東京五輪・パラリンピックの開催を巡る議論について、世界保健機関(WHO)などが沈黙しているのは「責任逃れだ」と批判する論説を英医学誌ランセットが14日までに公表した。国際オリンピック委員会(IOC)や日本政府だけでなく、「今すぐ世界規模で議論するべきだ」と訴えた。
 

 同誌は、五輪では世界中から選手や報道関係者、スタッフが参加するが、ワクチンが義務化されていないため、それぞれ自国に戻った際に新たな流行を生み出す危険性があると指摘。「日本の感染状況にも悪影響を及ぼす可能性がある」と懸念を示した。

 

 

 

G7、中国への懸念表明「台湾海峡の平和と安定」強調 コロナ起源で追加調査も訴え

【コーンウォール=藤沢有哉】先進7カ国首脳会議(G7サミット)は13日、英南西部コーンウォールでの3日間の日程を終えて閉幕した。首脳声明では、覇権主義を強める中国への対抗で結束する姿勢を表明。中国が軍事的威圧を強める台湾情勢について初めて言及し「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調した。新疆しんきょうウイグル自治区を巡っては中国を名指しして「人権と基本的自由の尊重」を求めた。
 
 中国が海洋進出を強める東・南シナ海情勢では「深刻な懸念」を表明した上で「現状を変え、緊張を高める一方的な試みに強く反対する」とけん制。香港の「高度な自治」も求め、「自由で開かれたインド太平洋」の重要性を強調した。
 
 中国の経済政策の公正さや透明性も疑問視。巨大経済圏構想「一帯一路」への対抗を念頭に、途上国のインフラ整備を支援する新構想でも合意した。
 
 
◆気候変動対策でも合意
 ただ、G7としては人権問題などで中国への厳しい姿勢を示したが、中国との経済関係などを背景に、加盟国間には温度差もある。
 
 新型コロナウイルス対策では、途上国などに2022年にかけ、ワクチン10億回分に相当する支援を明記。中国、ロシアのワクチン外交に対抗した形だ。ウイルスの起源の解明のため、世界保健機関(WHO)の透明性のある追加調査を中国で行う必要性も訴えた。
 
 気候変動対策では、遅くとも2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするため、30年までに10年比でほぼ半減するなどの取り組みで合意。排出抑制対策を講じていない海外の石炭火力発電に対し、政府の新たな支援を年末までに停止することでも合意した。
 
 11日に開幕したG7サミットはコロナ禍の影響で2年ぶりの対面方式となった。19年は、トランプ前米大統領と欧州側首脳が対立し、包括的な首脳声明を出せなかった。

 
【東京五輪】開催支持の米バイデン大統領が菅首相に〝厳しい注文〟
 
 米国のジョー・バイデン大統領(78)が、日本の菅義偉首相(72)に対し東京五輪の開催を支持する一方で厳しい〝注文〟をつけた。

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 菅首相は先進7か国首脳会議(G7サミット)の会場で、バイデン大統領と約10分間の会談を実施。菅首相が今夏の東京五輪の開催に向けて決意を示すと、バイデン大統領は「首相を支持する」と明言した。

 新型コロナ禍の中で開催反対への世論が高まる中で米国からの〝お墨付き〟は、日本政府にとって何より心強いものとなる。しかし一方で超大国のトップは無条件に開催を後押ししたわけではない。

 アイルランドメディア「インデペンデント」などによると「バイデン大統領は菅首相との会談で、関係者の安全を確保するための公衆衛生措置を課す必要性を強調した」と報道。あくまでも万全の感染対策を施したうえでの〝条件付き〟の開催支持なのだ。

 しかし、現状で東京五輪の感染対策には多くの〝穴〟が指摘されている。選手村での飲酒を現状で禁止していないほか、競技終了後の選手、大会関係者やメディア関係者が感染防止のための〝バブル〟を破る懸念に対しても有効な防止策を示せていない。バイデン大統領による東京五輪への見解は、こうした現状の改善を促す〝勧告〟とも受け取れる。

 世界中から感染リスクが指摘される中で万全の感染対策が準備できないようなら、米国が今後手のひら返しする可能性も十分ありそうだ。