重たい作品なので、劇場はパスしてDVDまで待ちました。CD

外国の映画祭で幾つか受賞されている作品。

 

 

2017年

内戦が続くシリアのダマスカスで暮らすオーム(ヒアム・アッバス)は、戦地に赴いた夫に代わり留守を守っていた。彼女は自分の家族と、幼い子供を抱えた隣人のハリマ夫婦と共に、アパートの一室に閉じこもって何とか暮らしている。ある日、ハリマ(ジャマン・アブー・アブード)の夫がレバノンの首都ベイルートへ脱出するルートを見つけてくる。シネマトゥデイより

 

内戦下のアパートの一室の一夜の密室劇。

 

このアパートの2階の1室に籠城しているのは

オーム(夫は戦地)

夫の父親

3人の子供

上の娘の彼氏

5階に住む若い妻ハリマと赤ちゃん

メイドの若い女性

 

実は冒頭にはハリマの夫も一緒でしたが、

知人に会うために外に出たとたん撃たれてしまいます。

それを見ていたメイドにオームは口止めします。

 

彼女の夫は兵士ですが、遠くに行っているわけでは無いようで、

ケータイで連絡がついたりつかなかったり。

夫の仲間たちも近くで戦っているようです。

 

絶えず爆弾が落ち銃声が聞こえる中、

戦争にかこつけて、この地域は秩序が皆無。

敵と思われる人物たちが、なりふり構わず外に出ている人を撃っています。

突然押し掛けた男たちは、新妻ハリマを襲います。

 

逃げ遅れたのか、何故この家族がここに隠れているのか?

夫の生死も分かりませんが、

最後に夫の仲間が現れたのはホッとしました。

 

でも彼女は子供たちを避難させるのは同意したものの、

自分はこの地獄のアパートから逃げようとしない。

戦う夫と共に家を守るという義務感なのかな。

この家族がどうなるのか見当も尽きません。

 

ヒアム・アッバス嬢は「ガザの美容室」同様、

中に閉じ込められた状態のひっ迫した人間模様を、

中年女性ならではの立場で演じていました。

アラブ系パレスチナ人の彼女、

今後も中東の問題を世界に発信する作品に参加されるのでしょう。

 

実際この後もまだ反体制派との戦いは続いているようです。

当時の内戦を一つのアパートの一室に凝縮して表現した作品でした。