全編モノクロの作品。
舞台自体は2000年ごろだと思います。
2001年
冬のパリ。若き映画監督のフランソワは、街で女優志望の学生リュシーと出会い、その瞬間から恋に落ちる。2人は急速に愛を深めていった。そしてフランソワは、構想中の新作のヒロインにリュシーを抜擢する。早速アムステルダムで撮影を開始するが、フランソワは資金調達に苦しんでいた。そこで初老の男シャスに資金提供を願い出たが、その条件としてヘロインを運ぶことを要求される。その条件に対して彼が悩む一方、リュシーはヒロインの役柄を上手く演じられない自分に苛立ち、戸惑い始めていた…。 allcinemaより
フランソワが作ろうとする映画のテーマが、
ドラッグ、マフィアの批判映画。
それなのに、映画の資金調達のために、ヘロインを運ぶ手伝いをするフランソワ。
一方、主演女優でフランソワの恋人のリュシーは、
演技に悩み、自分自身に自信が無い。
そんなところに共演者で仲が良くなったハンガリー出身の女優。
彼女はシャスの恋人で、ヘロイン常習者でした。
フランソワの映画の内容が、ヘロインで身を崩す女性の話。
ところが、主演女優も同じようになってしまうというもの。
映像は、彼の映画の中なのか、実際のリュシーなのか混同して分からなくなります。
結局、映画の資金のためにフランソワが運んだヘロインが、
回りまわって恋人兼主演女優をダメにしてしまったのです。
前半はラブラブの2人が、次第に心が離れていく。
ヘロインに溺れたリュシーはフランソワに興味さえ無くなったみたい。
常に憂鬱で、そこから脱するためにまた麻薬。
フランソワは「この映画で麻薬から世界を救いたいと」言っているのです。
それなのに、恋人すら救えなかった。
逆に、知らず知らずに彼女を麻薬の道に引きずり込んだようにも見えました。
最後の結末を迎える前に、フランソワは気が付くべきだったと思います。
映画の現場で忙しいとはいえ、彼女の心の闇の深さを分かっていない。
繊細そうな彼なのに、そこが鈍感で、リュシーが可哀そうでした。
フランソワを演じるメディ・ベラ・カセム氏は、
この作品でしかお目にかかれないですが、フランスの作家だそうです。
端正な御顔立ちなので、モデルもしていたみたいですが、
今現在の活動は分かりません。
映画撮影の場面は「アメリカの夜」を思い出しました。