朝、幼稚園へ送って行こうと玄関を出た。

寒くない?と話しかけようと次男のほうを見ると、顔面に衝撃が走った。


次男がお着替え袋を振り回し、わたしの顔にクリーンヒットしたのだ。

いつも「やめなさい」と口うるさく言っているこの行為。

注意したあとしばらくはやらなくなるが、なんらかのタイミングでやってしまうことがある。

そして今朝はそれが見事顔に当たったというわけだ。

不意打ちの攻撃だったので目にあたり、普通に痛い。

思わず叱った。


朝、送り出す時にこんなテンションにさせたいわけではないのに。

しかし、当たったのがわたしだったから良かったが、通行人や幼稚園のお友達にあたっていたらと思うと叱らざるを得ない。


次男はしょんぼりした顔のまま、バスに乗って行った。

いつもならニコニコした顔で手を振るのに、それもなかった。


長男はよく叱られていた。

叱られても叱られても、衝動的な行動が多く、叱らざるを得ないことが多かった。

長男と比較するとおとなしく扱いやすい気がする次男だが、ごく大人しい子供というわけではない。

人並みにちゃんと男の子だなぁと思う。ヤンチャもする。

性差なんてない、と言われるけれど、やっぱり女の子の動きはおとなしいなぁと思うことが多い。

そもそも猛烈ダッシュして道路に飛び出して行ったり、かばんを振り回したりしている女の子はあまり見たことがない。

男女差なんてないよ、ってよく言われるけど、集合写真を撮るときだっていつまでもわちゃわちゃしてる男の子たちと、じっと前を向いてひたすら待っている女の子たちを見ていると、性差は多少なりともあるんじゃないだろうか?と思ってしまう。

我が家は男児なので、いつも女の子たちを待たせてしまっていることをなんだか申し訳なく思うし、飛び出してしまう子は追いかけて体を張って止めないといけないよなぁ、と思うからこそ、「女の子はおとなしい子が多いなぁ」という感想なのだが、最近は女の子ママさんに対してそう発言するだけでも「男女差なんて関係ないと思うけどね」と言われることが増え、ジェンダーレスの時代なのかと思う。

とはいえ、男児だから大雑把な行動やヤンチャな行動を大目に見ろ、と言っているわけではない。

なんとなくガチャガチャとしてしまうことを、申し訳なく思っているし、そんなふうにガチャガチャせず親の話をきちんと聞くことのできている女の子たちを「えらいなぁ」という褒めているつもりで伝えているのだが、そう捉えてもらえることばかりではない。

「うちはちゃんと叱っているからね」とか「言えば分かることだよね」と返ってくる。

男女両方を育てているママさんは、「絶対、男女差ってあると思う…!不安」と言うことが多く、男の子ってなんだか不思議な生き物だと感じるらしい。



話を元に戻すと、わたしだって普段はあまあまかもしれないが、叱る時は大いに叱る。

子供たちいわく、お母さんは怒らせたらこの世で1番怖い、そうだ。

怒鳴ったら手をあげたりはしないのだが、わたしは静かに怒るタイプだ。

「なぜ、何度も注意しているのにやめなかったのか?」

「どういう気持ちでそういうことをしたのか」

「いまの結果を見て、あなたのいまの気持ちは?」

「あなたはどんな大人になっていきたいか?」

などと子供に発言をさせる方針だ。


わからない、と言うこともあるが、やらかした結果を見てどう思うか?と聞くので子供からすると「逃げられない」と思うらしい。


「しかたないよ、まだ小さいんだから」などと擁護することはない。


しかし、1ヶ月に1回も怒ってはいない。

大体が「注意喚起」の時にやめているので、「お説教」までいくのは年に何回かしかない。

これは下のきょうだいたちへのしつけといまも変わらない。


が、声を荒げたりして怒っているよりも、強く「叱られた」と感じるらしい。



その様子を見て「厳しい」と言われることもあるが、学校に行き始めると「叱られて育ってよかった」と長男は言った。

何か失敗したり、やらかした時、先生に自分の言葉で説明しなければいけないことがある。

そうしたときにはプレッシャーがかかりながら、言葉を生み出さなければならない。

が、普段お母さんが叱るときに、「なにが、どうして、こうなった。いま、どう思っているか。次はどうするか。」と聞くので、自分なりに筋道を立てて先生に伝えることができる、と。


叱られる、ということは、あなたによりよくなってほしいと願っているから。

そうしてひとつずつ、自分と、周りとの関係を築いていけるようなそんな人になってくれたらと思う。



幼稚園から帰ってきた次男は、「お母さん、今日はぶつけてごめんね」と謝ってきた。

わたしも、「朝、幼稚園に行く前なのに怒って送り出してしまってごめんね」と謝った。

次男は、「ぼくがダメだよって言われていることをしてお母さんが痛い思いをしたから、僕が悪かったんだよ、ごめんね」と言った。


そうしたやりとりを終え、いつもと同じテンションで公園に行き、次男と2人で追いかけっこをしたりブランコをしたりして汗だくになって遊んだ。


そんな日常を送れていることに感謝したい。