忖度だらけでやってきたんじゃないか、マスメディアは、余りにも遅い!

 

 

 

 

 TBSは26日、公式サイトで「旧ジャニーズ事務所問題に関する特別調査委員会による報告書」を公表。故ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐる同局の報道体制について報告した。

 性加害問題を発端に「メディアの沈黙」が指摘される中、同局は「報道特集」など検証番組や取材の動きと前後して「人権デュー・ディリジェンスを長期にわたり怠ってきた」と自省。再発防止策を策定して公表することが重要として、外部委員を含めた特別調査委員会を設置していた。

 44ページにわたる報告書では「調査の概要」「事実関係と背景」「TBSとジャニーズ事務所の関係」「外部委員から『再発防止のための提言」の4章から構成。ヒアリングによる証言などを交えて検証した。

 

今年3月、BBCがジャニー氏の性加害を特集したドキュメンタリー番組を放送。週刊文春も被害の実態を報じ、4月には元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が性被害を訴える記者会見を開いた。これらに対する局の対応について記載した。

 BBC報道については当時、ロンドン支局からの情報で事前に放送予定を把握。ロンドン支局長が放送を視聴し、外信部長も把握していたがニュースにはしなかった。外信部長は「TBSとして取材した上で放送すべきと考えた」と証言した。ただ、BBCの報道直後から取材に向けた動きも出ており、調査報道ユニットの若手記者が申し出て、情報収集を開始していたという。

 報告書が「最大の問題」としたのは、オカモト氏の会見を取材していなかったこと。社会部として会見の情報を把握しておらず、カメラも出していなかった。「当委員会では、ヒアリングにおいてジャニーズ事務所への特別な配慮などから取材をしなかったのではないかと質問もしたが、全員がこれを否定した」とし、局内の連絡体制にも問題があったとした。

 各局で性加害報道が活発化する中、局内では報道幹部がオカモト氏への直接取材を上司に相談したがすぐに判断は出ず。そうしているうちに週刊文春からTBSが会見にカメラを出さなかったことへの質問状を突き付けられる事態に陥った。それ以前から取材に動くべきと訴えていた若手・中堅の取材チームが立ち上がり、ようやく本格的な取材が始まった。

 ある報道記者は「取材が出来ない、取材することにネガティブになること自体ありえないことだった。正しく取材し、正しく報道することをやらねばTBSという会社は死ぬと思っていた」と緒言。

 「あの沈黙は声をあげようとしている性被害を受けた人たちに対して、声をあげてはならないと、声をあげたら大変なことになるぞという脅しに近いような空気を作ってしまった。そのことに世の中の人は気づいていて、SNSなどで相当な声があがっているのに、会社の中でも、その事の重さに気付いていない人が多かった。危うい状況だったのではないか」という証言も記載した。

 一方で、取材に至る一連の経緯には不可解な点もあったと指摘。通常なら報道局首脳部の許可を得ることなどは「滅多にない」が、カウアン氏の取材に着手するかどうかについて報道幹部が上司にあたる幹部に相談していた。相談を受けた上司もただちに取材しようとはならず、指揮を執ることもなかった。

 報道幹部は「編成局などジャニーズ事務所と向き合う部署との関係が念頭にあったのは明らかで、一定の忖度があったと言われても否定できない」と証言した。

 また、ヒアリングに応じた記者の多くがジャニーズ関連報道をめぐる「『社内調整の困難さ』を口にしている」とも報告した。

 

全裸泥酔事件の草なぎ剛を「撮るな」 TBS調査報告は「報道機関としての責務を自ら放棄」

 

 TBSは26日、事故検証番組・TBSレビュー「旧ジャニーズ事務所問題に関する特別調査報告」を放送した。

 TBSテレビとTBSラジオは、故ジャニー喜多川氏の性加害報道を巡る対応や事務所との関係などについて、合同で調査を実施。

 弁護士2人が外部委員を務める特別調査委員会を設置し、証言などの検証を行い、調査結果の報告書全文を発表した。

 2009年4月には、当時の旧ジャニーズ事務所(SMILE―UP.)に所属していた草なぎ剛が、東京・港区の公園で泥酔した状態で全裸で騒いでいたとして、公然わいせつ容疑で現行犯逮捕された。

 検証番組では、アイドルグループのB氏と表現。逮捕翌日、B氏は送検された後、処分保留のまま釈放された。

 その後B氏を乗せた車は警察署を出た後、報道陣のヘリなどに追跡されながら、港区・赤坂のTBS放送センター内の地下駐車場に入った。

 同局の報道局員がカメラを持って現場に急行したところ、編成局員が「撮るな」などと制止。記者とカメラマンが車を囲み、B氏に質問を投げかけたところ、車は走り去り、その模様は当日のニュース番組で放送された。

 編成局の担当者らが事務所関係者の要望に応じ、車を同局へ招き入れていたという。

 ヒアリングで、報道局編集長は「地下駐車場で取材している記者から電話があり『編成がやめてくれと言っているが、どうしましょうか』と報告があった」「現場にはジャニーズ側と連絡を取っている社員がいた」「偉い人が駐車場にまで出てくる事案なんだな。制作なのか、編成なのか、報道以外の人はそこまでジャニーズに配慮するんだと感じた。取材を邪魔されたのは納得がいかなかった」と証言した。

 特別調査委員会による調査報告では「車両を招き入れた目的は、報道陣の取材から逃れるためだったことは明白であり、報道局の取材を妨害してしまったことになる。いわば報道機関が報道機関としての責務を自ら放棄させうる行為だった」などと分析。

 さらに「再発防止のための措置もとられていなかった」とも指摘している。

 調査委員会の外部委員は、再発防止のため、報道機関として「公平・公正・正確な情報発信」の徹底など、9つの提言を行い、番組でも放送された。


 

「トータルで30分ぐらい」「金額の説明はなし」元ジュニアが明かす“面談で感じた違和感”

 

 

「被害者対応に全力を尽くす――」

東山紀之社長(57)の宣言を実行すべく、SMILE-UP.社(旧ジャニーズ事務所)は被害者との面談を本格的にスタートさせた。被害実態の把握と補償についての説明を兼ねたもので、事務所の補償申請フォームから問い合わせを行った被害者を中心に実施されているという。しかしその対応には疑問点が多い。
 

「対応の遅さは問題だと思います。11月には実態を告発した被害者男性が誹謗中傷などを苦に自殺していたことが明らかになりました。遺族によると、男性は今年5月に事務所に電話をして被害実態を訴えたところ、『担当者から必ず折り返す』と言われたそうです。しかしその後、SMILE-UP.社が男性に連絡をすることはなかった。もし、もっと迅速に対応がなされていたら、こんな悲劇は生まれなかったかもしれません。

また補償額についても基準をある程度公開してほしい。被害状況が多岐にわたり、プライバシーにも関わることだとは理解していますが、今の事務所に対しては『事実を隠蔽するのではないか』という疑念を持つ方も多い。すでに1000万円以上の金額を提示された被害者もいるようですが、『法を超えた救済』を謳う以上、その額をどこまで出し続けられるのか。今後の対応にも注目が集まります」(性暴力被害に詳しい弁護士)

後手後手の対応が目立つ被害者への補償。そんな中でスタートした面談では、トラブルはなかったのか。11月中旬、本誌は面談を終えた直後の元ジャニーズJr.の田中斗希さんに話を聞いた(以下、「 」内の発言はすべて田中さん)。

――面談お疲れ様でした。率直に今の感想をお聞かせください。

「緊張していたんですけど、窓口の方が話しやすかったですね。(事務所関係者は)3人いると聞いていたんですけど、面談対応していたのは2人でした。冒頭では『救済委員会が間に入ったことで遅れが生じている』と説明がありました」

――面談ではどういったことを聞かれましたか。

「主に時系列について聞かれました。何月何日に入所してどういった仕事をしたか、どういったタイミングで社長に家に誘われたかというのを聞かれました。あとは被害にあった後の精神状態なども聞かれました。面談時間はトータルで30分くらいでしたね」

基本的に、事務所の説明には「納得している」と強調した田中さん。面談を終えた表情は、少し晴れやかにも見える。しかし、“あるポイント”については不安が残ったという。肝心の補償額について、なんの説明も行われなかったというのだ。

「金銭的な話はなくてですね、最後の最後でこちらから金銭的な話はどうなりますか、って聞きました。『最終的に今日の話を一回揉んでから決定する』ということでした。だから日本での事例をもとに金額を決めるのか、それとも海外の例を挙げていくのかと聞きました。それに対しては、『日本での金額は少ないので、多くしたいと思っている』と仰ってくれました」

――面談は今回限りと聞きました。一度で被害状況を正しく把握できるのか疑問ですが、そのあたりはどのように思われますか。

「たしかに『こういった形の面談は今回限りになるかな』と言われました。ただ今回、自分の弁護士を連れて行っていなくて。弁護士を同席させての面談を希望したい場合はどうすればいいかと聞いたところ、また機会を作ってくれるという話でした」

――誹謗中傷を苦に自殺した方も出ています。その辺りはどうでしょうか。

「亡くなってしまった人に対しては残念だったと思います。僕のもとには誹謗中傷はあまり寄せられていないのですが……。元ジャニーズJr.の知り合いもみんな、不安がっていますね。金額の面に関してもですし、(事務所の)対応にしても」

――改めて、故・ジャニー喜多川氏についてはどう思われますか。

「こう言うと変に聞こえるかもしれませんが、僕は、恨みはありません。ただ、辛い人生を歩んでいるということをわかってほしい。だから会社の方がこうやって誠意を見せて、補償に動いてくれるというのはありがたいです。あと個人的にはジャニーズという名前が無くなったのが悲しいですね。みなさんの在籍の形が変わってしまうのも寂しいです」

最後に田中さんは「問題の中心である被害者への補償話も進んでいるので、もうそろそろ鎮火していいのではと思います」とポツリとこぼして去っていった。

現在も行われる被害者救済の面談。一人でも多くの被害者が納得し、救われるために、SMILE-UP.社には誠心誠意、迅速に対応が求められる。