「お~ケイ いらっしゃい」
学校が終わり 今日はバイトもないため
私は真っ直ぐ姉のいる病院へ向かった
姉は読書をしながら 過ごしていたようだ
ベッドの左側に点滴台があり 点滴のボトルがぶら下がっていた
「お姉ちゃん点滴なんかして 病人みたいやん」
私は普段通りの物言いで ベッドの方へ歩み寄った
昨日父から言われたことを意識しないよう
普段と同じように振舞うことに努めた
「病気やもん 今日から抗がん剤っていう薬始まってんで
胃潰瘍とか言って…がんを殺す薬なんか使って・・・
私ほんまは何の病気なんやろな…」
姉が苦笑した表情で 一言そう言った
私は何て返せばいいのか言葉に詰まり 動揺していることを
さとられまい…と 目を合わせられなかった
しかし姉は自分の病気が何か 薄々気づいていたと思う
流石に姉もばかではないので。。。
姉はなぜ入院することになったのか
本当の病気・・・いわゆる告知というものを
医師から告げられていなかった
無論余命についても…知らされていなかった
今日の治療ではインフォームドコンセント は
患者にとって当然の権利として謳われるようになり
整備されつつある状況である(まだまだ現場では課題が
山積みなのが現状だが・・・)
当然治療を受ける側も この言葉を耳にしたことがあり
はっきりとした定義までは分からないまでも
大づかみに言葉の意味は理解はしている
しかしこの当時私たち家族 そして治療を受ける本人に
治療提供側から そのようなことはほとんどなされていなかった
また私たち当事者も そのような権利があるということを
理解していなかった・・・
何の病気か分からないが 抗がん剤治療を行う
というこの矛盾…
10年前の医療現場ではまかり通っていたんです;;
『抗がん剤』なんて言葉は
漢字を読むスキルを持っていれば
それが何に使われるものか理解できるだろう
姉を担当する医者はなぜこのような 中途半端な説明を行ったのだろう
当の医者にしか分からないので 今更詮索する気はないが
突き詰めて考えれば考えるほど まこと不思議である
抗がん剤治療がはじまって数週間が経ち・・・
抗がん剤の副作用が顕著に現れはじめた
続く。。。