原作は学生の頃読みました。
市川雷蔵主演の映画も観た記憶があるのですが、
何で大昔で背景以外の細かい内容は憶えていませんでした。
今回の作品は2022年版です。
被差別部落出身の瀬川丑松(間宮祥太朗)は、自らの出自を隠し通すよう亡き父から強く戒められており、地元から離れた場所にある小学校の教員職に就く。教師としては生徒に慕われながらも、出自を隠すため誰にも心を許せないことに苦しみ、一方で下宿先の士族出身の女性・志保(石井杏奈)に恋心を寄せていた。やがて、彼の出自について周囲が疑念を抱き始める中、丑松は被差別部落出身の思想家・猪子蓮太郎(眞島秀和)に心酔していく。シネマトゥデイより
先ず最初にテロップにあったのが、
今では使われていない差別用語を、原作のまま使っているという説明で、
この言葉は劇中多用されています。
父親の言いつけ通り、何があっても出自を隠し通す決心をした丑松が、
尊敬する思想家の死によって、一大決心する話。
私は生まれてから後、関西に越してくるまでは被差別村は近くに無く、
周りでそういう差別があることを全く経験すること無く育ちました。
子供たちが転校した小学校で、初めて身近に感じたのです。
丑松のように、地域と名字でその部落出身なのかが分かるのは、
今住んでいる地域でも同じです。
童謡にも小説にもブログや様々な記事にも、
人それぞれの故郷の懐かしい話は登場しますが、
丑松たち被差別村出身の人たちは、自分の故郷を語れない。
好きな人にその気持ちを伝えられない。
その辛さが苦しくなるくらい伝わって来ます。
最後まで激しい感情をむき出しにすること無く、
落ち着いて話す丑松が印象に残りました。