《整備費高騰の大阪万博》維新・遠藤敬国対委員長が“本音”を語った! 「リングは余計と言われたら余計」「批判的な意見が多いのも無理はない」

 
――維新の国会議員で、万博のために動いている人は?

「僕以上にはいないですよ」

――代表の馬場(伸幸)さんは?

「知らない。(大阪の)地方議員もそんな詳しく知らんやろ。絶対知らんはず。横山(英幸・大阪市長)と吉村だけちゃう? 情報上がってるのは。でも、いっとき、横山にも吉村にも万博協会が情報を何も言ってけぇへんって。そういうことも言うてた」

――吉村さんは万博協会の副会長だが。

「いやいや、万博協会が何をしてんのかわからん。最初の方は、外からの情報で聞くことが多かった。だから、今回も(工事が)遅れた原因なんかわからん。うまく連動してなかったかもわからん。いまは(情報を)共有するようになったと思うけどね」

 
 
 
 運営経費の膨張などが指摘されている2025年の大阪・関西万博を巡り、「日本維新の会」の遠藤敬国会対策委員長(55)が「 週刊文春 」の直撃取材に対し、「リングは余計と言われたら余計」などと語った。万博会場の大屋根(木造リング)については、約350億円という高額な整備費が問題視されているだけに、遠藤氏の発言は波紋を呼びそうだ。

 遠藤氏は飲食店経営などを経て2012年の衆院選に大阪18区から出馬し、初当選。2015年から現在まで国対委員長の要職にある。一方、日本維新の会は、党共同代表の吉村洋文大阪府知事を中心に大阪万博の開催を推進してきた。だが、会場整備費が当初計画の1.9倍となる2350億円まで膨れ上がっていることなどを受け、国民の間では批判の声も高まりつつある。
 
「三重苦、四重苦ですよね」
 果たして、維新の最高幹部で、「大阪・関西万博を成功させる国会議員連盟」の事務局次長も務める遠藤氏はどのように受け止めているのか。11月25日、電話で話を聞いた。
――事業費がさらに増額されるとも。

「費用対効果がどれだけかっていう感じ。やったことが悪いと言われたら、それ以上のことは何も言いようがないよね。だっていま、お家建てるのに、元々の見積もりの金額じゃ絶対できへんのが多いからな」

――岸田文雄首相は11月22日の国会で「これ以上増額しない」と言い切っていたが。

「せやなぁ。世の中全部そうなっているって、有権者の話を聞いていると思うよね。人はおらんし、建築資材が間に合わんし、高なってるし。三重苦、四重苦ですよね。でも『約束した金額でやるんとちゃうんか』と言われたら、『そうなんだけど……』と言わざるを得ない。『物価高なのでやめた』とは、なかなか言いにくい。未来永劫、日本が世界を巻き込むイベントに名乗りをあげるということができなくなる」
 
「僕は世界最大の無駄遣いと思ってないから」
――とはいえ、どんどん増額すると「そこまでしてやるの?」となりかねない。象徴的なのが木造リングだ。

「僕は必要やと思いますよ。あれがなかったら、ただ建物が並んでいるという感じになってしまうので。それはやっぱり芸術家があれを考えたわけなんで。やっぱ芸術やからね」

――350億円というのは、一般の感覚からすると大きい。「世界最大の無駄遣い」とも言われているが。

「僕は世界最大の無駄遣いと思ってないから」

「鉄骨の方が安いのか。初耳や、僕は」
――批判も大きいことから、吉村知事もリングの意義についてツイートしている。

「まぁ『批判も大きい』って自分でも言うてるよ、吉村知事もね。やっぱり国民の生活も物価高でこういう状況やのに、余計なモンと言われたら余計なモンとしかならへんし。やっぱり(万博を)やってよかったなと言われるように、思われるかどうか」

――リングについては、鉄骨造だったらもっと安く抑えられたという議論もあった。ご存じだった?

「知らない。鉄骨の方が安いのか。初耳や、僕は。鉄骨の議論があったというのも初めて知った、いま。そんな議論があるかもわからんな。あったんかもわからん」

――元々堺屋太一さんや橋下徹さん、松井一郎さんが「もう一回大阪万博やろう」と言い出したことから始まった。

「堺屋さんやね、言い出しっぺは。あの時がよかったからというよりも、夢洲という、オリンピック招致に失敗してぺんぺん草が生えてる人工島を生かすために――そういう発想からスタートしている。何にもないから。中古車が並んで、仮置き場みたいやったから。それ(人工島)を生かすために。活性化の起爆剤として」

――オリンピックの遺物を今度は万博で利用しようと。

「そうそう。『(建築費が)高振れしているから』とか言うけど、元々マイナスからスタートしているから。マイナスをちょうどゼロにして、ゼロからプラスに転換するというもの。でも、こんだけ大きな催事をするということは、色々ありますよ。世論調査でも、批判的な意見が多いっちゅうんは無理ないかなと思うし。そんなことないよって反論するよりも、本当に国民がやってよかったなと思えるかどうか、それにかかっていると思ってる」
 
「万博協会が何をしてんのかわからん」
――維新の国会議員で、万博のために動いている人は?

「僕以上にはいないですよ」

――代表の馬場(伸幸)さんは?

「知らない。(大阪の)地方議員もそんな詳しく知らんやろ。絶対知らんはず。横山(英幸・大阪市長)と吉村だけちゃう? 情報上がってるのは。でも、いっとき、横山にも吉村にも万博協会が情報を何も言ってけぇへんって。そういうことも言うてた」

――吉村さんは万博協会の副会長だが。

「いやいや、万博協会が何をしてんのかわからん。最初の方は、外からの情報で聞くことが多かった。だから、今回も(工事が)遅れた原因なんかわからん。うまく連動してなかったかもわからん。いまは(情報を)共有するようになったと思うけどね」

 12月6日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および12月7日(木)発売の「週刊文春」では、遠藤氏とのやり取りのほか、吉村氏と親密な企業が万博事業を続々受注している実態、吉村氏らと蜜月関係にある“生コンのドン”の告白、木造リングが強行された経緯が記された内部資料の存在など、「維新万博」の内実を5ページにわたって詳報している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年12月14日号)
 
 

万博前売り入場券、委託先の半数が未販売 「二度手間」敬遠か

 
 11月30日に発売されたばかりの2025年大阪・関西万博(4月13日~10月13日)の前売り入場券を巡って、そごが生じている。日本国際博覧会協会が販売を委託した旅行会社8社のうち、30日に取り扱いを始めたのは半数の4社。販売方法も自社のウェブサイトのみで、どの社も店頭での対面販売を行っていない。入場券は電子チケットのため、協会はインターネットの操作に不慣れな人向けに店頭での販売を想定していたが、当てが外れた形だ。
 
 ◇鳴り物入り 店頭販売はゼロ

 毎日新聞が全8社に販売方法などを尋ねて判明した。協会はホームページ(HP)で「電子チケットに不慣れな方は、旅行代理店などの販売事業者からご購入することもできます」とアピールしているが、現状は店頭に赴いても入場券を買うことができない。協会の担当局長は取材に「販売方法や販売時期については契約上、事業者側の裁量に任せており、認識が甘かった部分がある。大変申し訳ない」と謝罪した。

 協会は機運醸成につなげるため、開幕まで500日となった30日に照準を合わせて、前売り入場券の販売を始めた。パソコンやスマートフォンで公式サイトから申し込む方法のほか、同じタイミングでの店頭販売を想定。29日にはHPで8社の社名を公表した。「協会と契約を締結した販売事業者の窓口およびウェブサイトからご購入いただけます」と案内している。

 また、発売前の報道陣への説明でも、デジタル機器の操作が苦手な人に向けた委託販売を実施すると説明。店頭で購入してもらい、事業者側が紙に印刷して渡すなどのプランを明かしていた。

 ところが、蓋(ふた)を開けてみると、30日から入場券の取り扱いを始めたのは、エイチ・アイ・エス(HIS)▽JTB▽日本旅行▽東武トップツアーズ――の4社。いずれも自社のウェブサイトのみでの販売だった。

 このうち、日本旅行は店頭でも入場券を扱う予定があるが、現状は「準備中」と回答。HISとJTBは店頭販売を予定していない。東武トップツアーズは入場券にホテルなどを組み合わせた旅行商品の店頭販売は想定しているが、入場券のみの店頭販売は未定という。

 現在、ウェブサイト、店頭とも取り扱いのない4社のうち、クラブツーリズムは開幕半年前に合わせて旅行商品として売り出すとしたが、残る3社は販売時期を明らかにしていない。

 ◇500日前開始「時期尚早」

 こうした背景には、実際に会場を訪れるまでの手続きの煩雑さがあるとみられる。入場券の購入に必要なIDを取得し、入場券を購入しても、別途、入場日時やパビリオンの観覧予約が必要になる。また、旅行会社側には、客のスケジュールが固まる半年前ごろをめどに売り出したいという戦略もありそうだ。

 前売り券は一日券の「超早割」が大人6000円など、同7500円とする会期中販売の一日券に比べて割安な料金設定となっている。しかし、入場日時を予約できるのは原則希望日の半年前からで、パビリオンの予約は同3カ月前から。開幕日に行きたい場合、いま購入しても、24年10月以降に改めて手続きが必要になる。

 店頭で入場券を販売する場合、客に代わってIDを取得し、入場券を購入するだけで終わらず、その後の入場日時やパビリオンの予約までフォローする事態となりかねない。「『GoToトラベル』(新型コロナウイルス禍の観光支援策)でも、ウェブサイトでの手続きに手を出しづらい高齢者がいた」。ある旅行会社の担当者は、店頭販売にも一定の需要を見込む。

 しかし、業界関係者は「6000円の売り上げを得るために、かなりの手間がかかる。手数料収入があるといっても、事業としては割に合わない」と旅行会社の立場を代弁。旅行商品を扱う予定の会社の担当者も「現時点では開幕時期のホテルの相場観が分からず、後で金額を変更すればお客さんに迷惑がかかる」と、500日前からの販売は時期尚早だと明かした。

 店頭販売が行われていない現状について、協会の木村和昭・入場券担当局長は「予約時に再度来店対応が必要になるといった『二度手間』が事業者に敬遠されているのかもしれない。前売り券が売り切れることはなく、入場日時やパビリオンの予約もまだできないので、もう少し待ってもらえれば」と釈明した。【藤河匠、東久保逸夫、宇都宮裕一】