(続)過去問ひとり答練 H28民事系第3問 | ついたてのブログ

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第1 設問1

1 固有必要的共同訴訟に当たるか否かは、訴訟物たる権利についての管理処分権が実体法上共同的に帰属するか否かによって決まる。

本件では、訴訟物たる権利は本件不動産総有権である。総有権は、持分権を観念できない。よって、本件不動産の管理処分権は、Xの構成員全員に共同的に帰属する。したがって、Xの構成員がYに対して総有権の確認を求める訴訟は固有必要的共同訴訟に当たり、原則としてその全員が原告とならなければならない。

2 構成員の中に訴えの提起に反対する者がいた場合は、その者を被告に回すべきである。なぜなら、その者を原告にしなければならないとすると原告の裁判を受ける権利(憲法32条)を充たせないし、その者は被告として訴訟追行できるので手続保障を害さないからである。

3 訴訟係属後に新たに構成員となる者がBに同調する場合は、その者が共同訴訟参加(52条1項)することにより、当事者適格が認められる。

他方、その者がBに同調しない場合は、その者に対して新訴を提起して弁論の併合(152条1項)を申し立てるべきである。

第2 設問2

1 訴えの利益について

昭和28年判決が、訴訟代理人の代理権の存否の確認を求める訴えを不適法とした理由は、本案の前提として判断される手続的事項については、本案の訴訟で判断すれば足り、独自の訴えで確認する必要性を欠き、即時確定の利益を欠くのが通常である点にある。

これに対し、本件では、Zは、Z自身がXの会長の地位にあるのに、Xが会長であるかのように行動していることに不満があり、ZがXの会長の地位にあるという原告の法的地位に危険・不安が現在している。そして、解任決議が無効となれば、規約上1名に限られる会長が既に存在する状況でされた新会長の選任決議も無効となる。よって、解任決議が無効であることを確認することが、上述した危険・不安を除去するのに有効適切である。したがって、Zが解任決議が無効であることやZがXの会長の地位にあることを確認する訴えを提起することについて即時確定の利益が認められ、訴えの利益が認められる。

2 146条1項の要件について

(1) 権利能力なき社団に実質的に帰属する不動産は、代表者名義で登記される。よって、XのZに対する所有権移転登記手続請求の訴えにおいて、解任決議が無効であることやZがXの会長の地位にあることは、本訴の請求と発生原因において共通する。よって、Zの反訴は、本訴の「目的である請求・・・と関連する請求を目的とする場合」(同項本文)に当たる。

(2) 本訴の審理内容と反訴の審理内容とは実質的に重複するから、「著しく訴訟手続を遅滞させる」(同項但書2号)場合に当たらない。

第3 設問3

1 ①について

平成6年判決が、構成員に判決効の拡張を認めた根拠は、構成員に総有的に帰属する財産について、権利能力なき社団に訴訟担当として訴訟追行権が認められることから、115条1項2号を適用した点にある。

本件でも、構成員に総有的に帰属する本件不動産について、Xに訴訟追行権が認められるのであるから、Xは訴訟担当であり、同判決を援用できる。

2 ②について

前訴判決の既判力は、基準時の判断に生じる。なぜなら、基準時までは当事者は主張立証の機会が与えられており、手続保障に基づく自己責任を問えるからである。

よって、前訴判決の既判力は、基準時において本件不動産がXの構成員の総有に属するという判断に生じる。

その反面で、前訴判決の既判力は、基準時前の権利関係の判断には生じない。

よって、前訴判決の既判力は、基準時前における本件不動産の権利関係の判断には生じない。第2訴訟におけるYとZの主張の対立点である、抵当権設定契約時に本件不動産を所有していたのがXかZかという点は、基準時前の権利関係であり、前訴判決の既判力は作用し得ない。

3 ③について

(1) 信義則(2条)を根拠としてYの主張を根拠付けることができるか否かを検討する際には、第1訴訟の段階でYとして採るべき何らかの手段があったか否かを考慮すべきである。

(2) Zに訴訟告知をして参加的効力(53条4項・46条)を及ぼすという手段

第1訴訟でYが敗訴した場合には、Zは、Yから損害賠償請求訴訟を提起されるおそれがある。よって、Zは第1訴訟のXY間訴訟に補助参加の利益を有する。したがって、第1訴訟の段階でYは上記手段を採ることができた。

(3) それにもかかわらず、同手段を採らなかった以上、信義則を根拠としてYの主張を根拠付けることはできない。

4 課題について

以上より、第2訴訟において本件不動産の帰属に関して改めて審理・判断をすることができる。

(1901字)

※第2.1:①L2とP2の会話の流れからすると、P2が引き合いに出した昭和28年判例が本件では当てはまらないことを論じれば足りる(「受験新報」2016年8月号P.68)。②昭和28年判例の射程が本件に及ばない根拠として、「訴訟代理権と代表権では実質的な紛争の広がりが異なる」ことを指摘することが求められていた(出題趣旨)。

※第3.1:①まず、第1訴訟における共同被告であるにすぎないYとZとの間には当然には既判力が生じないことが前提として押さえられなければならない(出題趣旨)。②Zの手続保障について検討する必要がある(内藤講師発言:「受験新報」2016年9月号P.43)。Ex.ZはXの構成員ではあるが、第1訴訟の共同被告の一人として訴訟行為を行っていた。しかし、問題となっているXのYに対する訴訟では、Zは被告ではなかった。よって、Zの手続保証は担当者により代替されている(私見)。

※第3.3:誘導の構造に注意する(びょうそく氏):「既判力に基づく説明以外によってYの主張を根拠付ける余地もあるかもしれませんが、そういった検討も必要でしょうか。③それも検討して頂きたいですね」とあるので、「第1訴訟の段階でYとして採るべき何らかの手段」について論じる前に、まずは(1)「既判力に基づく説明以外によってYの主張を根拠付ける余地」のある法律構成(信義則や争点効など)を提示する必要があります。
その上で、(2)「第1訴訟の段階でYとして採るべき何らかの手段」について論じます。
(1)に言及することなく、(2)の論述から入った答案が一定数ありました。
民事訴訟法においては、問題文の誘導を正確に把握することが、解答の出発点になります。(びょうそく氏
2016-10-27ブログ)。