英国、カナダなど19国 石炭利用の段階的停止を宣言

 英国、カナダなど19国は、国連の地球温暖化対策の会議(COP23)が開かれたドイツのボンで、石炭利用を段階的に減らすことで同盟を組んだ。現在、世界の発電用燃料の40%を占める化石燃料に関する「政治的な節目」を意味する、とガーディアンは伝えた。英国は石炭の段階的な利用停止を宣言した初めての国で、2025年までにこれを完全に停止する計画だ。英国の発電に占める石炭の比率は12年の40%からすでに2%に低下している。

 カナダのマッケナ環境相は、米トランプ政権のCOP23での唯一のイベントが石炭利用を奨励する内容だったことについて質問を受けると、米国の再生可能エネルギー関連の就業者数が25万人と、すでに石炭関連の5万人を大幅に上回ることを指摘、「市場は石炭から距離を置いた」と述べた。マッケナ氏は石炭関連の雇用に依存する地域への支援の必要性にも言及した。

 英クリスチャン・エイドのMohamed Adow氏は「トランプ政権にとって、これは英国とカナダという米国と最も緊密な2国による叱責を意味する」とした。

 現時点で同盟にはフィジーなど石炭を利用していない小国が含まれる一方、利用の最も多いアジアからの参加国はない。この同盟では、来年までに参加国を50国に増やすことを目指している。

 また、気候変動への対応は人類の運命を決定づける、とメルケル首相が述べたドイツは、この同盟に参加していないほか、化石燃料関連の補助では、すでにEU法令の下で削減を進める2件以外はこれを維持する意向を示したため、首相は厳しい批判を浴びた。

 

 

21世紀フォックスの資産への関心広がる

 21世紀フォックスの一部資産の買収を巡る関心が広がっている、とバラエティは伝えた。すでにウォルト・ディズニーがフォックスの映画・テレビ製作事業やスカイ、スター・インディアなど海外テレビ事業、FX、ナショナル・ジオグラフィックなどケーブルテレビ事業の買収について協議したと報じられた。また、コムキャストが同資産の買収についてフォックスと協議したほか、ソニーが一部資産に関心を持ち、ベライゾンも関心を表明した、とダウ・ジョーンズは伝えた。ソニーやフォックスの関係者はコメントしていない。

 ルパート・マードック氏率いる21世紀フォックスを巡っては、売却の対象外となっているフォックス放送網やテレビ局、フォックス・ニュース、フォックス・スポーツ事業を、2013年に分割したニュース・コープと再び統合し、資産売却による巨額の資金を活用してこれを非上場化する意向を持つ、との観測も出ている。

 

 

グローバル・ガバナンスの構図を静かに解体するトランプ政権

 旧ソ連の一部だったアゼルバイジャンは、小国ながら、その豊富な石油・ガス資源を通じて地政学面で重大な影響力を持つ、とニューヨーカーは伝えた。 アゼルバイジャンの石油パイプラインはすでに完成しているが、ガスパイプラインは建設中となっている。その完成なくして、欧州はガス供給の3分の1をロシアに依存し続けることになる。これはロシアにとって、特に冬季には供給停止をちらつかせることで北大西洋条約機構(NATO)をけん制する材料になっている。

 ブッシュ政権時や、特にオバマ政権時の米国は、アゼルバイジャンに対し、単にロシアの政治的障害になること以上の役割を求めた。実際、アゼルバイジャンは反体制派のジャーナリストや政治家を拘束してきたが、拷問などには及んでおらず、報道の自由をある程度許容している。アゼルバイジャンは独裁国家であるものの、クーデター後のイランやグアテマラのような暴力や残忍さはない。

 アゼルバイジャンや同国を支持する米団体は、同国で民主化、透明化が進行していると主張することができた。こうした進展を象徴する最も画期的な出来事は、03年設立の採取産業透明性イニシアティブ(EITI)において、アゼルバイジャンが当初から積極的に実施国になったことだった。EITIは、石油、ガス、鉱物、他の採取産業における富の争奪を抑制するために政府機関や民間市民、企業が参加する国際的団体。国は、参加の条件として、当該産業における資金の流れを透明にすることが求められる。外務省のウェブサイトによると、日本は09年にEITIの支援国となる旨の意思表明を行った。

 アゼルバイジャンは、EITIに当初から参加することで海外から投資を集めた。EITIは各国政府に機動的な市民社会の形成や会計の透明性向上、他の資源国との協調を可能にした。世界を変えた、独裁を淘汰した、などとは到底いえないEITIだが、少なくともこれを実現する可能性のあるモデルは提唱した。

 従来、米国はEITIを党派を超えて積極的に支持していたが、昨年春以来、トランプ政権はEITIから距離を置くもようとなった。また、アゼルバイジャンは、人権面で要件を満たさなかったとして完全実施国の資格を失った。そして現在、トランプ政権がEITIからの離脱を表明したことが明らかになった。

 政権は離脱表明の公式文書において、EITIが求める透明性は米国の法律が認めるものではない、と主張した。しかし、米国がEITIのルール作りにおいて中心的役割を果たしたことを踏まえると、これは説得力に乏しい。EITIの設立に関わったダニエル・カーフマン氏は、エクソンモービル、シェブロンや他の米石油企業は税金の支払額を開示することに消極的であるほか、多くの企業は採取産業関連の抜け殻会社の背後にある実名開示の要件を嫌っている、とフィナンシャル・タイムズに伝えた。

 これ自体では、米国にとって過去の外交面での暗黒時代への回帰を意味する、とはいえないかもしれない。しかし、トランプ政権は、世界の人々の生活向上につながるような国際的枠組みへの不信感や軽視をその政策に反映している。