20年ほど前、カクマニの父は「がんの多発転移」で亡くなった。
発見のきっかけは排尿障害と黄疸だった。
一回目の入院では「原発巣が不明で胆管がガンのため、詰まってしまっている。
他の病気のため手術不能で余命半年」と医師に伝えられた。
ステントを入れて半年後、再び黄疸が現れて入院した。
カクマニと連れ合いは最初の入院から亡くなるまで
二人で通勤・退勤途中の毎日入院中の父の世話をした。
母は二度目の入院の時の、父の意識がはっきりしていた頃までは
毎日見舞いに来ていた。
しかし父の意識が曖昧になってきた頃、
母はカクマニに言った。「お父さんに(対して)気持ちがなくなった」。
そして母は病院に来たとしても、病室に入らず廊下の長椅子で過ごし、
間もなく父は亡くなった。
カクマニは今も母の言葉の真意を理解できないでいる。
そしていつの頃からか、母が病院の廊下で言ったその時の
冷たい顔と言葉を突然思い出すようになった。
食事中、読書中、買い物中…脈絡もなく、
母が「お父さんに気持ちがなくなった」と言った時の
情景や言葉が頭に表れて、
その瞬間から負の連想が始まるようになった。