断言しよう。私たちはなめられ切っている。
笑って済ませるのが大人の態度、などでは絶対にない。怒るべき時に怒り、妄言の主が政治家であるなら引きずり降ろすのが、正しい有権者の行動原理であるはずだ。
徹底的な無責任と選民意識の化身がまかり通る時代など、一刻も早く終わらせる必要がある。当たり前の話
麻生太郎がまた愚にもつかない与太を吐いた。ある講演で少子化問題に触れ、「一番大きな理由は出産する時の女性の年齢が高齢化しているから」。
多少の批判を浴びはしたが、だからって引退に追い込まれるでもない。マスコミは相変わらず「麻生節」の何のと甘やかす。石原慎太郎の時もこうだったが、日本社会の根源的な愚劣さを見せつけられているようで悲しい。
少子化は深刻に過ぎる国難だ。日本では1970年生まれの女性の27%に子どもがいない。先進17カ国中で最高の「無子率」なのである(12日付日経朝刊)。
理由はもちろん多様だ。あえて産まない夫婦も、欲しくてもできない夫婦もいる。ただ近年は、そもそも結婚しない人が増加の一途なのだと人口問題の専門家は指摘した。
ではなぜ結婚しないかと言えば、はたしてカネも時間もないという話に行き着いてしまう。既婚者の子づくりにも共通する悩みだ。
あるいは世の中の現状や将来への悲観だろうか。私は幾組もの若夫婦に、子どもがいじめられるのが怖くて産めないと聞かされた。実際、“いじめ”事件を取材すると、弱肉強食の新自由主義に侵された学校現場が、むしろそれを奨励しているように映る場面も少なくない。
いずれにせよ少子化は、社会や政治のありようの結果そのものだ。かりそめにも政治家を名乗る人間なら、重い事態と正面から対峙し、結婚や出産を望むすべての人々に、道が開かれるよう努力するのが責務ではないのか。
一族の七光だけで生きてきた麻生は、それを女性個人の責任に押し付けて悦に入る。社会的弱者と見れば見下し、あざけり笑うことばかり繰り返してきた政治家人生だ。糖尿病患者、寝たきり老人、いじめられっ子、原発事故の犠牲者……。憲法改正はナチスに学べと弁じ世界中の非難を集めてから、すでに10年の歳月が経過しようとしている。
あの男の存在だけで、自民党
政治の本質がわかる。問題は、それがかえって人気の、高い支持率の源になってしまっている無残をどう捉え、いかに改めていくのか、だ。
断言しよう。私たちはなめられ切っている。
笑って済ませるのが大人の態度、などでは絶対にない。怒るべき時に怒り、妄言の主が政治家であるなら引きずり降ろすのが、正しい有権者の行動原理であるはずだ。
徹底的な無責任と選民意識の化身がまかり通る時代など、一刻も早く終わらせる必要がある。当たり前の話。 =文中敬称略
【独自】北九州市長選が「麻生太郎vs武田良太のガチンコ戦争」でヤバすぎる…麻生陣営が放った「極秘ペーパー」を入手
2月5日に投開票される福岡県北九州市長選が大荒れの模様だ。北九州市は人口約95万人、福岡市と並ぶ福岡県の政令指定都市だが、いま永田町の住人はこの市長選の行方を虎視眈々と見守っている。
こう話すのは、自民党の福岡県選出の国会議員である。
これまで北九州市の舵取りを担ってきた北橋健治市長は、旧民主党で6期衆議院議員を務め、市長に転身後、4回連続当選を果たしてきたが、今回の市長選に不出馬と表明した。
北橋市長は、これまで自分を支えてきた自民系と・旧民主系の会派が支援する候補者を「後継に」との考えを示してきた。
後継候補として真っ先に手を上げたのは、元厚生労働省の官僚・武内和久氏だった。2019年の福岡県知事選にも出馬したものの小川洋知事に敗れ、現在は九州国際大学客員教授を務める。福岡県知事選に出馬したとき、武内氏のバックについていたのは麻生太郎副総裁だった。武内氏は自民党から支援を取り付ける意向だった。
ところが昨年10月、北九州市議会の自民系と旧民主系会派が出馬要請したのは、武内氏ではなかった。北九州市出身の国土交通省の官僚・津森洋介氏を東京にまで訪ね、出馬を求めた。津森氏は快諾し、11月に出馬会見。ここで北橋氏も「後継に」と承諾した。
武内氏の出馬で大勢が固まったかにみえたが、黙っていなかったのは、地元の麻生太郎副総裁だった。
前出の国会議員が明かす。
「自民系会派で支援が決まった以上、自民党福岡県連として、津森氏を推薦する承認の署名を麻生先生に求めたのですが、麻生先生はこれを拒否しました。
そこで同じ九州選出の森山裕選対委員長がわざわざ麻生先生を訪ね、署名について聞くと、『(署名は)しない』と明言したと聞いている。
署名が揃わないと福岡県連から党本部に候補の推薦を上申できないので、宙ぶらりん状態となりました。麻生先生を説得するどころか、まともに口が聞ける国会議員など皆無ですから、大混乱になった。最後は麻生氏が『署名はしないが党に一任』という線で、森山氏がまとめた。ギリギリでの危機一髪を回避したのです」
自民党会派が津森氏の擁立を決めると、麻生氏に近く武内氏を支援する自民党の北九州市議たちは、さっそく別会派を結成し対立。選挙戦が始まっても混迷の度合いを深めている。
「麻生氏は、津森氏のバックには、大嫌いな自民党の大物議員がいるから署名をしないという。永田町政治がそのまま、北九州市長選にもということでしょう」(自民党幹部)
麻生氏が「大嫌いな大物議員」というのは、武田良太元総務相。麻生・武田の犬猿の仲は地元でも永田町でも有名だ。
選挙直前のこと、この津森氏の陣営の内部情報を明かす極秘文書を現代ビジネスは入手した。内容から考えると敵方陣営の関係者、すなわち武内陣営が執筆したものである可能性が高い。
この文書には、外部への流出を恐れるためか、【取扱注意】と打たれている。この極秘文書には、津森氏の支援者だという「大物」の名前が続々と登場する。
《1月に菅元総理が(津森氏の)応援に来る予定》
《二階も九州入り》
《西村(明宏)環境大臣も支援のお願い》
くり返しになるが、この文書は武内陣営、すなわち麻生サイドから出たものの可能性が高い。岸田文雄首相を「ど真ん中で支える」と公言する麻生氏にとって、菅義偉元首相、二階俊博元幹事長ら「非主流派」が津森氏を担いでいるのが我慢ならないようだ。
選挙直前の1月14日、極秘文書のとおり菅義偉元首相は北九州市に入る予定だった。だがあまりの地元での軋轢を知り、「ドタキャン」。周囲にはこう話したという。
「麻生さんと武田があんなに揉めているところには、さすがに行けないよ」
菅氏に北九州入りを懇願してきた武田氏も最後は折れたという。
この「極秘ペーパー」にはこうも記されている。
《津森も表であまり言っていないが武田と関係があるという話をしていた。(菅氏、二階氏など)大臣関係も(二階派幹部の)武田議員が絡んでいる》
武田とは、福岡県が地盤の武田良太元総務相のことを指している。
麻生氏と武田氏は、衆院の小選挙区が隣同士であることもあって、昔から「犬猿の仲」であるのは永田町でも福岡県でも知られるところだ。
「武田氏の野望は、二階氏の政界引退後にその派閥を継承し、地元のドン・麻生氏にかわって、福岡県を牛耳ることだ。あわよくば麻生派の議員も自派に引き込みたいと考えている。武田氏は、今回、北九州市長選でその足掛かりにしたいと暗躍している。
実際、津森氏はこの武田氏から吹き込まれたのか、先輩官僚らに『麻生氏に虐められている』と吹聴しているそうだ。そんな話も伝わり、麻生氏や武田氏周辺では、北九州市長選の話になるとピリピリしている」(前出・国会議員)
麻生氏にとって、我慢ならないのは武田氏の動きだけではない。今回、麻生氏の逆鱗に触れた人物がいた。参議院福岡選挙区選出の大家聡志財務副大臣だ。
麻生派の一員でもある大家氏は、前回の福岡県知事選でも麻生氏ともに武内氏を支援した。ところが今回は、武内氏ではなく津森氏の応援に回っているのだ。
「武田氏を通じて、津森氏支援になったようです。それを知った麻生氏は、大家氏をわざわざ呼び出して、こっぴどく叱ったという情報が流れています。しかし大家氏は麻生氏の武内氏支援に納得できなかったそうで、今も津森氏の応援をしている。
大家氏は機を見るに敏、権力に流されるタイプですから、逆にこの動きは『麻生氏はもう長くない、これからは武田氏の時代だと麻生氏に見切りを付けるために、津森氏に乗り換えたのではないか』というのがもっぱらの噂です」(自民党の県議)
12月4日、この大家氏は北九州市で「政経フォーラム」を開催した。主賓でスピーチを予定していた麻生氏は、津森氏支援への当てつけだろうか、会場には現れることはなかった。また麻生氏に近い福岡県議会のボス・蔵内勇夫県議も同じ行動をとったという。
岸田政権の支持率が低迷する中、今年予定されている選挙の中では最初に注目を浴びるのがこの北九州市長選なのだ。
「武田氏は麻生氏から福岡のドンの座を奪い取ろうと、この北九州市長選に賭けている。二階派の議員にも『北九州に来て』と珍しく頭を下げているのです。二階氏からも津森氏の支援で了承もとりつけ、菅氏への根回しもしてきた」(二階派議員)
武田氏が麻生氏を蹴落とすための「菅氏の北九州市入り」は中止となったが、このままで終わるはずがない。
「和歌山知事選では、二階氏が安倍派の世耕参院幹事長の候補を引きずり降ろして『あっ』といわせた。武田氏も二階氏と菅氏の後ろ盾で、その再来を狙っているんだよ」(同・二階派議員)
一方で、麻生氏も、武田氏の動きを黙って見ていることはない。
「麻生先生は武田氏と大家氏の話になるととたんに機嫌は悪くなる。麻生先生自らが積極的に選挙に関与するだろう」(麻生派の国会議員)
永田町のトップ級の政治家が暗躍する混迷ぶりに、北九州市の北橋市長は選挙初日に津森氏の応援でマイクを握り、「ゴールを目指したい」と支持を訴えた。だが舞台裏では大物政治家たちの暗闘に「もう自分の後継とか、そういう次元の情勢じゃないね」とあきれ顔だという。麻生vs菅・二階・武田という「永田町選挙」の様相を呈する北九州市長選の結果がどうなるか見物である。
現代ビジネス編集部
麻生太郎氏のプライドはズタズタ…地元首長選で“天敵”武田良太氏に2連敗の大ピンチ
地元・福岡県で対立している自民党の武田良太元総務相に、地元の首長選挙で2敗目を喫しそうだからだ。しかも、武田氏のバックに、これまた自分と距離のある菅義偉前首相がいるため、なおさら、イライラを募らせているに違いない。
22日に告示された北九州市長選は、麻生副総裁に近い候補と武田氏が推す候補が立つ“自民分裂選挙”となっている。
武田氏が推すのは元国交官僚の津森洋介(47)。一方、麻生副総裁と近いのは元厚労官僚の武内和久(51)。自民党本部は、武田氏が推す津森候補の推薦を決めている。
「最終的に津森候補は、自民推薦となりましたが、推薦となるまで異様な経緯をたどっています。34人の党幹部、全員の署名が集まらないと正式な推薦とならないのですが、麻生さんが最後までサインを拒んだのです。仕方なく、選対委員長が麻生さんから“一任します”という言葉を得て、承認したことにしています。よっぽど、天敵である武田さんが推す候補を推薦したくなかったのでしょう」(自民党事情通)
「2019年の福岡県知事選も、麻生VS武田の分裂選挙となり、武田陣営が圧勝しています。その時の知事選で麻生さんが担いだのが、今回、北九州市長選に出馬した武内候補です。麻生さんが津森推薦のサインを拒んだのは、知事選に担いだ武内候補に義理立てしたということもあるでしょう。しかし、知事選につづき、政令指定都市の市長選でも大敗すると影響は大きい。福岡県政の勢力図は、麻生派と武田派がほぼ互角ですが、新興勢力の武田派がどんどん大きくなっている。北九州市長選で勝利すると、武田派はさらに強くなるはずです」(県政事情通)
北九州市長選には、麻生副総裁とキングメーカーの座を争う菅前首相も参戦している。
「結局、ドタキャンしたのですが、菅さんは1月14日に現地入りして、津森候補の応援演説を行う予定でした。麻生さんに気を使ってドタキャンしたという見方もありますが、もし本当に気を使っているなら最初から応援演説を引き受けないでしょう。恐らく、自分は武田陣営の人間だと見せつけることができれば、それで十分だったのでしょう」(政界関係者)
足元から崩れ始めている。