『もしもし下北沢』よしもとばなな
久々に一気読みしてしまった。
最初、ばななさんのエッセイ本だと
ばかり思って読み進めていたら、
途中で勘違いに気が付いた(笑)
「もしもし下北沢」は、
父親を突然悲劇的な形で亡くした
主人公・よっちゃんが下北沢で独り暮らしを
始めたが、同じく喪失感を抱えた母親が、
アパートに転がりこんで来るところから始まる。
父親の死には複雑な事情があり、
残された家族は、悲しみ、戸惑いや怒り、
やり場のない感情も抱えていく。
それでも下北沢で生活しながら、ビストロでの仕事、
街の人々との交流、おいしい食事、何気ない日常を
積み重ねる中で、少しずつ心を癒やし、
新しい人生へ歩み出していくお話。
ばななさんの愛する下北沢の街並みや空気感も
描かれている。
私は数年前まで下北沢まで徒歩20分の場所に住んでいた。
物語に登場する、実在するドラッグストアや、
カレー屋、タイ料理屋…
街の情景が昨日の事のように想い出されて
とても懐かしかった。
曽我部さんがオーナーのカフェにも
ランチで良く通ったな。
パスタが絶品である。
好きなサマーソルジャーは、
カラオケでも良く歌う。
下北沢駅も綺麗になって、
街並みもだいぶ変わってしまった。
下北沢という街は、多国籍な飲食店や、
お洒落なバー、昔ながらの商店、古着屋もあれば、
本屋に、ライヴハウス…。
おもちゃ箱をひっくり返したような
雑多な街。そしてとても楽しい街。
何故か必ず知ってる人と遭遇するし、
不思議と懐かしさで帰りたくなる場所。
そんな場所で主人公達が癒されていくのは、
想像にたやすかった。
そして、悲しみの中では食べることさえ難しかった
主人公たちが、皆と料理を味わい、
食卓を囲めるようになっていく姿は、
生命力が戻ってゆく象徴のように思えた。
食べるって命を繋ぐだけではなく、
人との絆や安心感を取り戻す
大事な行為でもあるみたいだ。
「急いで元気にならなくても、
食事や会話しながら、ゆっくり
悲しみや辛さを消化していけばいい」
というメッセージも感じた。
今、無性に、
茄子おやじのカレーが食べたい。
付け合わせの手作りらっきょうも
大好きだったよ。
そういえば店に、ばななさんの
本とか置いてあった!あった!


