マイナ保険証の利用率、8月は4.7%と4ヶ月連続で低下。多くの利用者が、メリットというよりトラブル続きのマイナカードのデメリットを懸念し、利用離れが進んでいる。 政府はそろそろ本格的な軌道修正を考えるべきだ。カードありきは求められていないことを自覚すべきだ。

 

マイナ負担誤登録5695件

厚労省公表 総点検なく全容不明

本紙告発が契機

 
 患者が医療機関で払う窓口負担の割合が、マイナンバーカードなどによる「オンライン資格確認システム」に誤って登録されている問題で、厚生労働省は29日、誤登録が発覚し、データを修正した事例が全国で5695件あったと公表しました。負担割合の誤登録は、本紙(7月4日付)が千葉市国民健康保険の事例を告発、同市長が誤りを認め明らかになりました。同省はシステム改修を行います。

 厚労省が同日開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に報告しました。健康保険組合など全保険者を対象に、負担割合の誤登録が判明し修正した事例を調査したもの。誤登録の件数を明らかにしたのは初めてですが、全被保険者を対象にした総点検はしておらず全容は不明です。

 「システム仕様の問題」が1678件、「正しい事務処理手順が踏まえられずシステムで防止する仕組みがなかった」が4017件です。データは修正済みですが、患者が窓口で誤った負担割合で支払った可能性は「否定できない」(保険局担当者)としています。

 対応策では今年度中にシステム改修を実施、事務処理マニュアルを改訂します。来年夏までに、オンライン資格確認の情報を保険者がチェックする仕組みを導入するとしています。

 負担割合の誤登録は本紙報道後、全国保険医団体連合会が調査し、十数%の医療機関で保険証の券面とシステム登録の相違が生じていることが明らかになり、厚労省が調査に着手していました。(しんぶん赤旗)

 

 

患者の資格情報をオンラインで確認する医療機関での「マイナ保険証」の利用率が8月は4・7%にとどまり、4カ月連続で下がっていることがわかった。厚生労働省が29日公表した。健康保険証の廃止が来年秋に迫る中、相次ぐトラブルなどで利用が広がらず、同省は危機感を募らせている。

 マイナ保険証の利用率は、医療保険の加入情報などをオンラインで確認する際、従来の保険証ではなくマイナ保険証が使われた割合。医療機関にオンライン資格確認のシステム導入が原則義務化された今年4月には6・3%まで上昇したが、その後はじわじわ下がり、8月時点で4・7%だった。利用件数も、ピークだった5月の853万件から734万件まで減少した。

 交付されたマイナンバーカードのうち、保険証として利用登録されたのは約6900万枚。医療機関や薬局では、86%(9月24日時点)の施設でマイナ保険証が扱える状態になっている。

 利用の低迷について、武見敬三厚労相は29日の閣議後会見で、「極めて重要な課題と受け止めている」と危機感を示した。利用が進まない理由については、情報のひもづけの誤りを受けた国民の不安▽医療現場におけるトラブル▽マイナ保険証を利用するメリットがあまり知られていない、といったことが関係しているとの認識を示し、「課題を一つ一つ解決し、国民が安心してマイナ保険証を利用できる環境を整備することを徹底する」と述べた。(吉備彩日)