やりがいは大事なのか??
ワクワクして仕事をするというのはいわゆる「やりがい」を感じて仕事をするということである。
では「やりがい」というのは金銭的インセンティブと同じくらい大切なのだろうか??
ダンアリエリー教授の研究
●ロボット編
被験者たちにお金を支払いブロックでかっこいいロボットを組み立ててもらう。実験の際に二通りの条件を設定した。
一つ目は被験者たちに「3ドル支払うからロボットを作ってもらえますか」と尋ねる。ほとんどの人は「はい」と答えた。ロボットを作り終わった時点でもう一つ作ってもらえるかを尋ねるのだが、今度の報酬は2ドル70セント。こうして次々ブロックを渡し、報酬を30セントずつ下げていって、被験者が「やめたい」感じた時に辞めてもらう。
二つ目は被験者に3ドルでロボットを作ってもらえるか尋ね、OKだったらつくってもらう。次は2ドル70セントでいいか尋ね作ってもらう。しかし、被験者が二つ目を作っている間に私たちは最初に作ってもらったロボットを壊す。被験者は組み立て、ダンは壊して箱に戻す。さらに30セント安い報酬でロボットを作ってくれると言ったら、またブロックを渡し、二つ目のロボットを壊す。このように組み立ててもらっては壊すことを繰り返した。どちらの条件でも自分が組み立てたロボットはいつかは分解されるとわかっている。
一つ目の実験では、二つ目の実験よりも4つおおく組み立てた。両者に対してやりがいの違いはそんなにはないがこういう小さなやりがいの差でも結果に大きな差がでる。
ダンは被験者以外のグループにこの実験の内容を話、予測を立ててもらった。皆一つ目の条件の方が組み立てる数が多いと予測したが、その数の差は「一つくらい」と予測した人が多かった。
このことからもわかるよう人はやりがいが大切なことはわかっているが、その重要性を過小評価する傾向があるようです。
●ランダム文字
ランダムな文字列を印刷した紙を用意し実験協力者にはこの中からSの文字が二つ連続している個所を探してもらう。一枚の用紙につきssは10個あり、10個全部見つけると次の用紙に進む。実験協力者には報酬の仕組みがあり、一枚目を完了すると55セント。二枚目は50セントというように1枚ごとの報酬は5セントずつ減っていく。1つ目の条件は「確認」を行う。学生は課題に取り組む前にまず用紙に記名し、それから10個のssを探し一枚完了するたびに実験者のところにもっていく。実験者はそれを上から下まで確認する。
2つ目の条件は「放置」を行う。記名しなくていいという点以外はやり方は大体同じで実験協力者は1枚終わるたびに実験者に手渡す。しかし、実験者はそれを一切水みずに積みあげられた紙の上に裏側にしてのせる。3つ目の条件は「細断」を行う。実験協力者が用紙を提出すると実験者は人眼もくれず目の前でシュレッダーにかける。
では、報酬が10セント(10枚目)になっても文字探しを続けた実験協力者はどれくらいいたでしょうか?「確認」グループでは49%。「細断」では17%。「放置」では18%。
「細断」のグループはずるすることもできたが、課題に取り組む時間が一番長かったのは「確認」条件のグループ。この事実は人間のモチベーションは複雑で「金のために働く」と言った短絡的な関係に集約することができないということだ。
●ピクサー
このいい例がピクサーではないか?ピクサーでも一時期これが問題になり多くの従業員が辞めていった。
今ほとんどの日本企業が行なっている“あること”により、人財流出に悩まされていました。そのあることとは、
“社員の役割の完全固定化” 要は「分業」。
人事には採用を、経理にはお金の計算を、企画部門には良いアイデアを出す作業のみに専念させる。日本の殆どの企業で行なっている手法で、社員のスキルやコストの効率化を最大化させることができる
しかし、この手法にはある落とし穴がある。
自分のやっていることがどんな価値を生んでいるのかがわかりづらいのだ。スタッフはどんどん退屈になっていきクリエイティビティがそがれるのだ。
優秀な人財が変化を求めて同業他社に移ったり、ヘッドハンティング遭うなどして、人財の流出が起こっていた。これを重く見たピクサーは、ピクサーユニバーシティという教育施設を設け、スキルの無料学習の場を作り、更に得た技術を新たなプロジェクトで活用する支援を行うことで、「社員の仕事に多様性を生む」取り組みを行なった。
従来の利益ファーストの経営理論からすれば、短期的に利益を落としかねない取り組みですが、現実としてピクサーでは離職率が大幅に下がり、優秀な人財を確保できたことで、長期的な利益を守ることができた。
自分の仕事が全体の中でどのような位置づけにあるのかを説明することで意味を与えられること、そしてやはり「ワクワク」が大切だと考える。
こうしてみると「やりがい」と「お金」の世界は実に面白い。
資本主義経済は「お金」が最も安易にモチベーションになるのは確かである。
しかし、報酬の与え方を間違えるとお金を無駄にしてしまうだけではなく、モチベーションを長期的に見ると下げてしまうことにもなりかねないということもあるようだ。それはまた今度(笑)
