僕はこれまで世界初のオリジナル技を4つ世に発表しました。

そのうち最後のオリジナル技となる"Twister(ツイスター)"は、NHKの「アインシュタインの眼」(2007〜2012放送)の密着取材中に完成させました。

この"Twister"という技で僕がトライしたかったことは、縦回転と横回転をひとつの動きに取り入れるということ。最初に縦回転の技に入り、途中でその遠心力を利用して軸を横回転へと切り替えます。

僕は遠心力を利用して動きを切り替える技術を多く使いますが、どの技も共通して身体が千切れそうになる…(笑)特にこの"Twister"は特別で、ひねる動作に入るも、ひねらずに足を次の回転に巻き込むという意識。頭の中でも一捻り要ることから、ひねり=ツイスト、という技になったとかなってないとか…(笑)。

とにかく、

その後、リオデジャネイロ戦で世界に発表し、僕以外には他にまだ誰もやっていません。今日まで「最も難易度の高いトリック」として評価され続けています。

実はこの技、僕は首から下が麻痺する大怪我から復活したことをアピールする為に開発し発表したものです。

アメリカでの試合中、"ダブルバックフリップ(2回後方宙返り)"の技を失敗…頭から転倒し、脊髄にダメージを負いました。首から下の感覚が消え、ベッドの上で動くこともできない世界をさまよい歩き、スケート業界では当然のように「安床エイトは終わった」と噂されていました。

いろいろな幸運や出合いが重なって、幸い再び滑れるようになり、再び身体が動くように戻した時、これで最後だと覚悟して挑戦したのが"Twister"です。

人からみたら全く必要のない無謀な挑戦だろうけど、僕はアスリート人生を挫折で終わりたくなかったのです。生きるか死ぬか、アスリートとしての最後の意地でした。

番組撮影中にも関わらず、弟と妻がハーフパイプの上で見守っていてくれました。僕の万全ではない身体の状態を知っていながら、挑戦に反対もせず見守ってくれていた彼らの心境を僕は想像もできません…。


いま自由に滑れること、新しいことにチャレンジできることは人生の喜びです。

いま、運動教室が楽しくできているのも、あの技へ挑戦したおかげだったし、これからも出会う人に伝えていきたいことをハッキリとさせてくれます。

感謝。