(続)過去問ひとり答練 旧司H17民法第1問 | ついたてのブログ

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第1 1について

1 ①本件機械には、契約では1時間当たり5000個程度の商品生産能力があるとされていたのに、不具合があって1時間当たり2000個程度の商品生産能力しかない。よって、本件機械は、契約上有すべき性能を欠き、「瑕疵」がある。②Bは、同不具合があったのでは本件機会を導入する意味がないと考えている。よって、「契約をした目的を達成できないとき」に当たる。したがって、Bは、AB間の請負契約の解除権を有する(635条本文)。

Cは、同契約の当事者ではないので、同解除をする権限はない。しかし、Bが同解除をしない間、Cは不安定な立場に置かれる。そこで、Bが解除しないことが明らかになるまでは、Cは保証債務の履行を拒絶する抗弁権を有する。よって、Cは、同抗弁権を行使して、保証債務の履行遅滞責任を負わない旨の主張をすることができる。

2 本件機械は、修理が可能である。そこで、Bが本件機械の修理を他の業者に依頼したうえで使用を継続することが考えられ、その場合は、Bが解除をしないことが明らかになったといえ、Cは上記主張ができない。

この場合、①Bは、(ⅰ)修補費用の負担及び(ⅱ)上記瑕疵によって生じた営業上の損害を被る。そこで、Bは、瑕疵修補に「代えて」(ⅰ)及び(ⅱ)の損害賠償請求権をAに対して有する(634条2項前段)。②そして、BはAからの代金請求に対し、同時履行の抗弁権を有する(同項後段・533条)。

Cは、付従性(448条)に基づきBの有する上記抗弁権を行使して保証債務の履行遅滞責任を負わない旨の主張をすることができる。

3 Bは、Aに対する上記損害賠償請求権を自働債権として、代金債務と相殺(505条1項)できる。

Cは、同相殺をして(457条2項)、対当額の限度で代金債務の消滅及び付従性による保証債務の消滅を主張することができる。

第2 2について

1 DはAに対し債権者代位権(423条1項)に基づきBがAに対して有する上記瑕疵修補に代わる損害賠償請求権を代位行使し、賠償金の自己への支払いを請求することができるか。

(1) ①DはBに対し請負代金債権を有しており、被保全債権を有する。②Bは営業不振により高利貸からの融資を受ける状態になり、結局、多額の債務を残して行方不明となっており、無資力である。よって、「債権を保全する」(同項)必要がある。したがって、Dは上記請求権を代位行使できる。

(2) 債権者代位権の実効性を確保するため、DはAに対し賠償金の自己への支払いを請求できる。そして、Dは、被保全債権と、BのDに対する同賠償金の不当利得返還請求権(703条)とを相殺できる。

2 Bの債権者には高利貸がおり、Dより先に債権者代位権を行使してAから支払いを受けて同様に相殺すれば、Dは保護されない。

そこで、DはAに対して不当利得返還請求権に基づき修理代金相当額の支払いを請求できるか。

1 ①Dは、Bから請負代金を支払ってもらえないという「損失」を被り、②Aには、修理をしていないのに代金を受け取るという「利得」がある。③Bの無資力を契機として、Dが「損失」を被りAに「利得」が生じており、①と②の間に社会通念上の因果関係がある。

2 ④「法律上の原因なく」とは、契約を全体としてみて、対価関係なくして利益を受けていることをいう。

本件では、上述のように、BはAに対し瑕疵修補に代わる損害賠償請求権を有する。よって、Aの利益保有に対応する反対債権をBが有する。したがって、契約を全体としてみて、対価関係なくしてAが利益を受けているとはいえず、「法律上の原因なく」に当たらない。

3 以上より、Dの上記請求は認められない。

(1500字)。

 

※第1.2:①BのAに対する瑕疵修補請求権と代金債務との同時履行の抗弁権をCが付従性に基づき行使するという手段はcut∵Aは修理しようとしないので、同手段によると、Aが修理するまでずっと営業損害がBに発生することになる。Bとしては、自分で修理し、その費用を請求しようとするはず(「読み解く」P.207)。②634条2項前段は債務不履行責任の特則でもあり、履行利益も含み、かつ、本件営業上の損害は、通常損害として(416条1項)、「損害」に当たる(「読み解く」P.217)。