こんな屈辱はない!

バイデン大統領は意気揚々とスピーチ開始。冒頭「台本になかったことから話させてもらう」と切り出し、右隣の岸田首相の方を向いて「欧州でも米国でも、彼が立ち上がり、ウクライナを支援し、日本の防衛費を増額すると思っていた人はほとんどいなかった」と語りかけた。「彼は日本を強化した」「改めて公の場で感謝したい」と持ち上げた。

 

 

 加齢による認知機能の衰えが指摘されている米国のバイデン大統領が、またやらかした。

 リトアニアで開かれたG7とウクライナとの首脳会議後の演説で、ゼレンスキー大統領をロシアのプーチン大統領のファーストネーム「ウラジーミル」と呼んで会場をザワつかせた後、「アドリブ」と断りを入れて岸田首相を絶賛。その意図をめぐって臆測が広がっている。

 首脳らが並び立つ中、バイデン大統領は意気揚々とスピーチ開始。冒頭「台本になかったことから話させてもらう」と切り出し、右隣の岸田首相の方を向いて「欧州でも米国でも、彼が立ち上がり、ウクライナを支援し、日本の防衛費を増額すると思っていた人はほとんどいなかった」と語りかけた。「彼は日本を強化した」「改めて公の場で感謝したい」と持ち上げた。

■防衛費倍増を暴露され…

 しかし、岸田首相にとって防衛費倍増ネタは鬼門だ。

 というのも、バイデン大統領は来年の大統領選に向けた先月下旬の集会で「広島を含めて3回、日本の指導者と会った。彼(岸田首相)を説得し、彼自身も何か違うことをしなければならないと考えた。日本は飛躍的に防衛費を増やした」と発言。米国に隷従して防衛費を増やしたと暴露したのである。

 

 さもありなんではあるが、日本国内でハレーションを起こしたことから岸田政権は米政府に異論を申し入れ、バイデン大統領が訂正した経緯がある。なのにまた……。どういうつもりなのか。

 国際ジャーナリストの春名幹男氏はこう言う。

「頭の片隅に防衛費倍増をめぐるスッタモンダの記憶があり、気を利かせたつもりだったのか。あるいは、米国の安保戦略に欠かせない日本をさらに引き寄せるため、おだてたのかもしれません」

 年が明ければ大統領選レースが本格化し、再選を目指すバイデン大統領は内政で手いっぱいになる。台湾有事もにらんだ対中包囲網の構築に日米韓の連携はマストで、年内に議論は加速するとみられている。

「8月下旬にワシントンで予定される日米韓首脳会談で、米韓の核協議グループに日本が引き込まれる可能性は十分にある。そうなれば非核三原則はなし崩し。もうひとつの懸念は、台湾有事をめぐる在日米軍の出撃問題です。現状は日米安保条約に基づく事前協議の対象で、フリーハンドを得たい米軍にとってネック。無定見な岸田首相がどこまで追従するかが焦点です」(春名幹男氏)


 日本列島は不沈空母──。中曽根元首相が米国でそう言ったのは40年前。歴史は繰り返されるのか。