自民党・自見英子参院議員(45)の政治資金パーティに出席していたと、『文春オンライン』で報じられた日本医師会の中川俊男会長(69)。

記事によると自見氏の後援会会長を務める中川氏は自ら発起人となり、関係者にパーティーの参加を募ったという。パーティーは4月20日に東京都内のホテルで催され、当時は「まん延防止等重点措置」が適用されていた時期だったとして物議を醸している。

5月12日の定例会見で質疑応答に応じた中川氏は、「慎重に判断すれば良かった」と陳謝。各紙によると日本医師会の常勤役員は全員出席し、その人数は中川氏を含めて14名にのぼったという。中川氏は進退について「これまで以上に責務を果たしていく」と述べ、会長辞任を否定している。

また「主催者として緩みがあったのでは?」と問われると、中川氏は「緩みということは全くございません」と釈明。パーティーでは「会食はしていない」「登壇者以外ほぼ無言だった」など、感染防止対策の徹底を強調した。いっぽうで「開催は不適切と考えているか?」と問われると、「率直に申し上げて、やっぱり時期が悪かったなと思っている」と述べるにとどまったという。

中川会長といえば新型コロナ対策に関して医師会を代表して、強く警鐘を鳴らしてきた人物だ。

2度目の緊急事態宣言が解除される直前の3月17日には感染者増加のリバウンドを繰り返さないため、宣言解除後に「まん延防止」の適用を提言。医療の逼迫については「国民全体の健康問題」とし、「自分自身のみならず、大切な人を守るためにも、感染防止対策の徹底や感染リスクの高まるような行事を行わないこと」と主張していた。

また3月31日の定例会見では、20名以上の厚労省職員が深夜まで会食していた問題について「日本医師会は、一年に渡って国民の皆さんに自粛という我慢をお願いしてきました。今回の無自覚な行動は、国民への背信であると同時に、コロナ対策に日夜、真摯に取り組んでいる医療関係者や、同僚である厚生労働省職員の努力を踏みにじる行為」と厳しく糾弾。

さらにパーティーに出席した翌4月21日には、定例会見で3度目の緊急事態宣言の早期発令を要請。「新規感染者数を何が何でも抑え込まなければならない。新型コロナの感染拡大を抑える基本は、各人の意識と行動である」と呼びかけていた。

他者には厳しく感染防止の行動を求めるも、自らは“時期の問題”と濁した中川会長。SNSでは、厳しい声が上がっている。

《言い訳がましいこと言うのは政治家と同じですね。あれだけ国民に自粛を求めながらパーティーを中止しない感覚が理解できないですね。辞任なし? ことの重大性をまだ認識されていないようですね》
《医師会の中川会長は辞任すべきだと思います。今までの発言が全て偽りに聞こえます》
《これまで会長に相応しい厳しい主張を展開してきた。それを自分で覆すなど言語道断。失望した》

 

 

勤務医で作る労働組合 五輪・パラの中止求める要請書 国に提出

 

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、勤務医で作る労働組合が、東京オリンピック・パラリンピックの中止を訴え、国に要請書を提出しました。

要請を行ったのは勤務医で作る労働組合「全国医師ユニオン」で、13日に厚生労働省を訪れ、東京オリンピック・パラリンピックの中止を政府に求める要請書を提出しました。

要請書では、たとえ無観客であっても全世界から選手や関係者ら数万人が来日することになり、危険性を否定できないとしています。

そのうえで、医療関係者が長時間労働を強いられている中、地域医療を崩壊させかねない大会を開催し、最前線で闘う医療従事者にボランティアを求めることは無責任だとして大会の中止を求めています。

組合員の医師からは「多忙のためワクチン接種でさえ協力が難しいのに、オリンピックのボランティアまでとても手が回らない」といった声が相次いで寄せられているということです。

「全国医師ユニオン」の植山直人代表は会見で「選手にはつらい話だが、大会中止は誰かが言いださなければならない。医療従事者は声を上げることが求められていると思うので、あえて要請を行った」と述べました。

そのうえで「コロナと闘う気があるのか、という政府への不信感が医療現場の感覚だ。国は国民の生命と財産を守る重大な使命があり、はっきりした姿勢を示すべき局面だと思う」と訴えました。