ケン・ローチ監督の話題の作品。

少し出遅れましたが観てきました。映画

平日でしたが、そこそこお客さん入っていました。

 

 

2019年

マイホームを持ちたいと考えている父のリッキーは、フランチャイズの宅配ドライバーとして独立する。母のアビーは、介護士として働いていた。夫婦は家族の幸せのために働く一方で子供たちと一緒に居る時間は少なくなり、高校生のセブと小学生のライザ・ジェーンはさみしさを募らせていた。ある日、リッキーが事件に巻き込まれる。シネマトゥデイより

 

冒頭、フランチャイズの運送業の仕事を始めた時から、

既に不穏な空気は流れていました。

事業を始めようとすれば設備投資が要る。

そのお金を捻出するには何かを犠牲にしなければならない。ガーン

 

少し前に日本でも〇帽の働き方が問題になったことがありましたね。

ノルマや出来高制、運送業には限らないとは思いますが、大変な仕事。

 

リッキーは家族思いで、自分個人の欲望なんて一つも無い。

妻と子供たちにまともな生活をしてもらいたいと、がむしゃらに働いているのです。

でも次から次へと負の連鎖はやってくる。

 

介護士の妻は、利用者さんの信頼も厚く、

うちの義母のところにも来てもらいたいくらいいい人です。

自分の車を売る羽目になり、自腹でバスで移動。これは大変だ~しょぼん

 

リッキーの就業時間は14時間。妻も12時間以上。

(私が扶養の範囲内で働いているのとは随分違う)

ある程度子供たちが大きくなっているとはいえ、子供たちは寂しいに違いない。

だから問題も起こす。

 

後半、病院で妻アビーがリッキーの上司に怒鳴る場面は、

彼女の気持ちが同化してこちらも泣きそうになりました。

 

リッキーの職場でとても大事な道具のスキャナ

始めは随分便利な道具があるものだと感心しましたが、

後半はこのスキャナが悪魔の持ち物にも見えました。汗

 

どんなにもがいてももがいても袋小路から抜け出せない家族。

生活の為だけに身を粉にして働く両親。

この先どうなるのかも全く予想が出来ませんでした。

 

演じている俳優さんたちは存じ上げない方々でしたが、

先日のローチ監督と是枝監督のインタビューで、

ローチ監督が、当事者に似た環境の俳優を選ぶようなことを言っていました。

主人公リッキーを演じた男性はそこから選ばれたそうです。

 

原題は、宅配の不在票に書かれる文だそうですが、

邦題の方は、警察官のセリフ(邦訳)に「家族を想う」という言葉が出てきています。

幸せになる権利は平等なのに何とも切ないです。