新生「サンソン」に幸あれ (4/15ソワレ感想) | Suzunari の花たちへ

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稲垣吾郎さん、新しい地図、SMAPが大好きです。

「サンソン」2日目のソワレを観てきました。2年前の無念の中断を経て、さらに鮮やかにさらに力強く生まれ変わりました!

私は2年前幸運にも観ることができて「サンソンは稲垣吾郎の代表作になるでしょう」と感想に書きました。

今回はその前回を遙かに超えたお芝居になっています。吾郎だけではなくキャスト全員がフランス革命の熱狂と恐怖を全身で表現しています。

 

前回に比べ「死刑廃止を望みながらも法の定めによって死刑を執行する処刑人」サンソンの苦悩が前面に押し出されている感じがします。普通なら到底背負いきれないだろうその矛盾をずっと見つめ続けるサンソンの強さと悲しさ。吾郎はその声でその表情でその動きで精一杯表現しています。文字通り目が離せませんでした。

特にラストシーンの表情。死刑廃止は叶わず革命の熱狂は恐怖政治を経て皇帝制へ逆戻りし、理想とかけ離れた現実を前にして、悲しみと諦めとそれでも自分のやるべき処刑人の務めを果たした誇りとが入り交じった表情に私には見えました。

 

 


それにしても・・・(2年前の感想の繰り返しになりますが)
今私たちが当たり前のように享受している民主主義はたくさんの人たちの犠牲を伴ってできあがったのですよね。時に過激になったり、反動で専制主義に戻ったり、時に失敗したりしながら現在に至っているのです。だからフランスの人たちは民主主義を守る気持ちが強いのでしょう。

日本の今の民主主義も、悲惨な戦争を経験して手に入れたことを忘れずにいたいです。

 

そのせいかは分かりませんが、前回と同じなのに今回特に私に刺さった台詞があります。政治への不満を訴えるジャンに蹄鉄職人の父親が言う台詞です。

 

「政治なんてものは国王陛下と貴族のだんな方に任せておきゃいい」

 

「国王陛下と貴族のだんな方」を「総理大臣と議員」に変えればそのまま今の日本じゃないですか?

 

 

 

「サンソン」は観る人によってまたどの登場人物に注目するかによって色々な感情や意見が生まれるお芝居です、きっと。だから是非多くの方に観ていただきたいです。


チケット情報→ 舞台「サンソン」公式サイト