元公明・大阪市議が都構想に喝!政争の具にしてはいけない

 「市民が一番、可哀想や……」。「大阪都構想」の是非を問う住民投票(投開票11月1日)を巡り、タメ息交じりに語るのが中西建策元大阪市議(82)だ。公明党に所属し、大阪市政に携わること32年。引退から約20年経ち、自身のユーチューブチャンネルで大阪市の歴史・文化を発信し始めた。都構想の懸念や市への思いとは――。本人を直撃した。

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「都構想が再び住民投票されることになり、戦後のほぼ半分を大阪市政に携わってきた身として『このままではアカンとちゃうか』と。市が歩んできた歴史や、はぐくんできた文化をなくしてしまってもいいのか、市は大事ちゃうんか、という思いでユーチューブを始めました。都構想によって市がなくなるかもしれないと話すことさえ、寂しい限りです」

 賛成派と反対派の対立が深まる中、懸念しているのが市民の分断。静かな口ぶりでも怒りの矛先は、現職議員たちに向けられている。

 

 「前回2015年の住民投票では、わずかの差で都構想が否決され、市民の対立と分断だけが残る結果となってしまいました。本来なら、市を廃止することに賛成か反対かを問う選挙なのに、政治家が市民の対立をあおっているように思います。大阪維新が悪い、公明党が悪いという話ではなく、政治家が市の存続を政争の具にしてはいけない。国会議員も少しは統治機構のあり方を考えて欲しい。

 

 

「二重行政」など存在しない

 都構想に「何となくエエんちゃうん」と賛成してしまう、改革イメージ先行の“空気”にも危機感を覚えている。

「そもそも、府と市は行政の役割を分担してきたので、行政側が『二重行政の廃止』と金科玉条のごとく主張するのはおかしい。(都構想で)市民としての自治権を失ってしまう可能性があることを、どれだけの大阪市民が理解しているのか。市民の特権を府に与えてしまうことになる懸念すら理解されていない状況で、選挙を行うのはあまりに乱暴でしょう。府が統廃合を進めようとしている商業高校や工業高校にしたって、巨額の市税がつぎ込まれてきたのだから、どうやったらエエ学校になるか、府と市で協力して変えていけばいいやないですか」

 

 市民の対立・分断を深めた都構想。それだけでも罪深い。