カジノは、あのラスベガスを思い起こすだけで分かるように、一晩で客の全財産を奪えるように工夫された危険な博打である。もちろん、現在は刑法185条で犯罪である。それは、全ての人間の心の中に潜む「努力せずに一獲千金を願う」思い(射幸心)を逆手に取って破滅させる罠だからである。

 ところが、政府自民党は、新しい経済成長戦略の手段として、2018年にIR(統合型リゾート)整備法を制定した。国際会議場、ホテル、遊園地等にカジノを併設したもので、そこでカジノを例外的に合法化しようという、要するにカジノ賭博合法化法である。

 しかし、博打で経済成長をという発想自体が間違っている。博打は、人が真面目に働いて蓄えたお金を掠め取る業で、そこには「経済成長」の要素などひとかけらもない。経済成長とは、日本の実力で有用なものを生み出してその対価を得る延長線上にあるはずである。

 

  カジノは、いわばマインドコントロールで身ぐるみを剥ぐ場であるために、カジノで潤っている街には必ず麻薬と売春がはびこり、それらを管理するマフィアが進出してくる。

 このように異常な事業を文化都市横浜に導入しようと、林市長が手を挙げ市議会多数派(自公)がそれに賛同している。しかし、前回の市長選でも市議選でもカジノは意図的に争点として避けられた。あらゆる調査で市民の70%前後がカジノの導入に反対している。これは有権者に対する明白な裏切りである。

 憲法92条は地方自治の本旨(団体自治と住民自治)を保障している。それは、その自治体に特有な課題は、国の介入を排して、その自治体の中で住民が主体となって決めることの保障である。だから、市民団体が、地方自治法にのっとって、法定数の3倍超の署名を集めて「カジノの是非に関する住民投票」の実施を求めたが、今回、失礼にも、市長は反対意見を表明し市議会は否決した。

 これは、カジノに頼る愚かな国策に盲従する市長と市議会与党が主権者住民の意思を問うことを公然と拒否したことで、民主主義の根幹にかかわる問題である。だから、これは、いち横浜に限られた問題ではなく、全国どこででも明日にでも起こり得る憲法問題である。