【 ブラック・ビュート 】はかなり急な山で、道なき道ばかりだったが、半日掛けてやっと頂上に到着した。
カルフォルニアの、どこまでも続く広大な360度の大パノラマを見たとき、僕は思わず叫んでいた。
「俺はこれから本当に自由な最高の人生を生きていくぞ~~!」
僕は全身が打ち震えた。
そして、自分の心の奥底と対話をしたのだ。
「今までよく頑張ってきたよ。もう、これまでとは全く違う、新しい人生を生きていこう。」
僕は、そういう内側からの言葉に全身が包まれた。
すると、これまでの自分を手放すことができたのだ。
そして、恐怖感が全く無くなってしまったのだ。
帰りは、登るときと打って変わって、岩の上を飛び跳ねて帰ってきたのだ。
一歩間違えれば谷底に落ちてしまう危険があったが、道なき道を行くスノーボーダーのように、行くべき道が見え、目の前に現れた岩の上に足を乗せるだけで、次に足を載せるべき岩の上が見えた。
目の前に現れた岩の上に飛び移り、また次の岩にも飛び移るという感じで、登りの時とは違い、もの凄いスピードで下山することが出来たのだ。
今考えても、自分でも信じられないくらいだ。
身体全体がとてもリラックスしていて、空を飛んでいるかのようだった。
まさに、【 岩の道筋 】と重なって【 人生の道筋 】が見えた気がしたのだ。