宅地建物取引士として一言。

賃貸のアパートの話。


電球の取り替えとか

携帯電話の操作やら

ちょっとしたことを

隣の部屋の若い人に頼む

単身の高齢者さん。


あまりにも頻繁に呼んだのでしょうか、

隣の若い人は

アパートから出ていってしまった。


 TVの音が大き過ぎたり

隣近所の生活者に昭和の感覚で干渉して

小言を言ったりしながら過ごされると

他の部屋の若い人から不動産管理業者から

クレームが来たりもします。







アパート経営の場合、

大家側は

高齢者の認知症によるトラブルや

孤独死などを懸念します。


高齢者の人の多くは

年金で払える賃貸を探すので

家賃の滞納リスクは少ないのですが、



賃貸住居で孤独死があった場合

大家側は、


荷物を処分できない!

賃貸借が相続人に相続されて解約できない!

発見が遅れると

特殊清掃や改修が必要になる!

とか、

オーナー側としては

賃貸経営上の損失が大きくなります。


連帯保証人なんて

いざとなったら

知らんぷりしますので

意味がないのです。


突然死だと

警察が来て

事故や事件でないことを確認するので

アパートの他の入居者さんに迷惑もかかるし、

保証人や親族が遠方の場合は

すぐに対応して貰えないので

結局は大家さんが色々な対応をすることになる。


また、

次の借り手には瑕疵があることを開示しないといけないし、

場合によっては

その部屋の家賃を下げて貸さないといけないので収入が落ちる。

アパート経営は慈善事業でやってる訳ではないので、

高齢者を避けて

リスクが少しでも低い人に借りてもらいたいと言う感じになるのは

仕方がないです。


孤独死は

生活保護の人なら市役所からの連絡が来ます。

そうでない場合は、

ご近所さんが

郵便ポストや新聞受けの異常に気付いたり

民生委員や自治会役員の人が連絡が取れずに不審に思って発覚したり、


不動産管理会社や大家さん側への

家賃滞納とかで発見されます。


少し時間が経ってから見つかる場合もあります。


警察が入ると、

明らかに孤独死なのに

本当に本人か確認したり、

事件性の有無を調べるため

警察の許可が出るまで退去処理ができません。


家賃保証会社が入っていれば

物品処分費やリフォーム費用の一部が補充されますが

それでは全然費用が足りません。


場合によっては

オゾンなどの特殊清掃や

臭いがついた部分の床材や壁紙の交換、

お祓いなど

経費が100万レベルになります。


そもそも低額家賃のところの賃貸住宅なので

払込済みの家賃からは正直回収できません。





民法や宅地建物取引業法などによって

生活の上で

住居を借りる人の立場が法律で守られすぎているのが、

高齢者への賃貸住居の貸し渋りの原因の1つにあると思います。


入居者に家賃を滞納されても簡単には追い出せないし

強制退去にしても

立ち退きの手続きに手間がかかりすぎる。


家具を残されて退去されると

実際には財産を勝手にオーナーが処分出来ないので

家具を引き取りに来てもらえるまで

どこかで保管し続けないといけないとか。


特に高齢者の場合、

孤独死のリスクに加えて

滞納リスクも高いので、

家主の立場になると

高齢者に貸したくないというのは理解できます。



とは言っても、

古くなったアパートは

入居率が下がってきたり

リフォームの時期もやってくるので、


特に若者が離れてきた場所にある物件に関しては

あえて高齢者向けの賃貸物件にする案もあります。


空き家だらけのアパートや戸建にしておくよりも

高齢者を受け入れて家賃で収益を上げた方が良い。


築年数が古くなって修繕するなら

バリアフリーにする。

高齢者はアパートの1階

若者は2階に分ける。


そして

敷地の清掃に入ってもらってるシルバー人材センターの人や管理会社の社員には

高齢者住居への毎日の声掛けを

プラスの報酬業務で頼んで、

高齢者住居の家賃を少し高めに設定するとか。



家賃上げても

入居希望の高齢者は多い。

これから若者向けに改築しても

古いアパートだと入居希望者が集まる保証が無いし、

ならば

増える高齢者を賃貸ターゲットにしたほうが

立地イマイチで古めの物件は

バリアフリーリフォームすれば需要がある。





賃貸住居の連帯保証人問題は、

高齢者にだけではなく

若い人にも影響がある。


親を連帯保証人にしようとしても

親が高齢だと

大家さんに断られます。


保証会社の他に

親族や第三者の連帯保証人や身元保証人を求められる場合も多く、

少子化核家族だと

兄弟もいなかったりして

親戚にも頼めないなど

保証人探しが大変になります。


直系のお子様がいない場合、

高齢者になるほど

賃貸物件に1人で住むには

何かと大変になると思います。


自分も着々と高齢者に近づく中で、

リアルに感じつつある社会問題です。


いよいよ私も

賃貸管理の業務にも

携わることになりそうなので、


これを機会に勉強して

あれこれ智恵を絞ってみたいと思います。