2016年度ドイツ興収1位の作品。
原題は初めて青年を受け入れた時、家族で作った幕、
「ハートマン家へようこそ」
「WILLKOMMEN BEI DEN HARTMANNS」
こっちの方が良かったのでは
ミュンヘンの住宅街に一軒家を構える、病院の医長のリヒャルト(ハイナー・ラウターバッハ)と元教師のアンゲリカ(センタ・バーガー)の夫婦。長男(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)は妻に逃げられその息子は勉強そっちのけでラップとゲームに夢中で、長女(パリーナ・ロジンスキ)は31歳になっても大学生という状態だった。ある日、アンゲリカが難民を受け入れると宣言して、ディアロ(エリック・カボンゴ)というナイジェリアから来た青年を連れてくるが……。
シネマトゥデイより
ドイツでも深刻な難民問題。
ある一家族を通して、難民との関わり方をコメディタッチで描いていました。
アルジェリアからの難民の青年ディアロ。
家族は彼のことで問題を抱えるのかと思いきや全く逆。
問題を抱えているのはハートマン家で、
ディアロはこの家族のゴタゴタに次々と巻き込まれてしまうのです。
プライドが高く自分の老いを認めたく無い父。
生き甲斐を失い、ボランティアを思い付く母。
妻に捨てられシングルファーザーの息子。
31歳になっても自分の進む道が分からない娘。
それに問題児の孫息子。
家族は危機的状況ですが、
コメディなので家族一人ひとりが面白いキャラです。
そして素直なディアロは彼らに素朴な質問をぶつけます。
ディアロの母国での出来事(ボコ・ハラムによる蛮行)。
改めて難民の一人一人が壮絶な体験を経て、
ヨーロッパ各国に逃げて来たのを再確認しました。
難民=原理主義では到底無いですが、
そうかこつけて排除しようとする白人たちもまた、
自分たちの宗教を偏って解釈しているのでしょうね。
この先、ドイツが難民対策をどうするのか国民に問う話でもありました。
もちろん現代社会が抱える家族の在り方も並行。
ちっちゃなラブストーリーも展開するという盛りだくさんで、
何度も笑いがおきる(特に父のアンチエイジングの場面)楽しい作品でした。
ちなみに後半ディアロのジョギングの場面で、
バッケライの店員の女の子とのあいさつ「セボスSevus」は標準ドイツ語では無くて、
舞台となる南ドイツMünchenの方言で(隣国オーストリアでも使う)、
「こんにちは、やあ!」など1日を通して親しい人に使う挨拶の言葉。
新しい恋の予感です
そして最後のパーティの場面では、
父が上辺だけでなく、本当に心を込めてディアロに言います。
「ハートマン家へようこそ!」