イスラエルの作品。イスラエル

あまり下調べはしなかったのですが、

劇場に貼ってあった幾つかの雑誌の切り抜きを読んで、少しネタバレ状態で鑑賞。映画

 

 

 

2017年

ミハエル(リオル・アシュケナージ)とダフナ(サラ・アドラー)の夫婦は、家を訪ねてきた軍の役人から、息子のヨナタンが戦死したと知らされる。ダフナは悲しみと衝撃で気を失い、ミハエルはショックを隠しつつも役人の対応に不満を募らせる。やがて戦死が間違いだったことが判明しダフナは胸をなで下ろすが、ミハエルは憤慨して役人に息子を帰すように迫る。一方のヨナタンは、戦場の検問所で仲間の兵士と怠惰な時間を過ごしていた。シネマトゥデイより

 

原題のFOXTROTとは社交ダンスのステップのひとつ。

最初と最後が同じ場所に戻るそうです。

このダンスが、まさしくこの映画の最初と最後を繋ぐもの。

邦題もめずらしく良かったと思います。グッド!

 

3部構成のこの作品、

一つ一つのシーンに意味がある作品だった。

また、初めて知る事柄もありました。

 

例えば、最初に息子の戦死を知らせに来るシーン。

担当の軍人以外に看護師?まで同行。

速攻倒れた母親に手際よく注射を打ち、父親の心身のケアも。

午後には神父さんまで来て葬儀の打ち合わせ。

アメリカ映画ではここまでは見かけなかったです。

 

父親とその兄が無神論者だと言っていたのも意外でした。

イスラエル人は皆さんユダヤ教だと思っていました…汗

 

ショックだったのは検問所でのパレスチナ人の扱い。

兵士たちは規則通りに仕事しているだけなのですが、

パレスチナ人にとってはとても屈辱的です。ガーン

 

雑誌の記事には、

何故パレスチナの若者が車からわざと身分証明書を落としたのか書いてありましたが、

それを分かっているイスラエル兵も、咎めるわけでも無く淡々としていました。

 

映画に登場するのは普通の家族、普通の兵士たち。

でも親たちは、子供を戦地に送り出したら、

少なからずも覚悟は決めておいているはずなのに、

誤報と分かった後の父親の激高ぶりは異常。目

 

映画の中で両親と息子が一緒にいるシーンはありませんでしたが、

息子が同僚たちに語る昔話で、父親を慕っているのも分かります。

 

結局、息子の運命を決めてしまったのは父親。

家族、特に妻のショックは相当なもの。

その壊れかけた家族を元に戻そうとする再生の物語は、

良くも悪くもFOXTROTなのです。

 

途中、アニメーションも入る珍しい作品。

音楽も粛々としていたりポップだったり、

観ている私も浮かんだり沈んだり…

 

そして、冒頭の長い道と検問所を横切るラクダは最後につながるのです。

 

前述した雑誌の切り抜き記事に、この映画の裏話が書いてありました。

イスラエルでは優秀な監督作品に助成金が出るそうですが

軍のイメージが悪いと、文化大臣がご立腹。

結局どうなったのでしょう、助成金の行方…汗