この仕事にしていると、「スケートを履いてよくあんな危険なことをやってるね」「なんであんなことに挑戦し続けるの?」と人からよく言われます。

確かにそうです。素人から見れば危険でしかありません。
それに確かにインラインスケートはマイナースポーツだから、生活面においてもリスクだけは大きいです…。

だけど、僕は2歳から滑っています。

これは小さい頃から滑っていて上手だから心配ないよって意味ではなくて、もう今更スケートを取られると、ただ不便なだけの生活になっちゃうな…ってことです。

わかりやすく例えるならば…。事故が多いのでこの世にある乗り物を全てなくしましょう、と言われるとします。どうですか?生活が不便になりますよね?特に日本という国は船や飛行機がなければ外にも出ていけません。

人は自転車に乗れるようになると少し遠くへ行ってみたくなるし、車の免許が取れたらどこか遠くへドライブへ行きます。飛行機に乗れるならば別の国の街を歩いてみたくもなるし、ランナーはどこまで走れるか挑戦したくなる。新しい景色が見たいから。

その感情が僕にとって「スケートを上達したい」と思う気持ちと同じです。

いまの滑りだけを見れば危険に見えるかもしれませが、ここに辿り着くまでには様々な経験をしてきています。怪我から受け身を学び、身を守るために上達する。それが技術です。経験が新たなイメージを生み出し、臆病な僕の中で好奇心と恐怖心が葛藤する…。

上達すればするほど「安床エイト」としての自由が手に入ります。
だからスケートブーツを脱ぐと動きが制限されるだけでなく、不便さを感じます。スケートなしではできないことだらけなのです。

危険性に関しても、スケートを履いている時の方が安全なこともあります。…いや、むしろ今の時代、私生活にこそ本当に恐ろしい危険がゴロゴロしているように感じます。車の事故や事件に巻き込まれる危険性の方がよっぽど多いのではないでしょうか?いつ何が起こるかわからないのは皆平等です。



そして、今日は皆さんに是非見ていただきたいムービーがあります。
今回ナイトロ・サーカスで出会ったAaron “Wheelz" Fotheringhamも、友人のタカさんこと松嶺貴幸さんもそうだけど、車椅子だから不便…ではなく、己を受け入れたいま、彼らは車椅子だからこそ自由です。

Aaronは車椅子に乗ってなきゃ飛べないし、人が決して見れない景色を車椅子に乗ってることで見られるのだから、実はとても自由です。きっと彼は「車椅子に乗っていない人が見た事のない景色を知ってるよ」と考えているに違いありません。彼は現在ナイトロ・サーカスで世界中を旅しています。いま、鳥のように自由です。

そしてタカさんは、己の可能性と向き合って世界を相手に正々堂々と挑戦し続けています。16歳の時の事故によってスキーではなくなってしまったけれど…、きっと子供の頃からの夢である"世界中を回る"ということを「エクストリームペインター」として叶えることになる人です。いつもペイントからもはみ出ているそのエネルギーに魅了された人たちがどんどんタカさんのまわりに集まっていて、自由自在に暴れていく彼のその姿に僕は負けてらんないな、と感じています。

自分の羽が何であれ、自分を自由にしてくれることと向き合って生きていく勇気をタカさんからいただいています。僕も限りあるスケート人生の中でできるだけ多くの自由を手にできるよう、日々己と向き合っていきたいと思います。

感謝…!