半世紀前、私は大学紛争真っ只中の学生だった。学生集会にはほとんど参加せず、神宮外苑にあるテニスクラブでテニスばかりしていた。そこには同じような仲間がたくさんいて、まさに青春そのものだった。ヒッコリーのラケットは、そのころバイトして買った何本目かのダンロップで、たしか3,800円という、4日分のバイト代が吹っ飛ぶ値段だった。当時はサービスダッシュなど当たり前に出来たし、このラケットを振り回し、夏の軽井沢トーナメントで、3セットのシングルスがフルセット一時間半もかかって負け、疲労困憊したのをよく覚えている。
あれから50年。歩行者用信号が青でほんの20m走っただけで、膝はガクガク、息はゼイゼイ。前のブログを見てもらえばわかるけれど、一昨年心筋梗塞をやり、去年は狭心症ということで入院手術したこともあるけれど、結局は歳なのだ。
医者には「壊死した心筋は戻らないけれど、運動をすれば残った心筋が活発化される可能性もある」と言われ、で、ぼつぼつ来月あたりから全力疾走しないテニスなどしてみようかと、ウイルソンの安いスチールラケットを買ってきたしだいです。
店員さんに「ガット強度はどうします?」と聞かれ、「55ポンドで」と言ったら、「そんなに強いの、今時いませんよ。45ポンドが普通です」と言われ、「じゃあそれで」と、お願いしました。
50年の歳月とは、つまり10ポンド分のラケットの進化なのでしょう。
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