書評:「アップルのデザイン」 | 無題
題名通りの本で、Appleの製品(や店舗)のデザインへのこだわりを数多くの写真を交えて解説している。

まずiPhone4Sを分解してその精密性を味わう。Mac Book Airの初代でも指摘されていたが、アップル製品はネジを多用し、ネジ止めの方向もバラバラで生産効率が悪い。しかし生産効率の悪さとは対照的に製品への満足感は高い。効率ではなく理想を求める芸術家の様な態度が伺われる。

続いてアップル製品のアルミボディの表面加工について詳しく解説されている。アップル製品のアルミボディには陽極酸化処理と言われる処理が施されている。僕は理系ではないので「陽極酸なんとかでApple製品はこんなにいいい手触りになるのかあ」などと思って終わるわけであるが、そうではないらしい。この処理を施した上でApple流のさらなる加工を施してあの素晴らしい質感を表現しているのである。これは読んでのお楽しみとしよう。製品ごとに使うアルミの種類も変えている点も驚きだった。

さらにアップルストアのデザインについての解説や、過去の広告の紹介もされている。アップルストアのデザインは八木保という有名な日本人デザイナーが手がけており、彼へのインタビューがを通してアップルストアのデザインの経緯を知ることが出来る。

iMac G3のデザインに関してのアイブ氏へのインタビューも掲載されている。99年に行ったインタビューの再掲載のようだが、すでに消え去ったプラスチック製品への熱意あふれるアイブ氏の姿は興味深い。ちなみにiMac G3は僕にとって初めてのアップル製品である。幼少期にみたのだが、他社のパソコンが無骨なのに対して色のついたコンピューターというのは非常に印象が強かった。それ以来アップルのファンになった。近年ようやくパソコンが格安になってきて僕でもアップル製品に手を出せるようになったが、当時は(子供だったこともあって)高くて買えないという点も憧れの原因だったと思われる。

残りの紙面はアップルの特許に関するもので、サムスンの製品との比較でパクリについて解説している。製品化されていない特許の図も載っていて面白い。

2時間あれば読める内容だが知らなかった話が多く、誰でも楽しめる本になっていると感じた。


アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのか/日経BP社
¥1,890
Amazon.co.jp



【このブログは移転しました】

http://raionnoie.blogspot.jp

これからもよろしくお願いします。