南竜山荘前のベンチで休憩するところから再開。


22時ぐらいに着いたので、ここで3時間ぐらい休憩(仮眠)してから室堂に移動して、御前峰でご来光を迎えるのがベストプラン。時間は余裕がある。


今回の装備はこんな感じで、



前記事にも書いたようにテント設営が面倒だったので、ダウンで防寒してそのままベンチでゴロ寝。


気温はたぶん10℃前後ぐらいで、それほど寒くはなかったが、風があって足先が冷えるので、足先をザックに突っ込んだ。寒がりだしテン泊でもあまり寝られないタイプなので期待はしてなかったが、数十分ぐらい意識がなかったので寝たんだと思う。


それ以上無理に寝ようとしても仕方ないので、室堂に向かうことにして、24時10分ぐらいにスタート。


(いつかの南竜ヶ馬場)

時間を稼ぎたいし夜で景色もないので、計画通り最短ルートのトンビ岩コースを登ったが、登り始めてすぐに雪渓がルートを覆っていて、トレースもないのでどこを歩けばいいかわからない。


雪渓が途切れる右端を登っていたが、沢になって雪を踏み抜くリスクがあるので、雪渓中央に移って登り続ける。


不幸中の幸で雪質はシャーベットとザラメの間ぐらいで、トレランシューズでも蹴り込めば滑りにくい。


焦らずゆっくり、時々GPSでコースから外れていないか確認しながら登り続けたが、半分も行かないあたりで、現在地を確認するためポケットからスマホを出そうとしたところ、ない? スマホがない!


あの絶望感! ポケットのジッパーが完全に閉まってなかった!


深夜なんですけど! 雪渓の上なんですけど!


スマホを見つけ出す見込みはないが、ハンドライトで照らしながら50mくらい下ってみた。もちろん見つからない。


ここで悩んでも始まらないので、とにかく室堂に行こうと切り替えたが、コースは確認できないし、メンタル最悪。


(いつかのトンビ岩)

それでも何とかところどころに露出していた夏道やその痕跡を辿って、コースから大きく外れずに登り、室堂まで500mと記された標柱を見つけて、木道も露出していて安堵。


それなのに、それなのに、なぜかまた雪渓に出てしまった。なんで?


登山地図で見ると、トンビ岩コースの最後は北西方向に進んでいるので、スマートウオッチのコンパス機能を使うために、行動記録は停止させた。

これが↓そこまでの記録。




しかし、コンパスだけでは解決しないのが現実。雪渓のお陰で濃いガスが発生していて、ライトの光が乱反射して先が見えない。

もう室堂まで数百mのところには来てるはずで、雪渓の上に踏み跡っぽいものもあるように見えるので、それを辿ってみたりするものの出口が見つからず。

昼間なら建物とか、それこそ御前峰とか見えて方向も定まるが、ガスで何も見えない。


あっちこっち彷徨ってる時に、ふと、これって山雑誌の遭難記事でよく見たリングワンデリングそのものだと気付いた。


諦めよう。ガスが薄くなるか、朝で明るくなるまで待とう。

たぶん深夜2時半ぐらい。ハイマツの根元に体育座りで風を避けて待機。


自分がどこにいるのか分からないってホントに最悪。スマホがないから「遭難しました!」と申告することもできない。


1時間ぐらい待機していたが、寒くなってきたのとガスが薄くなったようにも見えたので行動再開。

なんとなく山のシルエットが見えて、方角を確認すると北だったので、それが御前峰なのは間違いない。


ということで方角が定まったので、信じて歩いていくと、10分後に見覚えのある室堂の建物群に辿り着いた。


(今回の写真はないので、いつかの室堂。)

時刻は3:40頃。


ビジターセンターの軒先を借りて、夜明けまで休憩。

明るくなってきたところで、湯を沸かしてコーヒーとマジックライス(ドライカレー)の朝食。


白山荘泊まりの登山者数人が頂上方面に出発するのを横目に準備して、既に日の出は過ぎたがガスって視界が悪い中、4時半にスタート。


ビジターセンターに下山後のバス便情報があれば、計画を変更して別当出合に下山するとかも有りなのだが、何も情報がなく、スマホで調べることもできないので、計画通りに白川郷を目指す。


ただし、この先も標高2500m以上の残雪地帯が続いて、時間的余裕はないはずなので、御前峰も剣ヶ峰も大汝峰も全てスルー。最短距離を狙った。




しかし! ここでも迷う。

コースは雪の下、ガスで視界なし、トレースなし、GPSなし、どうやって正しい道を行けと言うのか。登山地図の精度(1/50000)では地形も解らない。


たまたまソロの人がいて途中まで一緒に登ったが、その人はピークを目指していて右にショートカットする方向で進んでいくので、途中から別れて、自分は本来の中宮道ルートに合流できるように左に進んだ。


上の図で池の点在するエリアで軌跡が終わっているのは、そこでまたコンパスを作動させて北西に進路を取ったため。

(池は1つも見えていない。)


GPSを持ってる人から離れて自分の道を行くのは大きな決断だったが、運良くコースに復帰できて結果オーライ。


中宮道に乗ることができたのでかなり安心したが、登山地図には「ビルバオ雪渓」とか「遅くまで残雪あり、ガスの時迷い易い」とか脅し文句が書いてあるので慎重に。


実際、ここの雪渓は巾100mはありそうな広大な雪渓で、どこを歩けばいいのやら。中央部に岩や低木が露出したエリアがあったので、そこに沿って下りたり、低木のヤブを強行突破したりしながら下る。


かなり傾斜の急なところもあったが、雪質が味方してくれて、トレランシューズを適当に滑らせながら下れたのでペースアップするくらいだった。


あとは夏道が出てくるので、登山地図で分岐だけ確認しての下山。


とは言え、まだゴールまで20k以上ある。


今度は好天が敵。ただでさえ徹夜に近い行動で疲れているのに、蒸し暑くてバテる。


今回の行動食は前半戦で食べた柿ピーと、カロリーメイトもどき、チョコバー、ブランサンド、プロテインスナックといったところ。

どれも水分がないと食べ切れないタイプなので、水場での水分補給は毎回必須。

いつも他人より少ない水でOKな自分としては、考えられないくらいの大量水分摂取したので、それもバテる原因だったような気がする。


10時ぐらいに、中宮道から北縦走路への分岐点となるゴマ平避難小屋の水場で、最後の水補給と休憩。


一応地図をチェックして、ゴールまでのコースタイムは8時間。コースタイム通りなら最終バス18:25には間に合う。





これが↑後半戦の全体像で、基本的には下り基調なのだが、意外とアップダウンが厳しくて、地図に表記のあるピーク以外にも偽ピークが何度もあり、白山のイメージとは違う急登に何度も絶望した。

登山道には誰のものか判らない獣のフンがかなり沢山あったりして、熊鈴がキライ(うるさい)な自分は持参していないので、時々声を出しながら遭遇しないように気を遣ったりするのもストレス。

(ちなみに、帰ってきてから熊や猪のフンをネットで調べてみたが、白山の登山道の落とし物の主は特定できなかった。)

最後は鶴平新道で標高約1000mの99%下りコース。
既に太モモの筋肉は売り切れ状態な上に、足裏が全体的に擦り剥けたかのように痛んでいたので、半泣きで下ること約2時間。

16時頃に登山口到着!
あとは車道を1時間ぐらい下ればゴール、


となるはずが、地図を見間違えて違う道を進んでしまい、4〜5kmは余計に歩いて白川郷バスターミナルに到着!!

(地図では登山口に接続する道を右に行くように見えたが、そこは地図上の登山口ではなく、左に少し行ってホワイトロード(旧白山スーパー林道)に突き当たったところが地図上の登山口で、そこを右折、が正しかった。2008年版の古い地図がいけなかったのかも。)


途中のログが途切れているので概算となるが、
総距離55k,累積標高約4000m、総行動時間28時間(大休憩4時間を含む)。


もうこんなことはやらない!