小樽、文学・藝術の灯は消えず。

 

この艀は老朽化でなくなっています。

 

 小樽をテーマとした文学や芸術を発表する同人雑誌制作が現在、小樽を拠点に活動するフリーライターの盛合将矢さんらを中心に進んでいる。

 

 制作を予定している同人雑誌の名称は「RAIN(レイン)」。A4サイズの中とじでフルカラーの52ページを予定する。毎年3月15日発行で、2024年まで発行を継続する予定としている。

 盛合さんによると、小樽では同人誌の制作や芸術が盛んだった時期があり、文学の分野では小林多喜二による同人誌「クラルテ」や伊藤整による「青空」、芸術の分野では三浦鮮治や中村善策などによる美術団体「太地社」が設立されたという。「クラルテ」が出版された1924(大正13)年から100年となる2024年を迎えるに当たり、これからも小樽が文学と芸術の街であり続けるとともに作品を発表しやすい街になってほしいとの思いから、同人雑誌制作を企画した。

 雑誌に参加する作家はSNAPさん、黒狐さん、盛合将矢さん、はしもとなつかさん、HiNAさん、ku-minさんら6人。漫画や小説、油彩画などの作品を連載するほか、「小樽の美術」「小樽の文学」などのコラムも設ける。市内で創作活動をしている人のエッセーも掲載を予定する。

 盛合さんは「誌名は、何かに負けそうになって、それでもまだ戦おうとしているときのイメージとしてのRAIN(雨)に決めた。そのほかにも、小樽は雨が似合う。雨は個性。雨という漢字を何かと合わせると、季節や喜怒哀楽などを表現できる。一度負けても、それでも雨の中を一人で歩き続けた人の生きざまなど、さまざまな思いを込めた」と話す。

 現在、クラウドファンディングで資金を募っている。1月4日現在、目標金額25万円の88パーセントに当たる22万1,912円の支援金を集めた。

 支援金の募集は1月25日まで。支援金は777円から可能で、850円以上を支援すると同人雑誌を発売前に進呈する。

 同誌の発行予定部数は340部。支援者に約300部を進呈し、市内で40部を販売する。

 

 

 

 

【碑文】

冬が近くなると
ぼくはそのなつかし
い国のことを考えて
深い感動に捉えら
れている そこには
運河と倉庫と税関と
桟橋がある そこで
は人は重っ苦しい
空の下を どれも背
をまげて歩いている
ぼくは何処を歩いて
いようが どの人を
も知っている 赤い
断層を処々に見せて
いる階段のように山
にせり上がっている街
を ぼくはどんなに
愛しているか分からな


旭展望台の展望所とは反対側の小高い丘に建つ堂々としたユニークな文学碑。碑のデザインは彫刻家の本郷新。本のページ見開きをかたどっている。右上部に多喜二の肖像レリーフと右中央部に詩文、左上部に北斗七星と北極星の嵌め込み。左中央部に青年労働者の頭像。碑文は多喜二が獄中から友人の妻に送った手紙の一部。多喜二は小樽高商卒。後にプロレタリア作家となる。「蟹工船」「不在地主」など。当時の特高警察の思想弾圧で拷問死。小樽をこよなく愛した作家。「不在地主」など小樽を舞台にした作品が多い。中央バス 最上町線 商大通り下車 徒歩20分 旭展望台