果たして老人はパリから電車でドイツを通らずにポーランドへ行くことが出来たか
2017年
アルゼンチンのブエノスアイレスに暮らす88歳の仕立屋、アブラハムは、70年以上会っていないポーランドの親友に、最後に仕立てたスーツを渡そうと思い立つ。その親友は、ユダヤ人のアブラハムがホロコーストから逃れた際に助けてくれた命の恩人だった。アブラハムは、マドリード、パリを経由して目的地に向かうが、道中さまざまな困難が襲う。 シネマトゥデイより
私は簡単なあらすじしか知らないで出向いたのですが、
劇場に貼ってあった雑誌の紹介を幾つか読んでしまい、
鑑賞前に結末を知ってしまいました。その上で鑑賞。
アブラハムは今はアルゼンチン人ですが、
戦争中までは家族と共に暮らすユダヤ系ポーランド人だったのです。
彼の家族との思い出の家には、命の恩人である友人が住んでいるはず。
アブラハムの帰省の旅の物語です。
彼はすぐにでもアルゼンチンを出国したかったため、
先ずはマドリード行きの飛行機に飛び乗ります。
機内で、愛想の悪い男性と知り合います。(後日世話になる)
その後、休息をとるために立ち寄った宿の女主人とのやり取りが面白い。
セニョリーナ、どうみても見えないでしょ!
美しいのか魔女なのか分からないこの中年女性、
多分スペインのベテラン女優さんだと思います。
こんな歳の取り方もあるのね~
「ドイツ」という言葉さえ口に出したくないアブラハム。
今でもユダヤ人の中には同じ思いを持っている人が多いのかも知れません。
また、戦争の被害者と思われていたポーランドも、
ユダヤ人に対して加害者であったことが分かります。
次に、パリで出会った人類文化学者のドイツ人女性に助けられ、
彼のドイツ人に対しての頑なな心が少し変わったようです。
ワルシャワでも若い女性看護師に助けられます。
車の中で、彼は昔あった出来事を彼女を通して観客に語るのです。
アブラハムは仕立て屋でした。
そして故郷の街の仕立て屋の大きな窓に見えたのは…
ここは、マスカラが取れないようご用心。
タイトルは地味ですが、
まさしくこの映画を物語っていたと思います。
家に向かう後姿がまた良かったわ~
やっぱりおじいちゃん映画は面白いです。