【政治とカネ】「タイミングが悪すぎる」 岸田首相「自粛」発表当夜に茂木派中核議員が政治資金パーティー開催していた
「会費は2万円で、テーブルには豪華な料理や酒が並んでいました。参加者は100人以上いたと思います。ただ、このタイミングでしょう。直前に岸田首相がパーティーの自粛を発表したばかりだったので、間が悪いというか、なんというか……。可能なら中止にした方が良かったのではないかと思いました。ほかの参加者も『よりによって今日とは』と苦笑いしている人が多かった」(参加者の一人)
会場には茂木氏も来場し、壇上で挨拶も述べたという。この日のパーティー開催について中谷議員に聞くと、事務所から以下の回答があった。
「派閥のパーティーは自粛ということになりましたが、6日のパーティーは派閥とは関係なく、個別のパーティーとして開催させていただきました。発起人代表が派閥の会長である茂木幹事長というだけです。しっかり政治資金規正法のルールに則って、パーティーの収入も政治資金収支報告書に記載しますので問題はありません。特に中止が検討されることもなく、予定通り開催させていただきました。パーティーの開催について、茂木幹事長からも特に指示は何もありませんでした。当日はもちろん茂木幹事長も出席し、発起人代表挨拶もしておられました」
茂木幹事長にも聞いたが、締め切りまでに回答はなし。政治資金パーティーを巡っては、「派閥主催が自粛されても、個人のパーティーを増やせばその分の政治資金を捻出できる」(全国紙政治部記者)とされ、今回のような個人パーティーがまさに“抜け穴”だと指摘されている。自民党に国民の怒りは届いていないようだ。
主張
松野氏の裏金疑惑
「答え控える」はもう通用せぬ
自民党最大派閥の清和政策研究会(安倍派)の政治資金パーティーをめぐる裏金問題で、同派元事務総長の松野博一官房長官側が1000万円超のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していなかった疑惑が発覚しました。官房長官は省庁間の政策調整などをする内閣の要であり、定例記者会見を行う政府のスポークスパーソンです。政権中枢に裏金疑惑が拡大したことは重大です。違法な裏金づくりを行っていたとすれば、官房長官として許されないだけでなく、国会議員の資格にかかわる大問題です。岸田文雄首相の任命責任が厳しく問われます。
歴代事務総長は証言せよ
安倍派では、所属議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分の収入を政治資金収支報告書に記載せずに、議員側に還流するキックバックが組織的に行われていたとみられます。
東京地検特捜部が政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)の疑いで捜査し、派閥の会計担当者らを聴取しているとされます。特捜部は、派閥実務に携わってきた事務総長も還流の仕組みを把握しているもようと報道されています。
2019~21年に安倍派事務総長だった松野氏は裏金問題が浮上して以降、官房長官の定例会見で繰り返し質問されましたが、「政府の立場として答えは控える」とコメント拒否を続けてきました。
8日判明した松野氏の疑惑はパーティー券収支をめぐり18~22年までの5年間に1000万円を超えるキックバックが派閥からあったのに、政治資金収支報告書に記載せず、裏金にしていたというものです。官房長官在任中と重なる期間もあります。安倍派全体で5年間の裏金は1億円超とみられています。松野氏以外の複数の議員も各1000万円超のキックバックを受け、裏金にしていたと報じられており、疑惑は底なしです。
自身の裏金疑惑が焦点になっても、松野氏は説明を拒み続けています。8日に行われた衆参の予算委員会の集中審議で松野氏は「適正に処理してきた」としつつ、派閥で精査しているなどとして疑惑にはまともに答えません。野党議員から進退を問われると「与えられた職責を果たしていきたい」と辞任を拒否しました。
首相も「捜査に影響がある」から派閥の裏金問題の発言は控えるとし、松野氏については「役割をしっかり果たしてほしい」と擁護しました。極めて無責任です。
18年1月以降の安倍派事務総長は松野氏以外に、下村博文元文部科学相、西村康稔経済産業相が務め、現在は高木毅国対委員長が就任しています。歴代事務総長は国会でパーティー券疑惑の全容を語るべきです。
金権政治の根を断とう
パーティー券裏金疑惑は二階派でも指摘されています。本紙日曜版10日号は麻生派の裏金疑惑を報じました。自民党全体の問題です。主要派閥の事務総長経験者の証人喚問が必要です。
首相は当面の派閥パーティーの自粛、自身の岸田派会長からの離脱を表明しましたが、国民世論からはかけ離れています。
やるべきは、裏金疑惑の徹底的な解明です。パーティー収入を含めた企業・団体献金を全面的に禁止し、金権政治の根を断つことが不可欠となっています。
金権腐敗の自民党政治 市民と野党の共闘で終止符を
東京・江東区長選あす投票 小池書記局長訴え
立民の長妻昭政調会長と手塚仁雄衆院議員(司会)、れいわの櫛渕万里衆院議員、生活者ネットの岩永康代都議、江東市民連合共同代表の宇都宮健児弁護士らがそれぞれ訴えました。
酒井候補は「古い政治と決別したい。子どもたちが大切にされる社会をつくりたい。私と変えていこう。誰もが安心して暮らせる社会をつくる」と決意を訴えました。
長妻氏は、自民党政治を「区政からも国政からも一掃するたたかいだ。自民党政治はこりごりだという意思を明確に突き付けよう」と呼びかけました。
宇都宮氏は、「私たち市民一人ひとりが政治の主人公だ。私たちが立ち上がれば新しい区政を築ける」と支持を呼びかけました。
小池氏は、自民党派閥の政治資金パーティー収入をめぐる裏金問題などを厳しく批判し、同区選出の自民党の元衆院議員や元区議会議長が収賄で有罪となった事件にも言及。さらに「子ども真ん中」との公約を掲げていた木村前区長が今年4月の区長選で公選法が禁ずる投票を呼びかけるインターネット上の有料広告を掲載した疑いで東京地検特捜部の捜査を受け辞職したことに触れ「これでは自分真ん中だ」と痛烈に批判しました。
また、同広告掲載への関与が発覚し法務副大臣を辞任した同区選出で自民党の柿沢未途衆院議員について「国会議員の資格がない」と指摘しました。
小池氏は、江東区の職員は東京23区で最も少ないのに削減が進んでおり、日本維新の会が「もっと減らせ」とあおっていると告発。「そんなことをしたら住民サービスがもっと大変になる。福祉切り捨て、負担増の区政も変えなければならない」と訴えました。
その上で、ジェンダー平等、差別禁止を区の基本政策にし、出産・子育てや教育の予算増、小中学校の給食無償化継続、特別養護老人ホーム増設、公契約条例を実現するため酒井候補を勝利させ「新しい政治を一緒につくろう」と呼びかけました。