サンフランシスコのデビッド・サックス氏などシリコンバレーの有力なVC投資家が今年の米大統領選で共和党のドナルド・トランプ前大統領への支持を表明した。サックス氏は自宅でトランプ氏の資金調達イベントを実施するにあたってXに声明を発表したが、これを抄訳してみた。

 

 

 過去数年にわたりロン・デサンティス、ビベック・ラマスワミ、ロバート・F・ケネディ・ジュニア各氏などの大統領候補のためにイベントを開いたサックス氏だが、今回は第45代大統領のドナルド・J・トランプ氏を第47代大統領の候補として支持するという。その理由は米国の繁栄、安全保障、安定性に欠かせない4つの要因に基づいており、バイデン政権はこれらについて軌道から極端に外れているが、トランプ大統領が軌道を修正するとの考えによる。

 

 

経済

 バイデン大統領は新型コロナウイルスによるショックからすでに堅調に回復していた2020年4-6月期に米国にほぼ2兆ドルの不必要な刺激策を導入した上に、その後も「インフラ」「グリーンエネルギー」「インフレ削減」に数兆ドルを支出した。これらの刺激策はエコノミストらが指摘していたとおりインフレにつながったが、バイデン政権はこれを「一時的なもの」として一蹴した。

 


 

 しかし、バイデン政権の政策がもたらしたインフレによって米国民は数年間で平均20%前後の購買力を失ったほか、これに伴う金利負担の増加も家計をさらに苦しめた。

 

 連邦政府レベルでは債務が34兆ドル、年間金利負担が1兆ドルを超え、債務は100日ごとに1兆ドルのペースで膨らんでいる。これは持続不可能なペースであるにもかかわらず、バイデン氏の2025年予算案には歳出拡大が盛り込まれている。米国はもはやもう4年間のバイデノミクスに耐えられる状態にはない。

 

 

外交政策/ウクライナ戦争

 トランプ大統領は、過激組織「イスラム国(ISIS)」を破り、(イスラエルとサウジアラビアとの)エイブラハム合意を取り付け、世界に新たな戦闘をもたらさずに退陣した。その3年半後の世界は戦火の渦中にあるが、バイデン大統領はこの状況へとつながるいくつかの判断を下した。

 

 バイデン氏は政権樹立前後にサウジアラビアとの関係を不必要に悪化させたほか、米軍のアフガニスタンからの撤退において混乱を招いた。

 

 それでも、最大の失敗はウクライナにある。バイデン政権はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)入りを早期から後押ししたが、NATO加盟国の間ではこの動きに対する好意的なコンセンサスは得られていなかった。ロシアの反発が想定されたにもかかわらず、バイデン政権は強硬策に徹し、自らも「超えてはならない一線など認めない」などとロシアを挑発した。

 

 

 ロシアによるウクライナ侵攻では、多くの人命の喪失や破壊なくして戦争を止める手立てがその数週間後にあった。ロシアとウクライナの交渉役は2022年春にトルコのイスタンブールで停戦合意の素案に調印したが、バイデン政権はこれを拒否した。2022年11月にミリー米統合参謀本部議長(現在は退任)が外交的解決を促した際も同様だ。

 

 2年余にわたる消耗戦において、ウクライナは一貫して損耗人員、インフラ破壊の拡大に直面してきたが、バイデン氏は第三次世界大戦のリスクにかかわらず戦争継続をもたらしてきた。今やNATO軍によるロシアでの陸上戦に発展しうる段階にまで危機が迫っているが、マクロン仏大統領など欧州の連合国はまさにこのシナリオに乗っかっている。

 

 

 トランプ大統領はウクライナで犠牲者がなくなることを望み、交渉を通じた和解による戦争の終結を追求すると述べている。もはやウクライナは2022年4月の条件を得ることはできないものの、独立国としての地位を守り、世界大戦を回避する余地はまだあるだろう。

 

 

国境(移民問題)

 他国から自由や機会を求めて米国にやってくる有能な人々を歓迎することで国力を強化してきた歴史を私は信じている。ここでは移民に関するスキルや法的手続きが必要であり、これはトランプ政権時に重点が置かれた政策でもある。

 

 バイデン氏は国境開放政策を進めたが、このために違法な国境越えが急増し、南部の国境に混乱と危険をもたらした。大勢の人々が国境を超えることを示す動画が数多く浮上したにもかかわらず、バイデン政権は国境で問題は起きていないとの姿勢を保った。

 

 

 大統領選を控えて政策変更をほのめかすバイデン大統領だが、二期目入りすれば開放政策は再開され、数千万もの不法入国者がさらに国境を超えることになるだろう。

 

 

ローフェア(司法の政治的利用)

 米国が過去250年にわたり享受した政治的安定性は、選挙に勝つために政敵を投獄する取り組みを受け入れないことが土台としてあった。しかしバイデン氏は政権樹立直後から過去、未来の政敵に対する選別的かつ前例のない法的措置を講じた。2021年1月6日の連邦議会襲撃事件に関してもトランプ氏起訴が執拗に追求された。またニューヨーク州ではトランプ氏を起訴した検察が第二の犯罪の疑いを主張して重罪評決を勝ち取ったが、この際判事は陪審員にどの法律に違反したのか正確に名言するようには求めなかった。

 

 バイデン大統領は、トランプ大統領がホワイトハウスに戻れば民主主義にとって脅威になると主張し続けている。しかし、ITプラットフォームと共謀してインターネットを検閲し、情報コミュニティーを利用して息子ハンター氏のノートPCを隠ぺいし、政敵への選別的な司法利用を追求したのはバイデン政権の方だ。

 

 有権者は4年間のトランプ政権、4年間のバイデン政権を経験した。経済政策、外交政策、国境政策、司法の公正さにおいてトランプ氏に軍配が上がった。二期目にふさわしいのはトランプ氏だ。

 

原文

https://x.com/DavidSacks/status/1798883245670707465