いい機会なので、今日は日本を離れているこの状況だからこそ書けることをブログに残しておこうと思います。

「自分は日本人(アジア人)である」

このことを日本国内で毎日意識して生活している方は少ないと思います。
僕自身、日本に居てる時にはあまり気にせずに生活しています。

だけど一歩でも自分の国を出たら自分自身が何者であるかを気にするようになります。これは海外で常に持っておくべき危機感という意味でも必要なことかもしれません。

特に長期間、現地の方々(外国人)と共にツアー生活をしていますと自分自身がどうあるべきか、アジア人・日本人としてどう振る舞うべきか、を考えさせられる機会が多くあります。

そこで、僕は昔から常に己が日本人であることを大切にしてきました。
実はこれこそが僕の中にあるルールとなり武器になっています。もっと言うと、これこそ"ヤストコブラザーズ"がこの世界で頂点に昇りつめた最も大きな理由でもあるのです。

もし僕が現在世界を狙っているアジア人アスリートへ「アドバイス」させていただく機会があるならば、間違いなくこのことをお話しさせていただきます。

もともとこのアクションスポーツは海外からやってきたものであり、アジアのスポーツではありません。その為、多くの人がまず最初に外国人アスリートに憧れを抱きます。それ自体は当然なことですし、全く問題ありません。だけど、問題は私生活のあり方まで(勝手にイメージして)真似をしてしまうことです。

アクションスポーツのイメージにも繋げられやすい、「お酒飲んで、タバコ吸って、ワイワイはしゃいで毎日楽しくスケート!」なんてことでは本当の意味での頂点に立てる訳がありません。実際、"派手"に遊びながら活動をしているプロもおりますが…、彼らは決して「頂点」ではありません。

余談ですが…。ビデオなどでプロアスリートがワイワイはしゃいでいる場面を見て毎日そうして過ごしているのだと勘違いして真似をする若者が多いですが、それは間違いです。トップアスリートであればあるほど、そうしたことは稀に行い、その場面をムービーに切り抜かれているだけのことが多いです。

本当の頂点を目指すならば、そうしたことから真似をして逃げるのではなく、自分らしく正々堂々己と向き合って戦うべきです。

日本人はよく海外から「遠慮がちで控えめな人種だ」などと言われますが、それでいいのです。無理やり派手にする必要はありません。ばか真面目で多少の損をしてもいいから、責任を持って丁寧に仕事をする日本人のままでいい。志高く己の技術を磨き続ければ必ず結果に繋がってきます。

それに依頼主だってそういう部分を信頼してくれるようになります。
誰だってイベントを主催する場合、安定感のあるハイパフォーマンスを披露できる人材に仕事を依頼します。その期待に応えられる者が本当のトップです。僕もそうあるように心がけてこの仕事をしています。

海外では一度実力を認めてくれると人と人との壁がなくなることのほうが多いです。 特にアメリカでは個性を尊重してくれる人が多いので己を主張しても問題になることは少ないと思います。良い滑りを披露してショーを盛り上げて全体をまとめる、僕にとってこのツアーは仕事なのだからそのことを最も大切にして当然です。

その姿勢とスケーティングさえ認めさせれば、ディナーやバーなどの誘いをほとんど断っても全く問題ありません。それでも、(僕はお酒が嫌いではないので)時々顔を出すととても喜んで歓迎してくれます。とてもサッパリしたものです。

話がながくなりましたが、大切なのは自分らしく戦うこと。
僕にとっては日本人らしく、またアジア人らしく立ち居振舞うことでどこにいても己をキープすることができて心とパフォーマンスに安定感が生まれます。

あとは、トップを狙う高い志し。
そこまでの計算は非常に簡単です。今あるトリックを全て順番にコピーしたうえで、オリジナルトリックを作ればいいのです。

トップを狙う覚悟をした頃の僕は当時存在した全てのトリックに挑戦して習得しました。その先に生まれたのが僕の最初のオリジナルトリック「1080 Flat Spin(California Roll 1080)」です。1つ進むとまた1つ新しいものが見えてくるものです。存在するトリックの上をいけば技術面では間違いなくトップになれます。自分らしい動きが見つかれば「スタイル」が決まります。

あとは、どのような姿勢で仕事ができるかが重要となります。
僕はこれからもアジア人としてのスタイルで己と向き合っていきたいと思っています。インラインスケートは僕が日本人として正々堂々と海外を渡り歩いていくために必要な「刀」です。

今後はインラインスケートというジャンルにこだわると生きにくい時代になります。
ジャンルにとらわれず必要とされるパフォーマーになる為、もっと経験を積んで志し高く頑張らせていただきたいと思っています。



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