される。1回で1000万円以上の収入がある場合は「特定パーティー」と呼ばれ、開催日や収入額などの記載義務がある。自民党派閥の場合、1回で1億円以上を集めるケースもある。

◆総務相は駄目だと言わなきゃいけない立場なのに
 ジャーナリストの二木啓孝さんの話 この期に及んでパーティーをやることに、政治的センスのなさを感じる。党が問題をこの程度としか捉えていないということ。岸田首相は早急に党改革をやると言っているけど、党に浸透していない。安倍派は統制がきかなくなっている。崩壊状態だ。総務相は駄目だと言わなきゃいけない立場なのに、出席したのは危機感のなさの表れだ。国民は怒り続けるしかないと思う。
 
◆裏切ったことの重さを理解していないことに腹が立つ
 ノンフィクション作家の吉永みち子さんの話 国民の政治に対する怒りを感じないんですかね。さすがにパーティーは自粛していると思っていたけど、まだせっせと金集めをしているんですね。国民の信頼を裏切ったことの重さを理解していない。そこに腹が立ちます。今パーティーをやる神経を疑う。さらなる不信を覚えますよね。総務相も事の重さを考えられないんですか。想像力すらない人が閣僚で、これから選挙の管理もする。国民をなめている。
 
 
自民裏金疑獄で党本部が東京拘置所に? 史上最大の汚職事件でSNSにブラックジョーク飛び交う
 
 
「誰が逮捕されるのか」「どれくらいの規模になるのか」──。

師走を迎えた東京・千代田区永田町の自民党本部。例年のこの時期、仕事納めの年末ムードが漂う党本部は、全国各地の都道府県連の幹部や支持者らが訪れ、談笑する姿がみられるが、今年は人もまばらで、ピリピリとした異様な緊張感が漂っているという。

それはそうだろう。派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、事件が一体どこまで広がりを見せるのか、現職国会議員の逮捕「Xデー」はあり得るのか、など展開が見えないからだ。
すでに東京地検特捜部は、「安倍派」(清和政策研究会)の座長を務める塩谷立元文部科学相(73)や、事務総長経験者の松野博一前官房長官(61)、高木毅前党国対委員長(67)のほか、世耕弘成前党参院幹事長(61)、萩生田光一前党政調会長(60)らを相次いで任意聴取。27日には安倍派の池田佳隆衆院議員(57)の議員事務所や議員宿舎を家宅捜索した。
 
特捜部は「二階派」(志師会)への捜査も進めているとみられ、事件の全容はいまだ不明のままだ。

■「令和のリクルート事件」どころか、憲政史上、最大規模の汚職事件との声

27日付の産経新聞は、安倍派の所属議員が「キックバックは党からの政策活動費だと思った」などと説明していたことについて、政策活動費が「派閥に支給された痕跡がないことが分かった」「安倍派の説明が虚偽の可能性が高まった」と報道。疑惑が晴れるどころか、ますます深まり、悪質性も強まるばかりだ。

岸田文雄首相(66)が「出来るだけ早い時期に党の信頼回復のための組織を立ち上げる」などと腰の重い態度を見せているのも、逮捕、起訴される人物や人数が分からないため、対応に苦慮しているとも言われている。

「令和のリクルート事件」どころか、憲政史上、最大規模の汚職事件との声も出る中、SNS上では、こんなブラックジョークもささやかれ始めた。

《もしかして逮捕者が続出して、小菅の東京拘置所が党本部になるんじゃないのか》

《ヤメ検の弁護士に声がかかりまくっている、なんて話もあるらしい。着手金は裏金からだったりして》

「秋霜烈日」。特捜部は手を緩めることなく、ガンガンやってほしい。