H30司法試験再現答案(経済法・公法系) | ついたてのブログ

ついたてのブログ

弁護士一年目です。ついたての陰から近況をつづります。

5振復権者の再現答案です。

諸賢にお見せするレベルではないかもしれませんが、せっかくなので公開することにしました。

 

経済法第1問

第1 設問(1)

6社の行為は不当な取引制限(2条6項)に当たり、3条後段に反しないか。

1 6社は競争関係にあり、「事業者」に当たる。

2 行為要件

(1) 「共同して」とは、意思の連絡をいう。

本件では、平成291月中旬の業界団体の営業部長会合において、B社部長が、Xの主要な原材料Zの価格が値上がり傾向にありZの値上がり分をXの価格に転嫁すること、及び、Yの価格もXの価格と連動して決まるので同時に値上げをすることを他社に提案している。

これに対し、C社部長は、こうした話題について競争事業者と話をすることは社内で禁じられているとして、退席しており、上記提案に応じていない。よって、BC社間に意思連絡はなく、「共同して」に当たらない。平成2931日頃にC社がXY両製品について5%の値上げ交渉に入ったのは、Zの値上がり傾向という状況に独自の判断で対応したものである。

E社部長とF社部長は、XYいずれについても、是非とも積極的に値上げを目指したいと発言しており、上記提案に応じている。また、平成292月中旬に、B社がXY両製品について10%の値上げを公表したのに続いて、同年31日頃に、EF社もXY両製品について7%の値上げ交渉に入った。よって、BEF社間に、Zの値上がり分をXの価格に転嫁し、Yの価格も同時に値上げするという内容の意思連絡が認められ、「共同して」に当たる。

D社部長は、Xの値上げについてはZの値上がりを理由に顧客の理解を得られるだろうが、Yの値上げについては難しいだろうとの意見を述べており、Xについては上記提案に応じているが、Yについては応じていない。そして、D社は、同年31日頃に、Xのみ10%の値上げ交渉に入った。よって、D社は、Xについてのみ、上記内容の意思連絡をBEF社としたといえ、「共同して」に当たる。

甲は、上記会合において、他社から退席を求められることはなかったが、A社では製品価格について他社と合意をすることが社内で禁止されているため合意に参加できないと述べており、上記提案に応じていない。同年31日にA社がXについて10%、Yについて5%の値上げを顧客に通告したのは、他社がどのようにコスト上昇分を製品価格に転嫁しようとしているのかを把握したうえでA社独自に対応した結果である。よって、A社と他社との間に意思連絡はなく、「共同して」に当たらない。

したがって、XについてBDEF社間に、YについてBEF社間に、意思連絡が認められ、「共同して」に当たる。

(2) XについてBDEF社が、YについてBEF社が、製品価格の決定という事業活動を相互に拘束している。

3 「一定の取引分野」とは、当該行為が対象とする取引の範囲をいう。その範囲の画定は、商品及び地理的範囲の観点から、主として需要代替性を考慮して行う。

本件では、上記行為は、X及びYの製造販売取引を対象としている。そして、Xは専ら家庭用に用いられる一方で、Yは主として工場配管用に用いられ、相互に需要代替性を欠く。また、地理的市場については特段の事情がない。よって、市場は日本におけるX及びYの製造販売市場に画定される。

4 「競争を実質的に制限する」とは、市場支配力を形成維持強化することをいう。

本件では、Xの製造販売市場においてBDEF社は合計65%、Yの製造販売市場においてBEF社は合計50%という大きなシェアを占める。よって、他社は低価格競争による顧客奪取の誘因に乏しく、有力な牽制力を有しない。

また、ここ10年ほど、輸入製品のシェアは5%にすぎず、輸入圧力が弱い。

よって、Xの製造販売市場においてBDEF社が、Yの製造販売市場においてBEF社がそれぞれ市場支配力を形成維持強化するといえ、「競争を実質的に制限する」に当たる。

5 したがって、上記行為は3条後段に反する。

(1578字)

※設問(2)については白紙です。

 

経済法第2問

第1 第1案

1 「拘束」とは、人為的手段により行為の実効性が確保されていることをいう。

本件では、第1案により、後述のように、低い手数料しか受け取らないことにより安い宿泊料金をホテルや旅館等に提示させようとする事業者の新規参入が困難になる。よって、人為的手段により、オンライン旅行予約をめぐる競争激化を防止するという行為の実効性が確保されている。したがって、「拘束」に当たる。

2 市場画定

市場とは、当該行為が対象とする取引及びこれにより影響を受ける取引の範囲をいう。その範囲の画定は、商品役務及び地理的範囲の観点から、主として需要代替性を考慮して行う。

本件では、第1案は、OTAの、宿泊施設予約仲介サービス提供取引に影響を及ぼす。そして、OTAは、インターネット上で宿泊施設を検索、比較して予約できるサービスを提供しており、同サービスは、顧客が宿泊先を決定するのに便利である。旅行業者を通じて予約するもの、電話やファクシミリで直接予約するもの、サイトで予約するものではかかる検索、比較ができないから需要代替性を欠く。地理的市場については特段の事情がない。よって、市場は、日本におけるOTAの宿泊施設予約仲介サービス提供市場に画定される。

3 「不当に」とは、公正競争阻害性のうちの自由競争減殺をいう。

本件では、上記市場において、A社は35%で第1位のシェアを有する。

もっとも、低い手数料しか受け取らないことにより安い宿泊料金をホテルや旅館等に提示させようとする事業者が新規参入の準備をしており、有力な牽制力となるとも思える。しかし、A社が第1案を導入すると、B社及びC社も同様の契約条項を盛り込むことが予測される。ABC社は合計85%のシェアを有するから、取引先のホテルや旅館も多数に上る。そうすると、上記新規参入を予定している事業者は、取引先を十分に見つけることができず、新規参入が困難になる。よって、第1案は、競争者排除という自由競争減殺効果が認められ、「不当に」に当たる。

4 行為の目的が正当であり、手段が相当であれば、行為の違法性が阻却される。

本件では、オンライン旅行予約をめぐる競争激化を防ぐという目的は競争制限的であり不当である。

他方、検索・比較サービスのただ乗り防止目的は、同サービスを提供するためにOTAが相当の費用を掛けてサーバーやコンピュータシステムを開発・保有・運用していることから、正当である。

しかし、通常の手数料とは別に、ユーザーが検索・比較サービスを利用する際に自社に発生する費用を、毎月、取引相手であるホテルや旅館等に「サービス利用料」として支払ってもらうという他の手段によっても、ただ乗り防止目的を達成できる。よって、手段の相当性を欠き、行為の違法性は阻却されない。

5 したがって、第1案は一般指定12項に該当する。

第2 第2案は上記ただ乗り防止目的で導入するものであるところ、上述のように手段の相当性を欠く。よって、第2案も一般指定12項に該当する。

(1233字)

 

公法系第1問

第1 購入する側

1 青少年(本条例2条(1))

(1) 本条例8条3項は、青少年に対する規制図書類の販売や貸与を禁止する。よって、同項は、青少年の、規制図書類を読む自由を制約する。

「表現の自由」(21条1項)は、情報摂取の自由の保障を含む。青少年の上記自由は、情報摂取の自由として保障される。

(2) 本条例7条は情報の内容に着目して規制図書類を定義する。よって、本条例8条3項は内容規制である。内容規制は恣意的規制のおそれがある。もっとも、青少年は判断能力が未熟であり、成人と同様の権利保障をする前提を欠く。そこで、規制目的が重要であり、手段の合理性・必要性があれば合憲である。

(3) 本件では、規制目的は、青少年の健全な育成及び羞恥心や不快感を覚える卑わいな書籍等が、それらを買うつもりのない人たちの目にむやみに触れることがないようにする点にあり、重要である。

本条例7条は、要件に該当する図書類を自動的に規制の対象となるようにしている。かかる手段は、日々発行される様々な出版物を適切に規制の対象とするために必要である。

また、刑法175条の処罰対象とならないものによっても青少年の健全な育成を害するものがあるので規制対象とする必要がある。

さらに、絵による描写でも、殊更に性的感情を刺激する類のものがあるので、規制対象とする必要がある。

本条例8条3項により、青少年は規制図書類を全く購入できなくなるが、規制目的を達成するために他の手段はないので手段の必要性がある。

よって、本条例8条3項は青少年の上記自由を侵害しない。

2 18歳以上の人

(1) 本条例8条1項2項により、18歳以上の人は、これまで規制図書類を購入していた店舗で購入できなくなる場合がある。よって、同項は、18歳以上の人の、規制図書類を読む自由を制約する。同自由は、上述のように、情報摂取の自由として保障される。

(2) かかる規制は、上述のように、内容規制である。そこで、規制目的がやむにやまれぬものであり、手段が合理性、必要性があってはじめて合憲となる。

(3) 本件では、規制目的は青少年の健全な育成及び規制図書類を目に触れさせたくない利益であり、やむにやまれぬものといえる。

上述のように、規制図書類の範囲の点で規制の必要性がある。

また、本条例8条1項に当たらない事業者については、同条2項の規制区域の外であれば規制図書類の販売や貸与ができるので、18歳以上の人はそのような店舗で規制図書類を読むことができる。よって、目的達成に必要な限度の規制といえる。

したがって、本条例8条1項2項は18歳以上の人の上記自由を侵害しない。

第2 販売をする店舗

1 これまで日用品と並んで規制図書類を一部販売してきたスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗

(1) 本条例8条1項は、上記店舗の、日用品と規制図書類をいっしょに販売する自由を制約する。

「職業選択の自由」(22条1項)は、営業の自由の保障を含む。上記店舗の上記自由は、営業の自由として保障される。

(2) 規制図書類を販売すること自体に集客力がある。よって、上記自由は重要である。また、本条例8条1項は、規制図書類を目に触れさせたくない利益を確保するための消極目的規制である。同規制は、特定事業者保護目的が隠されているおそれがあるから立法裁量を認めるべきでない。そこで、規制目的が重要であり、手段に合理性・必要性がある場合に合憲となる。

(3) 本件では、規制目的は、規制図書類を目に触れさせたくない利益を確保する点にあり、重要である。

上記店舗において規制図書類の売上げが売上げ全体に占める割合は微々たるものであり、規制手段が必要な限度であるとも思える。しかし、上記目的を達成するためには、規制図書類をビニールで覆うという他の手段がある。よって、手段の必要性を欠き、本条例8条1項は22条1項に反する。

2 学校周辺の規制区域となる場所で規制図書類を扱ってきた店舗

(1) 本条例8条2項は、規制区域で規制図書類を販売、貸与する自由を制約する。同自由は営業の自由として保障される。

(2) 同項の規制は消極規制である。また、上記店舗のうち、規制図書類の売上げが売上げ全体の20%を超えるものが10店舗存在する。しかし、規制区域の店舗は、規制図書類の販売と貸与をやめてもらえればいいわけで、販売等を継続したいのであれば、市内にも店舗を移転できる場所はあるはずである。条例の施行までには6か月あるので、それまでに移転できる。よって、規制の程度は弱い。したがって、規制目的が正当であり、手段が合理的であれば合憲である。

(3) 本件では、規制目的は青少年の健全な育成であり、正当である。また、規制区域は学校の敷地の周囲200m以内の区域に制限されており、目的達成に合理的である。よって、本条例8条2項は合憲である。

(1988字)

※問題文甲の最終発言第三「規制図書類とそれ以外の図書類を扱っている書店やレンタルビデオ店」については白紙です。

 

公法系第2問

第1 設問1(1)

「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)とは、当該処分を定める行政法規が個々人の個別的利益として保護する利益を、当該行為がされることにより侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。

1 Dは、墓地経営の安定を図る利益を主張する。

2 検討

本件許可処分の根拠規定は法10条1項である。そして、本件条例は同項の許可要件や手続につき、少なくとも最低限遵守しなければならない事項を具体的に定めたものであり、「関係法令」(行訴法9条2項)に当たる。本件条例3条1項が墓地の経営主体を制限し、9条2項5号が申請書に墓地の経営に係る資金計画書の添付を規定しているのは、墓地経営の安定を図るためである。そこで、法10条1項は、墓地経営許可により、墓地経営に係る著しい不利益を受けるおそれのある者に対し、そのような不利益を受けないという利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨を含む。

本件では、Dは、本件土地から300m離れた位置にある土地で小規模な墓地を経営しているところ、既にDの墓地は余り気味で、空き区画が出ている。本件墓地は規模が大きく、本件墓地の経営が始まると、Dは、自らの墓地経営が立ち行かなくなるおそれがある。よって、Dは上記おそれのある者に当たる。したがって、上記Dの主張は認められる。

3 Eは、生活環境及び衛生環境の悪化により本件事務所の業務に影響を受けない利益を主張する。

4 検討

「関係法令」である本件条例13条1項2号は、障害福祉サービスを行う施設の敷地からの距離制限を定める。また、本件条例14条2項は生活環境を考慮し、同条1項2号3号は衛生環境を考慮している。そこで、法10条1項は、墓地経営許可により、生活環境及び衛生環境が悪化し障害福祉サービスを行う施設の業務に係る著しい不利益を受けるおそれのある者に対し、そのような不利益を受けないという利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨を含む。

本件では、Eは、本件土地から80m離れた位置にあるD所有土地に本件事業所を置いている。本件事業所の利用者は数日間滞在することもあるので、住宅の居住者と変わりがない実態がある。本件土地周辺の道路の幅員はそれほど広いものではないため、墓参に来た者の自動車によって渋滞が引き起こされること、供物等の放置による悪臭の発生並びにカラス、ネズミ及び蚊の発生又は増加のおそれがあることなど、本件許可処分により、生活環境及び衛生環境が悪化するおそれがある。よって、Eは上記おそれのある者に当たる。したがって、上記Eの主張は認められる。

第2 設問1(2)

1 Eの第1の主張

本件事業所が本件土地から80m離れた位置にあり、本件条例13条1項の距離制限規定に違反する。

2 B市の反論

本件墓地の経営許可を阻止するため、DEが協力して本件事業所を意図的にD所有土地上に設置したのであり、同項に違反しない。

3 検討

本件条例13条1項2号の趣旨は、障害福祉サービスを行う施設の業務に対する支障を防ぐ点にある。Eは特に移転の必要性はなかったにもかかわらず、B市が反論するように、本件事業所を意図的にD所有土地上に設置した。よって、Eは同号の保護を受けるに値しない。したがって、Eの第1の主張は違法事由とならない。

4 Eの第2の主張

本件墓地の実質的経営者は、AではなくCである。

5 B市の反論

本件墓地の実質的経営者はAである。

6 検討

Cは株式会社であり、本件条例3条の定めにより、墓地の経営の許可を受けることができず、墓地経営のために宗教法人であるAの協力が必要であったことから、Aに対し、本件土地で墓地の経営を始めることを持ち掛けた。また、Cは、用地買収や造成工事に必要な費用を全額無利息でAに融資している。さらに、本件説明会においてCの従業員も説明を行っている。よって、本件墓地の実質的経営者はCである。

本件条例3条1項が墓地の経営主体を制限したのは、墓地経営の安定を図るためである。Cについては、経営の安定性を充たすかについてのチェックがされていない。よって、本件許可処分は同項に違反する。

7 「自己の法律上の利益に関係のない違法」(行訴法10条1項)とは、原告適格を基礎付ける規定以外の規定に違反した場合をいう。

本件では、本件許可処分の違法事由は本件条例3条1項であるところ、Eの原告適格を基礎付けるのは本件条例13条1項2号である。よって、本件条例3条1項違反をEは主張できない。

(1832字)

※設問2については白紙です。