マイナンバーカードが保険証と併合を2024年までに実施すると河野太郎は言いきる。国民の中にはマイナンバーカードを所得しない人も出てくる。その人達には病院での支払いは資格証明書のように全額支払いになるのかと質問をするが、加藤厚生労働大臣はそうにはならないとの答弁。任意であるべきマイナンバーカードを切り捨てる国民・病院があってはならないと。保険証と一体化はやるべきでないと追究する山添拓さん

 マイナンバーカードと保険証の一体化に伴う、現行の保険証の廃止が大不評だ。2024年秋までの保険証廃止をブチ上げた河野デジタル相は政権内で突破力を買われているようだが、あまりにも雑な「突破」に“推進派”も懸念を抱いている。

 マイナンバー制度の医療分野での活用は、厚労省の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」(2014年設置)が1年半かけて議論。15年に医療保険のオンライン資格確認などの促進を報告書にまとめた。

 検討会の議論はマイナンバーの活用が大前提だ。どのように運用するかについて、個人情報保護の体制構築や国民の理解を得るという注文を付ける一方、活用は「大いにやるべし」との立場である。

 

元検討会メンバーは「ますます国民の反感を買う」

 

 ところが、そんな“推進派”の中からも、保険証を人質にマイナカード普及を狙う政府のやり方に対して懸念が噴出している。元検討会メンバーで一般社団法人医療情報システム開発センター理事長の山本隆一氏がこう指摘する。

 

「マイナカードのようなICカードを普及させた諸外国は、まず最初に、番号を使った保険・医療サービスを提供し、国民にメリットを提示しました。一方、日本は行政手続きの合理化や簡素化が先に立ち、国民にとって何が利点なのか分からないまま。これでは普及率は上がりません。マイナカードのサービスを実感してもらおうと、オンライン資格確認を始めたものの、利用者にとっては保険証で済んでいた手続きをマイナカードでやるメリットが伝わりづらい。国民にメリットを理解してもらう説明を政府が怠ったまま、事実上、強制的にカードを取得させるのは首をかしげざるを得ません。ますます国民の反感を買います」

 政権による保険証廃止・カード取得のゴリ押しのシワ寄せを受けるのは結局、医療現場だ。

「マイナカードを持っていないと医療を受けられないという誤解が広がっているように感じます。医療現場に『カードを持っていないけど、どうしたらいいか』などの問い合わせが来る事態にならないとも限りません。本来業務とは別に、事務手続きの説明に手間を取られたら相当な混乱、反発をきたすと思います」(山本隆一氏)

 カードを取得させるために保険証を廃止するのは邪道だ。突破力なんかじゃない。