皆さま
 

クリスマスの夜にこんばんは





前回のイブにご紹介した三作は
クリスマス映画の王道でしたけれど
今宵は少し異質な作品二篇です

先ずはおフランス映画の
『クリスマス・ツリー』(1969年公開)
(L'Arbre deNoël)からいきましょう
白血病に侵され
余命半年の宣告を受けた
10歳の少年パスカルが
今作の主人公です

己が寿命を知ったパスカルは
父に狼が欲しいと請い、
父は(パスカルは父子家庭)
溺愛する息子の望みを叶えるべく
動物園から盗んだ狼をプレゼントするのですが
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その年のクリスマス・イブ

『クリスマスまで生きたい』と願ったパスカルは

沢山のクリスマスプレゼントを手に
帰宅した父を待つことなく、
クリスマス・ツリーの下でたった一人きりで
こと切れていたという、

この哀しいお話を
もう随分と昔に地上波で観て
パスカルの死を彼の狼たちが遠吠えて
悼むラストシーンに涙がちょちょ切れたという
苦い思い出があります

だからいまだに
心に残っているのだけれど
ではクリスマス映画にしては何故こういった
結末だったのでしょうか?

実はパスカルが白血病を患ったのは
父と訪れた海で水爆実験の煽りを受け
被爆してしまったからなんです
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今作が撮られた
1960年代のフランスは
シャルル・ド=ゴール大統領の指揮の下
先に核を保有していた米英ソに対抗するため
核実験を促進していました

そして思惑通り
世界で四番目の核保有国となったものの
自国の子パスカルを、その犠牲としてしまったのです

だから警鐘を鳴らす意味においての
unhappy endingだったのかなって、、、

まぁパスカルが
その贄になることに納得はいきませんが
そこが不条理ということかもしれません

原作はフランスで
ベストセラーとなったとのことで
核に対する国民の関心の高さが窺えるものの
しかしフランスによる核実験は1996年まで
性懲りも無く継続されておりました

福島第一の事故の際は
我が国を色々とdisっておくれでしたが

是非とも人の振り見て
我が振りも直して頂きたいものだわ
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↑ トーチャンと、
 トーチャンの若い彼女とパスカル
 パスカルと彼女ちゃんは仲良しで、
 流石は恋愛至上主義の国、おフランス

あ、監督は007シリーズで有名な
テレンス・ヤングです、念のため、、、
 

ラストは、
これを出さぬわけにはいきますまい

『戦場のメリー・クリスマス』(1983年公開)
(Merry Christmas, Mr. Lawrence)です
1942年、

舞台は日本統治下のジャワ島にある
日本軍の俘虜収容所

此処で
日本兵によるオランダ兵強姦事件が起き、
日本語を話すロレンス英国陸軍中佐(トム・コンティ
と、軍曹のハラ(ビートたけし)が事後処理に当たる
うちに、いつしか友情が芽生えていくシークエンスと
ハラの上官である
ヨノイ陸軍大尉(坂本龍一)が
日本軍に楯突くセリアズ英国陸軍少佐
デヴィッド・ボウイ)に惹かれていくシークエンスが
中核を成す作品です


公開当時、
異色の出演者陣が大きな話題となりまして
娘っ子だったわたしも映画館へ駆けつけたものの
既に大入り満員で、、、

わたしと友人は
立ち見の人たちの、そのまた後ろの方で
背伸びしながらボウイ様を見つめていました

戦争映画でもあるのだけれど
戦闘シーンは一切出てはこず
俘虜収容所が舞台だから、登場人物は全員男で

しかも主要キャストは
異業種に仕える人たちだから
そのせいか、妙なアンバランス感が漂う中

粗野なハラと
インテリゲンジャなロレンスの
真逆にいる二人がそれぞれを理解し合うという
彼らの間に生まれるのは『友愛』であり

ゆえの、ハラのあの

『ファーゼル・クリスマス』なわけで

しかしヨノイとセリアズは
こちらはもう『恋愛』であり
それも報われることのない『悲恋』です
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二人はそれぞれ
過去の遺物に苛まれているという
パーソナルな事情を抱えていて
だから魂が呼応したんじゃないでしょうか
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この後、大尉崩壊しちゃいますから
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言えることは
軍人だろうが何だろうが
人は思うよりずっと弱いなって

弱くて脆くて
だから虚勢を張ってしまう

だから
自暴自棄になってしまう

だから
何も考えず
命令にのみ従ってしまう、、、

でも人は
その存在の全てが
非道にはなり切れないってことも

この笑顔が教えてくれます

『ろうれんす
 メリークリスマス
 ミスター・ろうれんす、、、』

役者としての
ビートたけし氏の誕生に立ち会えて
幸せでした

そこも含め改めて思う
大島渚監督の偉大さよ

麗しのボウイ様を生き埋めにするから
ボウイ様が干からびちゃってるわっっっ!

ちゃんたら
アンタなんてことしてくれるんだって
当時は頭に血が昇りましたけれど

でも

ボウイ様にそんなことをさせられるのは
後にも先にも大島監督にしかいないでしょうってね
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だからやはり
大島渚さんはその『個』でもって
世界を席巻した監督さんだったんだなって 

もう一度言います

死して思うその偉大さよ

『LBGT』を描ける映画監督は
世にぎょうさん存在しますが

けれど大島渚亡き後

『衆道』を描ける映画監督は
おそらくはもう出てはこないでしょう

そんな気がひしひしとするのは
わたしだけでしょうか









いつもながらの長文をお読み頂き
誠にありがとうございます


明日から30日まで
ノンストップで野菜の収穫が
ひかえておりますゆえ(●´ω`●)



今回が
今年最後の綴りとなります
 
アメーバ街も
しばらく留守にしますので
メッセージも一旦閉じさせて頂きますね

皆さまのブログにも
お邪魔できない日が続くかと思いますが
ご容赦頂ければ幸いです(●´ω`●)

どうぞ良いお年をと
申し上げたいのはやまやまなれど
引き続き警戒が必要な先行きで
定型句を申すことすら憚られてしまいます
 
だから
元気でまた
お会いできますようにと
そう願うのみ、、、

年末年始を
どうぞ健やかに
お過ごしくださいませ


では


一年間

本当にどうも

ありがとうございました



ヤスミン   拝





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