今この瞬間を生きる

 

「今を生きる」とか、「過去や未来ではなく今豊かさを感じる」とか、「今」を意識することの大切さについて耳にすることがよくあります。

 

未来についてはこの先どうなるのか正確には誰にも分からないのは普通に考えればその通りだと思います。

 

過去についてはどうでしょうか?過去はほとんどの場合、基本的には自分の脳の中に記憶が保存されているような感じがするのですが、脳科学的には、実はそのような記憶の貯蔵庫のような所に、過去の記憶が蓄積されているのではなく、過去の記憶が必要な時に、必要な記憶を今現在の脳の活動によって再構築されているのだそうです。

 

いや、そんなことはない、自分以外の他の人とも共通の思い出を共有しているから、自分の脳の中の話だけではないと思う人もあるかもしれませんが、究極のことを考えるとすると、自分以外の人、物、世界が昨日と全く同じものであるという証拠(保証)はどこにもありません。

 

そう考えると、実際に過去にどんなことがあったにせよ、唯一無二の存在である<この私>詳しくはここをご参照下さい。)である自分が今現在再構築している記憶が自分にとっての真実となります。それは今現在脳の中に再現された記憶ですから、実際に過去に起こったものとは別ものとも考えられます。

 

もっと言えば、あたかも過去にあった出来事(の記憶)というように思っていても、実際には今現在の脳の活動そのものであるとも言えます。つまり過去ではなく今なのです。

 

 

ということは、僕たちは過去のことを思って後悔したり、未来のことを考えて心配したりすることが多いのですが、実際の現象としては自分の脳が今現在そのように活動しているということで、過去でも未来でもなく、今現在に生きているのです。そう考えると、やはり「今」の大切さがよく分かります。

 

でも実際には、過去の経験が今の自分を作っているような気もするし、考えられる未来のために出来るだけ安全に過ごすための備えをしておきたいと考えてしまいます。

 

過去や未来は自分の想像、ある意味で幻想ということなんですが、今を素直に生きるというのはなかなか難しいです。