☆今日の臨床◆届かない言葉①☆の続きです。
まだコレステロール値が上がり始めたばかりですから治療すれば改善の見込みはあります。
ただ、この方の許す1~2ヶ月に一度の治療ではとても追いつきません。
せめて仕事以外は横になっていて欲しい、、
「無理に歩かなくても仕事で、もう充分に歩いてるんじゃないですか?」
「そう思うんやけど、仕事場は館内を移動するだけやから、歩くのとは違うって(病院の先生が言うから)」
医師はそれだけで社会的発言力が大きい職業です。
その言葉の重みをわかって発言して頂きたいなと思います。
患者さんは医師の言葉はスンナリ受け入れるけれど、名もない私のようなただの鍼灸師の言う事は相手にしてくれない。
過去随分と悔しい思いをしてきたものです。
ストレスから来る高コレステロールは、運動や食事内容では下がらない事、
副腎の治療と、身体と心のストレスを取る治療で不思議に下がってくる事、
どれも医学的にデータがある訳じゃない、科学的根拠があるわけじゃない、
そういう事実を体験してきただけに過ぎない。
わかっているのに、医師でない以上、薬を飲め飲むなと言えない事が歯痒い。
「○○さん、今の身体の状態でこれ以上動くのは反対です。余計にコレステロールに悪いです。
歩くより、ゆっくりとお風呂に入って休んで疲れを取る事のほうがよっぽど○○さんの身体にとって必要な事です。」
「そやけど、歩かんと薬飲まなアカンようになるから、、」
ああ、
これ以上言うとこの方を追いつめてしまう。
歩く=コレステロール値↓=服薬無し
歩かない=コレステロール値↑=服薬
の図式しかないのです。
この方にとっては薬を飲むか飲まないかが第一の重要度で、私が一生懸命伝える言葉は聞きたくない言葉だと思います。
意識の向き方に双方のズレがあるのですから、言えば言う程、溝は深くなって行きます。
私も昔は自分が正しいと思う事を熱く熱く、患者さんに伝え、何とかわかって貰おうと必死になっていました。
当然に患者さんは来なくなります、
こちらはそういう積もりはなくて、一生懸命患者さんのためにと伝えても、患者さんは毎回、否定されたように感じていたんじゃないかと、今になって思います。
私のする事は熱く語る事ではなくて、
この目の前の患者さんに何が提供できるのかを考え行動する事だと、
いつの頃からか、一歩引けるようになりました。
何を言っても今は伝わらない、
1~2ヶ月に一度では治療にはならない、
その上に、肉体的負担をますます強いる生活をするようだ、
私も人間なので、誠心誠意、懸命の治療をしても、患者さんが逆向きな事をされると、やはり気持ちは落ち込みます。
やってもやっても焼石に水…
それでも
ウチに来るのが楽しみだといつもニコニコして来て下さる。
帰る時は、「ああホンマに楽になった、」とお風呂上がりのようにさっぱりとしたお顔になって帰って行かれる。
ならば、せめて、治療時間の間だけでも思いっきり休んでもらおう。
私の治療を受けた方なら経験された事があるかと思いますが、
治療中に眠ってしまいますよね。
眠るというよりは意識消失?
どっかに飛んで行ってしまうかのごとくの熟睡状態に陥ります。
この時の10数分は、普段の睡眠の3~4時時間に当たる効果があると自負しています。
今回の治療も、
もう私の口は閉じて、出来るだけ寝ていて貰おうと治療開始、、
いつも通り、治療終了の声をかけるまで爆睡していました。
そうして、さっぱりしたお顔でニコニコして帰って行かれました。
良かった、良かった、ささやかな至福の時間を提供できて私も満足です。
又、来て下さいね。
でも諦めてはないのですよ(笑)
私の治療を通して、自分の身体は自分で守る意識を少しずつでも、持って貰えるよう、、
細く長ーくお付き合いさせて頂きますから。