おはようございます
ある時、寝ている一番下のチビちゃんの顔に
今日ご紹介する映画は
『鬼畜』
原作 松本清張
監督 野村芳太郎
出演 緒形拳・岩下志麻・小川眞由美
夫・宗吉（緒形拳）
妻・梅子（岩下志麻）
そして夫の愛人・菊代（小川眞由美）
この大人たちの身勝手さによって
夫と愛人の間に生まれた子供が
犠牲になるという、ヘビィなストーリーです
苦手な方は
これより先はお読みにならないでね
宗吉、梅子夫妻は印刷屋を営んでおり
まだ羽振りが良かった頃
宗吉が外に囲った女が菊代で
三人の子供までいる始末
只今現在は、
店の経営は悪化しており
そのため菊代への仕送りが滞り、
業を煮やした菊代が
三人の子を連れて
本宅に乗り込んできます
妻の梅子にとっては寝耳に水の話
この梅子と菊代のバトルがねー
波動でガラスも飛び散るかってくらい
ビリビリと怖い！
二人の女に挟まれ
煮え切らない態度の宗吉と
ビタ一文出すつもりのない梅子の高飛車
むせ返るような暑気に、流れる汗
ブンブン飛び回るモスキートに
血管ブチ切れた菊代は
子供たちを置いて逃げ去ってしまいました
残された宗吉梅子夫婦と、三人の子
みんなで仲良くーーー
なんていくはずないですね
ここからはもう子供たちにとって
辛い現実が待ち受けているのです
いったいね、人間が人間で無くなる
瞬間ていつなんでしょうか？
映画では三つのキーワードがその瞬間を
捉えます
そしてそのキーワードは指された人間の
胸に突き刺さり、後の狂気へと導きます
一つ目は、梅子が菊代に放った言葉
『こんな女』
この言葉で菊代は子供を捨ててしまい
二つ目は、菊代が梅子に放った言葉、、
『あんたなんか子供も産めないくせに』
この言葉で梅子は般若になる、、、
風に煽られたビニールシートが被さり
それに気づいた梅子の表情が
チビちゃんを俯瞰する梅子の表情が
カメラに映し出されます、、
しばらくのちに
チビちゃんはこと切れていました。
偶然か、、それとも、、、
子煩悩な宗吉は嘆き悲しみますが
梅子が放った言葉、、
『邪魔モンが一人減ってあんただって
ほっとしただろ？
それにさ
この子達、本当にあんたの子かい？』
これは資金繰りに奔走しながら
子供たちの世話に追われ、その合間に
やっと探し当てた菊代は、別の男と蒸発
二進も三進もいかなくなった宗吉が、
菊代憎し に転じるきっかけとなり
夫婦は、共通の敵（菊代）を見つけた
共犯者となっていくのです
そうなるともう、
子供は邪魔な存在でしかなくて
チビちゃんの次は、真ん中の女の子を
どうするか？
宗吉と梅子は天気の話でもするように
犯行計画を立てる
そして、実行、、、成功、、、
次は一番上の子、、
6歳になるこの子は聡い子で、兄弟がいなく
なったことに疑問を持っている
さてこの子をどうするか？
当初、宗吉役には渥美清さんを予定していた
監督、、、
『平凡で気弱で、優しくてお人好し、そんな
人間が追い込まれて最後は鬼畜になる』
渥美清さんがもってこいではないかとね
しかし、寅さんのイメージを損ねるってこと
でオファーは通らなかったとのことです
（ウィキペディアより）
うーーん、渥美さんかぁ
うーーん、渥美さんかぁ
いや、やはり緒方さんで良かったのでは
ないでしょうか？
緒形拳さんは、悪人か善人か
両極端な役が上手い方で
鉄面皮美女の岩下志麻さん
子役虐待シーンについては
今だったら物議を醸しかねない実演です
野村監督ったら子役にも妥協許さずで
昔はこういった演出もOKだったことに
驚きますよ
そして、ある意味一番の『鬼畜』
小川眞由美さん、、
ネチネチとした役がお上手でね
汗でうなじにへばりついたほつれ髪が
なんとも色っぽい
確か初見は金曜ロードショーでした
まだ若かったわたしは
これは作り話、、
実際にこんな酷い話はないはずで、子供は
善意の第三者によって救われるでしよ、、、
観終わった後の
後味の悪さを誤魔化したくて
そう、自分に言い聞かせました
しかしね、
この映画は実話がベースだったんです
そして今もなお
親による子供虐待が引きも切らず
それどころか酷くなっているにも関わらず
その現実に慣れてしまった恐ろしさを
今回、この映画を再見して感じました。
